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97 すごいぞ!吊り橋効果

 


 護衛騎士の朝は早い。


 そりゃ護衛役の俺達が護衛対象のクリスと一緒に朝食を食うわけにもいかないからね。人間、寝ているときと食ってるときは無防備だ。あ、トイレもそうか。なのでクリスが起きてくる前に食事をささっと済ませておく必要がある。一昨日までは朝だろうが夜だろうが普通に一緒に飯を食ってたのになぁ……まぁ今までは護衛対象じゃなかったからね。今も当番であるセシルと剣聖クレアがクリスの寝室の前で警備しているはずだ。

 そして早朝の食堂。俺と同じテーブルで朝食を食っているのはルーと賢者クラウディアと聖女ティナ、そしてクゥムだ。もちろん後で交代してセシル達も朝食を食べるよ。俺だって一応ではあるが、ちゃんと仕事はする。ちなみにサミュエル大臣はルーが怖いせいか、他のランクの落ちる別の宿に泊まっている。俺も奴の顔なんざ見たくもないので、こちらとしても実にありがたい話だ。


「おはようさん。お前だろ?ジェロムの弟ってのは」


 俺が朝食を食べていると突然、軽い感じで若い騎士が声を掛けてきた。人見知りにそんな感じで話しかけて会話が成立すると思うなよ?やれやれ陽キャか?


「あ、はい……弟のアレクシスです。ジェロム兄さんの同僚の方ですか?」


 未だに最初にあ、を付ける癖が治りません。それでも最低限の返答が出来たのは歳の功なんでしょうか。精神年齢だけなら、いい歳して!って言われそうな歳なんだけれども。


「ああ、同僚の方だよ。ユーゴっていうんだ、よろしくな。俺はジェロムの同期なんだよ」


 なんというか振る舞いが爽やかだ。多分、出来る男なんだろう。しかしながら全く見覚えが無い。兄さんの結婚式のときにも居たんだろうか……あの時の俺は怖い顔したギルマスに捕まってたから周囲を見てる余裕がなかったんだよ。


「ジェロムがよく自慢してたぜ~、俺の弟は凄いんだ、ってな」

「ジェロム兄さんこそ、自慢の兄ですよ」

「俺だって、アイツは自慢の同僚だと思ってるよ。それがみんなのアイドルだったクララ嬢のハートを射止めやがって……クソッ!あの野郎め!」


 自慢の同僚にクソはどうなんだろうか。途中で嫉妬が溢れ出てるじゃないか。そこは最後まで我慢しときましょうよ。耐えようよ。その自慢の同僚の弟なんだぞ、アンタの目の前にいるのは。


「それはそうとしてな…なぁアレクシス。あの近衛騎士隊の美人の隊長さん……彼女を俺に紹介してもらえないか?」


 急に声を潜めての内緒話。

 ……目的はそれか。


「ダメですよ。俺の婚約者ですもん」


 紹介するわけないだろう。

 却下だ、却下。

 帰れ帰れ。王都にまで帰れ。


「朝から何を宣言しておるのじゃ。のろけ話なら、せめて酒を呑む席にせい」

「のろけてないよ。ただの事実関係を説明してるだけだよ」

「マジかよ!婚約者って……嘘だろ!?」


 なんでや。嘘ちゃうわ。


「本当だよ。私は彼の婚約者。私は、彼の婚約者だ」


 なんで2回言ったんだろう。大事なことだからか?

 ちょっと嬉しそうに2回言いましたよ。

 良かった、今朝になって機嫌は治ったようだ。

 サンキュー、ユーゴさん。もう帰っていいよ。


「なんでだっ!ジェロムといい……シルヴァ家には女神の加護でもあるのかっ!?」


 女神の加護か。あながち外れてもいないかもしれん。

 俺は多分、元女神な魔神の加護なら貰っていると思うよ。

 庇護と保護は確実に貰っているよ。


「羨ましい…!なぁ、だったらこっちの2人はダメか?紹介してくれよ」


 今の会話の流れでよく言えるよな、その台詞。

 ロリのじゃ賢者もストライクゾーンなのか。


 紹介してもいいけど本人に聞こえる位置で、だったらこっち!なんて言って上手くいくはずないだろ。急にこの人にもバカの匂いがプンプンしてきた。どこが出来る男、だよ。ただの女好きのバカじゃねーか。案の定、クラウディアとティナの2人にも歯牙にもかけてもらえなかった。。ドンマイ、まだ剣聖がいるよ………紹介はしないけど。


