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僕と黒猫、そして…  作者: ヘズ
第一章 出会いと夢、そして…
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第1話 黒猫との出会い

刻花と申します、よろしくお願いします!

とりあえず二つ目


「アモルさん!かくれんぼして遊ぼ!」


 農家のアモルさんに、そう声をかける。今日の農作業を終えて休憩していたので、かくれんぼをして遊んでもらおうとしたからだ。この村には僕と同年代の子供がいないため、遊び相手が少ないのだ。


「おぉ、フェリか。悪いなぁ、この後、妻の仕事を手伝わなくてはいけなくてな…」


「そう…わかった!じゃあまた今度時間があったら遊んでね!」


 アモルさんの畑から出ていく。遊んでくれそうな人には大体声をかけたが、今日は全員に断られてしまった。冬前の時期のため、みんな忙しいのだろう。


(しょうがない、今日は一人で遊ぶかぁ…)


 僕がいつも遊んでいる、家の裏の森に行く。奥まで行かなければ魔物や獣がいることは滅多になく、いたとしても、スライム程度の僕でもどうにかなる魔物や獣だからだ。というか、他の場所に行くのは危ないからと禁止されている。


 アモルさんの家から僕の家に続く道を歩いて行く。道といっても整備されたものではなくデコボコのため、気を抜くと転んでしまう事がある。なので、走らない。


(ちょっと前にここで走って怪我したからね、流石の僕でも学ぶ)


 しばらく道を進んで行くと、木と石で作られ、柵に囲まれた僕の家が見えてくる。家の前には、冬に備えて薪を割っているお父さんがいる。この辺りの冬は特に寒く、暖炉がないと生きていけないほどだ。だからこそ、魔物や獣が少ないのだけれども。


「お、フェリ、帰ったか!折角だしお前も薪を割ってみないか?」


 僕に気が付いたお父さんが、大声でそう言ってくる。ただ、薪を割るための斧は大きく、僕が持つには重すぎる。それに、僕は今遊びたい気分なのだ。


「嫌だよ!疲れるし、というか去年やったじゃん!」


「そうかぁ?筋肉を鍛えられるぞ?」


「別に鍛えなくていいよ!」


 確かにお父さんの筋肉は村の中でも1,2番目くらいだが、別に僕もそうなりたいわけではない。まぁ、基本仕事は農作業のこの村ではあって困るものではないだろうけれども。


 そんなことを考えていると、お父さんとの会話が聞こえたのか、家の扉が開いてお母さんが出てくる。


「全くお父さんったら…。うちに斧はその重いやつしかないでしょう?フェリには持てません」


「ぬ、ぬぅ…。しょうがない…」


(流石のお父さんもお母さんには敵わないね!)


 お父さんとお母さんが話している間に、家の裏の森に入る。森といってもそこまで険しいわけではなく、軽い斜面に細長い木が生えているだけだ。たまに食べられる木の実なんかも落ちていて、そういうのを集めて食べてみるのも楽しみだ。まぁ、大体はまずいけど。


 今日は、いつもより少し奥の木の実を取ってみようと思っている。いつも遊んでいる辺りは地形も覚えてしまったし、木の実も大体取ってしまったため、まだ見たことのないところに行ってみたいからである。


 見慣れた木を超えて、森の奥に進む。枯葉と木の枝の地面を、音を立てながら踏みしめて、木の根に引っかからないように、ゆっくりと歩いて行く。


◆◇◆◇◆


 辺りはすっかり暗くなり、空を見上げればうっすらと星を見ることができる。幸いそこまで木の葉の茂った森ではないため、光が届かなくて何も見えない!という状況にはなっていないが…。


(……完全に迷った)


 いつも通り森を歩いていたところまでは良かったのだろう。しかし、まだ行ったことのなかった場所に、美味しそうなリンゴのような木の実があったため、取りに行った。すると、他にも美味しそうな木の実が大量に落ちていたため、夢中になって集めていた。


 あまりに夢中になっていたため、方向を見失ってしまい、暗くなってきたので家に帰ろうと勘で進んで、今の状況に至る。――要は余計迷ってしまっただけだった。


(ヤバい…!こんな遅くまで森にいたら、お母さんに怒られる…!どうにかして早く帰らないと…)


 焦り小走りになって森を進んでいくが、見覚えのある場所には出ない。僕がどうしようかと困っていると、近くの茂みから何かが動く音が聞こえた気がした。


(今の音は…?)


 家に帰らなければいけないことより好奇心が勝った結果、僕は聞いた音を頼りに茂みの中に入っていった。葉や枝が入らないように目をつぶり、手でかき分けながら進む。そこまで大きい茂みではなかったのか、すぐにその先に出る。


 そこは小高い丘だった。周りは木に囲まれているが、ここだけ一本を除いて木が無く、地面にはやわらかそうな草が生い茂っている。よく見ると小さな白い花も混ざっている。


 丘の一番上には、大きな木が立っている。根は地面の奥深くまで張り巡らされているとわかり、葉は冬が近いというのに綺麗な緑色をしている。その木は太く、大樹と呼べるような頼りがいというか、ガッシリ感のようなものがあった。


 そして、その木の下には、一匹の黒猫がいた。――この出会いは運命的だったと後に思うことになるが、今はあまり関係のない事――。


ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

よろしければアドバイスなんかを頂けると幸いです。

それでは、またいつか

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