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僕と黒猫、そして…  作者: ヘズ
第一章 出会いと夢、そして…
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第8話 迷子探し1

今日のうちに投稿したので問題はない...ですよね?

毎日投稿している方がいかにすごいかがわかります...

 吟遊詩人さんの詩を聞いて、夢を語り合った次の日の朝。僕たちは吟遊詩人さんを見送るために、村の入り口にいた。入り口には小さな門があり、そこから近くの街まで細い道が続いている。


 吟遊詩人さんは、詩の分のお金と食料品などを受け取ってこの村を立ち去ろうとしていた。ここには村の子供たちに、大人まで、数多くの人が集まっていて、みんなで吟遊詩人さんを見送った。最後に少し聞いたところ、名前はユフィールというらしい。


 また会うことはないだろうが、もしまたこの村に立ち寄る、または旅の途中で出会ったら、その時は色々な物語を聞きたいと思っている。


「ありがとうございましたー!」


 そう言い、手を振りながら、見送った。


◆◇◆◇◆


『……行っちゃったね』


「うん……また会えるかな?」


『大丈夫、きっとまた会えるよ!…というか、会いに行こう!旅に出たらさ!』


 クロはそう言って空を見上げた。


「うん!もちろん!」


 僕も空を見上げて、手を伸ばした。今はまだ届かなくても、強くなって、いつか掴み取るために。そのためには、体を鍛えて、武器の使い方を覚える必要があるだろう。決して楽な道のりではないとしても、僕たち二人なら乗り越えられる気がした。


「……ところでさ…」


『ん?どうしたの?』


(……何で心の中で思ったことが伝わってるの?)


 今日の朝からか、僕の思っていることがクロに伝わっている気がしていた。確かに心は通じ合ったかもしれないが、そんなこと普通あり得ない。というか、隠し事ができない。


『……さぁ?何か今日の朝起きてから、なんとなくわかるようになってた』


(なんとなくって何!?というか、クロに僕の考えてることが筒抜けじゃん…!)


『そう言われても……わかるものはしょうがないじゃん!それに、独り言をブツブツ呟いている変な人って思われることもなくなるよ!』


(やめて!それ割と気にしてたから…!)


 ふと、昨日見えた白い糸のせいなのかと思った。今考えてみれば、昨日の帰り道でも思っていること――心の声が聞かれていた気もする。そうすると、心の声が伝わるのは僕らの絆の証ということだろうか。


 そんなことを考えながら、僕の家に帰る道をゆっくりと歩いていた。今日は雲一つない綺麗な青空で、何か良いことがある気がした。少し眩しかったけれども。


 僕が入ってはいけないと言われている森の前まで来た時、森の方に人影が見えた。狩人さんかと思って目を凝らしてみると、その人影は二つ――それに子供の人影であることがわかる。


(ねぇ、あれって……)


『…うん、嫌な予感がする!行ってみようよ!』


(もちろん。こういう時のクロの勘は大体当たるからね…)


 人影の見えた、入るのを禁止されている森に入っていく。この森は稀に猪や熊が迷い込んでくるため、子供は入るのを禁止されている。その中にいたという事は、約束を破ったのだろう。


 それだけならよいのだが、クロの勘はよく当たる。熊にでも出くわしたのかもしれない。僕たちは急いで森の中を駆けて行く


 春になり葉の生えてきた木々、その間を抜けていくと、先程見えた人影の下に辿り着いた。


 二人の人影、その正体は、村の子供のブルロとルイズとだった。僕よりも五つ下と年齢が離れているため遊ぶことはあまりなかったが、○○さんの物を壊しちゃったから助けて!といった風に、面倒ごとを押し付けられていた。


 だが、彼らはいつもはもう一人、ロンドも混ぜた三人で遊んでいる。だが、今は二人しかいなかった。


「あ、フェリ兄ちゃん…!お願い、助けて!」


 三人の中で一番小さいブルロは、僕に気が付くとそう言って近づいてきた。目は赤くなっていて、ついさっきまで泣いていたのだろうと予想できる。――というか、今にも再び泣き出しそうだ。


「えぇ…助けてってどういうこと?」


 ブルロに聞き返すが、案の定泣き出してしまい、何と言っているのか聞き取ることができない。すると、見かねたルイズが何があったのかを話してくれる。


「実は……みんな詩人さんを見送るからって入り口にいるから、その間にこの森で遊ぼうって話になって。……ですが、この森で遊んでいたら突然、変な動物が飛び出してきて、ロンドを連れて行っちゃったんです…」


「要は、今日は見送りのために村の人たちがいないから、禁止されているこの森で遊ぼうとなって、でも森で遊んでいたら変な動物がロンドを連れて行っちゃったと…」


「は、はい…なので、どうしたらいいかわからなくて……」


 ロンドが連れ去られたのは、正直なところ彼らの自業自得だ。いくら同じ村に住んでいるとはいえ、危険を冒してまで探しに行く道理はないだろう。


 急がないとロイドの身が危ないのは確かだが、ここで僕が行かなくても、村の大人たちが探しに行ってくれるだろう。


 でも、それだと手遅れになる可能性――この付近には人が少ないので、ここに来るのに時間がかかるかもしれない――もある。


「とりあえずブルロとルイズは村に戻って、このことを大人たちに伝えてくれる?」


「えっ…?」


 二人は一瞬困惑し、その後不安そうな顔をする。だが――


「大丈夫、ロイドは僕が探してくるからさ!」


 僕のその一言で、二人は勇気を取り戻し、しっかりとした表情でこちらを見てくる。ロイドが手遅れになる前に、僕が探して助ける。


「……はい!分かりました!」


「フェリ兄ちゃん……お願い!あいつを助けて!」


 二人はそう言った後、村の方に走っていく。友達のためなら後で怒られてもいいと、覚悟を決めてくれたのだろう。


 二人が見えなくなると、クロが話しかけてくる。


『ふふっ、かっこよかったよ!』


(ははは…ありがとう。でも、正直かなり怖いんだけど……)


『えぇ…!?今ので一気にかっこよさが…』


(まぁ、やるといったからにはやるさ!ロイドを探しに行こう!)


『…うん!』


 森の木は空まで届きそうなほど高く、生い茂った木の葉のせいで辺りは薄暗い。入ったことのない森のため、地形も全く分からない。でも、どうにかなる気がした。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

アドバイスなんかを頂けると幸いです。

それでは、またいつか

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