第45話 閑話
本日2話目です。短いです。
「──…どうゆう事なんでしょうか?!」
神の御座所ではイリスが慌てた様子で、グスノフに詰め寄っていた。
「お、お待ちくだされ、まずは落ち着きましょう。…マリネラ、済まんが管理者を」
「はい。…イリス様、ここで騒いでも何も変わりません。まずは座りましょう」
「……しかし、新たな邪神とは一体どういう意味なのです? 神はもう地上に居ないでしょう?」
「──…その話ですが、先程の件から考えると健二であった頃のノートが何かを知っていた可能性が高い」
座った彼女に、離れた場所に座るエギルが話す。
「そんな! でももうその頃の記憶は…──! シスが何かを知っていると?!」
それを聞いたイリスが少し考えて、声高に叫ぶ。
「管理者イリスよ、そなたの気持ちは分かる。…我等もアレのことは一切信用していない。だが全ての事を記録しているのはアレが持つアカシックレコードとやら言う物であるのも事実だ。我等の持つデータベースには基本的に事象は含まれていない。これは、万が一データ情報に漏れが起きた際に余計な誤解を地上の民に持たせないためだ。事象データは大神の管轄。我等にアクセス権はない。我等も永く生きる弊害として記憶の整理と消去が千年毎に行われる。故に暗黒時代の事はすべてを網羅できていないのが現状だ」
「だから! だから彼にまた苦難の記憶を取り戻せというのですか!? させませんよそんな事は! 彼はもう健二君じゃないんでしょう?!」
彼女の剣幕に、さすがのエギルも閉口してしまう。
「だが、今の我等に新たな邪神の事についての情報が一切ないのも事実だ」
黙っていたエリオスが、苦々しい顔で言葉をつなぐ。
「──…いや、全くと言う訳でもないぞ」
そこへノードが口を挟む。その言葉に皆が弾かれたように彼を凝視するとグスノフが追い立てるように彼に聞く。
「そ、それはどう言う事じゃ?! お主なにか知っているのか?」
「…いや、知っているんじゃなくて、ノートが言っていただろう。…悪魔のことを」
──…悪魔は全部で七人。それらは大罪と呼ばれている。と…──。
「あぁ、それがどうし…──七人!? 確か、確認されているのは現在…」
「…六人!!」
「そうだよ。ノートが教えてくれたのは強欲、憤怒、嫉妬に怠惰、暴食と色欲が在って傲慢だ。確かに人間の根源欲求とはよく言ったものだ」
「──…邪神となったアナディエルが、強欲と彼は言っていましたね。ゲールが傲慢で、暴食と色欲が討伐された。ゲールに従っているのが嫉妬ともう一人。…では残った一人がその新しい邪神だと?!」
「確証はないが、確率は高いだろう。だが問題はいつ、この世界にどうやって来たのかと言う事だ」
「フム…アナディエルが呼んだと考えるのが一番自然だな…」
そう言って神達は自分の中の記憶と照らし合わせて黙考していく。
(…確かに理に適ってはいるんだけど。それってセレスちゃんとの会話だよね…)
神の憂鬱はとどまることがなかった…。
これで、5章は完結となります。
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