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オッサンの異世界妄想奮闘記  作者: トム
第5章 その国の名は
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第36話 精霊契約




「──…ち、地下遺跡……?」


 その言葉を聴いた瞬間、思考が止まる。……なんだ? 巫女様は今何を言った? ()()とはなんの事だ? …ただただ()いてくるのは疑問符の付いた言葉ばかりで、自身の考えが一向にまとまらない。一体あのカデクスの教会には()()()()というのだ?


「…み、巫女様、地下遺跡とは一体なんのことでしょう? 浅学(せんがく)な私にどうかご教授願いたく」


「──…分かりました。少し長くなりますが宜しいですか?」


 そうして巫女様は語り始める。カデクスの()()()姿()と、聖教会と我がヒストリアの()()を…──。





*******************************





《マスター、この先に()()()()()が存在しています》

「ファ? 何、巨大な空間って」


 シスがサーチを掛けた結果を()()()()()が、()()()で分からず、聞き返す。


《…恐らくはこの()()()()()だと思われますが、空間の先が見通せないのです。ただ、この先数百メートル程は確認できました。扉の向こうは半径にして()()()()()()以上の広大な広間のようになっているのが、確認できます》



 俺が大きな声でシスに聞いたため、注目を集めたせいだろう。シスは周りにも聞こえるような、大きな音声に切り替えて返答してきた。


「──…な?! 五百!」


 シスの言葉を聞いたオズモンドが、その数字を聞いて驚愕し、扉の方を(うかが)う。調査団の面々も、その数字の大きさに()()()()()のか、(にわか)に囁き声が、聞こえ始める。


「……団長! ()()()()してください。この先を見るにはまず、この術式を()()()()()()()、いけないのでしょう?」


 そんな中で、()()()()()を響かせたのは、ミスリア王女だった。その声にオズモンドも我に返ったのか、取り繕うように咳払いを一つした後、調査団に向けて言葉を発した。


「──…んんっ! 済まない。流石に想定外だったので取り乱してしまった。まずはこの扉の前に、調査本部を設置する。術式調査の為、班の編成も組み替えなければならない。本日の実地調査はここまでとする。ここには不寝番を四人体制で置く。それ以外の者は、撤収作業にかかれ!」


 彼の()()()()、調査隊は先程までの雰囲気を切り替えて、一斉に動き始める。騎士たちが不寝番の段取りを始め、魔術師たちが、術式解読のための資料はどうのと言いながら、本部の設置場所などを決めていく。


「──…流石は調()()された組織ですね。団長の言葉一つですぐさま行動できるとは」

「…そうね、軍隊って、集団行動は体が覚えているから、指示があれば即座に反応できる」

「へぇ、まるでそんな組織に()()()()()だな」


 俺の言葉がおかしかったのか、キャロとシェリーは、キョトンとした顔で俺を見返してくる。


「…へ? 何かおかしなこと言った?」

「…いえ、そうじゃないのよ。…あれ? キャロ…私達の事、ノート君に()()()()()()()かしら?」


「へ? …ん~、セーリスさんとの事しか、話してないんじゃないかな? シンデリス内紛の事とか、ちゃんと話してないし」


「そっか……そうね。まぁ、今ここでする話でもないし、機会があれば、また話しましょう。ほら、()()()()()()()わ。行きましょう」


 シェリーはそう言うと、こちらに来てくれと呼ぶオズモンドたちの方に、歩き出す。


 ──…フム、無理に聞くこともない事だな。


 頭の隅でそんな風に考えながら、キャロルと二人、シェリーの後を付いていく。


「どうしました?」


「いや、申し訳ない。実は相談があります。先程も言った通り、この扉に書かれているのは、古代の封印術式でして。…そこで、その遺失(ロスト・)伝説級魔道具(アーティファクト)をお持ちのノート様達ならばと思いまして。良ければ()()()願えないでしょうか?」


 ──…成る程、オズモンドさん達にとっては()()はそういう対象になるから、()()()()()()()()()だよね…。うん、困った。これは俺の()()()であって、魔道具じゃない。当然シェリー達のゴーレムも、俺が造った()()()()()()()()()()だ。ここはどう答えれば──。


