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僕と黒猫、そして…  作者: ヘズ
第一章 出会いと夢、そして…
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第5話 変わり者のエルガー婆さん

ストックが切れてきました...

せめて休みまで持ってくれ...

 クロの言葉についての実験が一通り済んだため、僕たちは家のお手伝いをしていた。今は残っている麦などを、粉ひきのエルガー婆さんの元に運んでいる。麦などを挽き粉にしてもらい、パンを作るためだ。


「うぅ、これ重いね…。明日腕が筋肉痛になりそう…」


『全く、普段から鍛えてないからだよ?これに懲りたら、もっとお手伝いをして鍛えておくんだね』


「はい……。というか!なんで何も持っていないクロが、そんなに偉そうにしてるんだ!」


『私がそれを運べると思う?上に乗っけられただけで潰れちゃうよ!』


「そうだけれどもさぁ…」


 そんな感じでクロと話しながら歩いていると、エルガー婆さんの住む水車小屋が見えてくる。川に面している小さな小屋で、大きな水車がついている。水車が水の心地いい音を立てながら回る様は、いつまでも見ていられる。というか、前に暇だからと一日中見ていたことがあった。


『わぁ!あれが君が言ってた水車小屋?』


「うん、そうだよ…!」


 水車小屋をまるで宝石かのように、興味深く見ているクロを横目に、重い袋を背負いなおす。そして力を振り絞って、水車小屋まで進んでいく。


 水車小屋のドアの前まで来ると、ドアを3回叩く。薄いの木の、コツコツ、という音が響く。ドアを3回叩くと仕事、5回叩くと私用、1回叩くとそれ以外になっている。わざわざこんなことが決めているのは、ただひたすらに、エルガー婆さんが変わり者だからだ。


 エルガー婆さんは変なことにこだわりを持っていて、色々と面倒くさい。だが、村に粉ひきはエルガー婆さんしかいないため、みんな我慢して仕事を頼んでいる。


『エルガー婆さん…どんな人なんだろう…!』


「クロが想像しているような人じゃないと思うけど…。正直僕、あの人苦手だし…」


 扉を叩いてしばらくすると、エルガー婆さんが出てくる。曲がった腰に、白髪、そして木でできた杖。一見ただのお婆さんだが、中身を知れば誰でも変人だと思う事だろう。


「なんだい、フェリかい!仕事ならさっさと麦をよこしな!」


「は、はい!わかりました…」


「本当にかったのかい?返事はもっとはっきり言いなと何度も言っているだろう!」


「え、あ…すみません…」


「謝るんじゃない!あたしゃ、分かったのかどうかと聞いてんのよ!」


 強めの口調で厳しく僕を叱るエルガー婆さん。僕が何をしても、難癖をつけて叱ってくる、嫌な人だ。でも、麦を粉にしてもらわないと困るため、言われた通りに答える。


「はい!わかっています!」


 そう言いながら、袋をエルガー婆さんに渡す。僕より少し高いくらいの身長しかないのに、僕が散々苦労した袋を軽々と持ち上げる。


『この人、見かけによらず力持ちだね!』


 エルガー婆さんにバレないように、こっそりクロの方を見て、苦笑いをする。


 その後、エルガー婆さんが仕事をする様子をそばで見せられ、しばらくして終わったら代金を渡して粉を受け取る。


(ふぅ、やっと帰れる…)


 そう安心しながら、粉を家に運ぶ。粉をパンにしてもらうのはまたいつかのため、とりあえずは家に置いておくのだ。


 帰り道、行きと同じ道を歩きながら、クロに話しかける。


「ほらね、変わり者だったでしょ?」


『まぁ確かに、変わった人だったね…。でも、悪い人には見えなかったよ!』


「そうかなぁ…細かいことで叱ってくるし、嫌な人だと思うのだけれども…」


『私には、君のことを思って叱っているように見えたよ。感情をぶつけてるとかじゃなくて、しっかり君の成長のために怒っていた…と思う。まぁ、ちょっと怖かったけど…』


「やっぱりクロも怖かったんじゃん!」


『いや、だってさぁ……』


 いつもなら暇な時間も、クロと一緒なら、楽しい時間になる。あの時勇気を出してよかったと思い、同時にエルガー婆さんに言われたことを思い出す。「返事はもっとはっきり」、エルガー婆さんのことは嫌いだけれども、その言葉だけは意識しようと思った。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

アドバイスなんかを頂けると幸いです。

それでは、またいつか

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