「なら、()()()()に聞いてみるのが、早いんじゃないかしら?」


 俺がどう返事をしようかと思っている所に、シェリーが割って入ってくる。


「……お師様…ですか?」

「ええ。彼女ならば、なにか知っている可能性が、高いと思うのだけれど」

「そうですね。セレス様は長い時を生きていらっしゃるから、術式を見てもらえば、可能性は一番高いと思います」


 ナイス! そうだ、セレスに聞けば手っ取り早い。そう考えて、オズモンドを見やると、なぜだか彼は難しい顔をしていた。


「…確かにそれで、教えていただければ良いのですが……。お師様は、そう言ったことに関して、あまり良い顔をされないので…」


「……え? そうなんですか?」


「はぁ。…セリス様はそこ迄ではないのですが、セレス様はやはり、()()()とは()()されておりますので…。言わばある意味、()()()()()()()ですから。そういった事には口を出されないのです」


「…あぁ。言われてみれば、彼女もそう言った意味では、そうでしたね。当たり前にホイホイ出てくるから忘れてました」


 結局、その場では有耶無耶になり、俺たちは一度、屋敷に戻ることになった。




◇  ◇  ◇




「我らは一度、持ち帰った資料を調査しますので、明日は自由にしていただいて構いません。明後日の朝にまた迎えを出しますので、宜しくお願いします」


「分かりました。では」


 男爵の屋敷についた俺達は、正面の本宅前で解散して迎賓館に戻る。ちょうど、その庭に通りかかった所で、サラ達の声が聞こえてきた。


「マリーちゃぁん! 今ですぅ!」

「風よ!」


 サラの掛け声が聞こえたと思った次には、マリーの()()()が発せられていた。すると、生垣の向こうで風の逆巻く()()()の音が聞こえると、それは渦になって巻き上がり始め、竜巻現象を起こす。それはその場に留まったまま、下草を巻き上げるとやがて霧散し、何事もなかったようにそよいだ風が吹いていった。


「…できたぁああ!」

「おめでとうですぅ! すごいですぅ!」


「…ねぇシェリー……あれって【魔法】だよね」

「──…そ、そうね。()()()()だったわ」

「…スキルって、そんな簡単に()()()()()()っけ?」

「……魔術なら聞いたことが有るけど…魔法は()()()()()()()()わね」


「……いいなぁ、()()…」

 魔術にどうしても憧れの強いキャロルが、涙目になりながら、彼女たちを見つめていた。




◇  ◇  ◇




「精霊と()()できたぁ?!」


 俺達に気づいた彼女たちと部屋に戻って、皆でリビングでお茶を飲んでいると、嬉しそうにマリアーベルが報告してくれるが、それを聞いた俺は驚いて、変な声で聞き返してしまった。


「フフフ、変な声ぇ~」

「い、いやビックリしすぎた。え? マジなのセーリス?」

「…あぁ、私自身も驚いたよ。まさか()()()()()といきなり契約してしまうとは」

「ちょ、ちょっと待って」


 そこで、俺は彼女に鑑定を使った。



 名前    マリアーベル

 種族    ヒューム

 性別      女

 年齢     26歳


   ~~スキル~~

 ベーススキル


   魔力増強  身体強化


 ユニークスキル


   精霊術


  固有スキル


   精霊視


   ~~加護~~


   マリネラ神 

   セレス・フィリア

   

「──…セレス、お前か?」


 加護の欄を見て、すぐに思いついたのは、それだった。彼女が与えた加護によっての再取得。しかし彼女は()()()に振った。


『いや、その加護は、精霊契約の()()()()()ものだ。恐らくは()()()()()のせいだろう』


「そう言えば…精霊視(せいれいし)ってなんだ? サラの精霊眼(せいれいがん)とは違うのか?」


『ん~、似ているが少し違うな。サラの場合は魔力を消費しないが、()()()()()()()()というものだ。マリーはそうではなく、意図して【視る】という行為で、精霊を認識するという物だ。まぁ、こちらも魔力の消費はないようだが』


「ん? じゃあそれって、ある意味サラの上位互換になるのか?」

『いや、上位ではないな、どちらかと言えば下位だ。意識しないと視れないからな』

「ふ~ん。…で、高位の精霊って()()()と契約したんだ?」


《ふふ~ん! アタシだよ~》

 俺の質問に()()()()()()()きたのは、いつもの三羽の妖精タイプの一人だった。


「お兄ちゃん! この子の名前はね──…()()()()だよ!」


《可愛いでしょ! 可愛いって言え! フハハハ!》

「ふははははは! あははは、面白い子だよね~」


 ──…セレスぅ…高位の精霊ってもうちょっと()()()()を……。







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