「さぁ、アレク。セシル達と交代しにいこう。婚約者の私を待たせるんじゃありません」


 何回、婚約者って言うねん。キリッ!じゃないよ。朝食を済ませた俺達はそのまま御機嫌なルーと共に王子宿泊の部屋の前まで行って、セシル達と交代。さて………中でクリスは何しているんだろうか。いつもなら、そろそろ起きる時間かなぁ。


「128、129……うわぁあ!?なんだよ!いきなり開けるなよ!」


 何をしてるのかと思ったら、もう起きていて朝からスクワットしてた。真面目な子だ。もうちょっと隙のあるところを見せて欲しかったんだけどな……王子の寝顔なんて好きな人にとっては大好物だろうに。もしくは朝から思春期な行動をしてくれていても良かったんだが……思春期な行動じゃなくても思春期な朝の生理現象が起こってたりしてな!いや、俺もそれは見たくないか。ノックもせずにドアをこっそり開けたのは少し反省している。


「ごめんね、クリス。このバカはちゃんと私が見ておくから。続けて、朝のトレーニング。頑張ってね」


 罰として隊長に拳骨を落とされた。ごめんて。反省はしてるって……またやるかもしれないけど。いや、多分似たようなことはするかもしれない。というか、やる。反省?ああ、バレないようにやるってことです。

 そのまま、同行のクリス専属メイドさんがクリスを呼びにくるまでドアの外で警備。メイドさんにより着替えたクリスが朝食を終えてから、次の町に向けて出発する。いつものメンバーだけなら朝も雑談しながら、のんびり準備するんだけど流石に公的な使節団では全てがキッチリしている。


 そしてまた今日も馬車の中での勉強会が始まり、たまに馬車から出て馬で併走しての警備という名の休憩がある。ちなみにルシアス王国とラウルシュタイン帝国は割と頻繁に人の行き来があるので、両国を結ぶ街道には立派な石畳の舗装がなされている。つまりは段差もなく移動がスムーズなんですわ。

 一定の時間ごとに馬の休憩、そして人のトイレ休憩があったりするけどそれ以外は実に問題なく進んでいた。ユーゴさん他の騎士団の皆さんが居るので魔物の心配もなく。つまり俺達は勉強に集中するしかなく。前世の高校受験だって、こんなに熱心に勉強してなかったぞ。でもね、ちゃんと当時は第一志望に合格しましたよ。

 そして次の町に着いたらクリス王子は再び各地の貴族だったり領主と面会して会食して。俺達は、その王子を警護しつつローテーションで魔神にボッコボコにされる、と。


 こんな生活が約20日間も続くのか…!

 平和な日々だけど地味にキツい。

 ストレスでハゲそう。頑張れよ、俺の髪。












◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇








 本日で旅も4日目。天気は良いけどまだ寒い。本格な春はまだか。そして今日は、俺の知っている町に到着した。知ってると言うけれど、まぁ俺が覚えているのは街の一部であり、しかも破壊されていた姿ですが。あとは宿の天井かな。


「懐かしいな、ヤンクロット。もうすっかり綺麗になってるね」

「あの日は瓦礫の山だったのになぁ……」


 あの日は破壊されていた北門から街に入ったんだった。周囲を見回すと、この世のものとは思えない程に破壊されていたのが、見違えるほどに綺麗な街になっていた。これならアッシンさん達も帰ってくるはずだわ。もっとも、あの人達が尽力したのは建物を直すより寧ろ人々の心を立て直す作業だろう。それにしたって見事な復旧ぶりだ。


 人の力ってのは実に偉大だ。

 あんな怪物如きに、この街は負けなかったということだ。

 見たか、天よ。この街の人々の見事さを。

 大して役にたってない俺ですら誇らしいよ。


 とは言っても、俺はあのトラウマ級の筋肉痛を思い出すんだよな。あれさえ無ければ、あの日の時点でルーと結ばれていたのに…!










「師匠……いや隊長。少し外出してきても、いい?」


 恐る恐る、と質問するのはセシル。


 クリス率いる使節団は既にヤンクロットの街中に入り、馬車を停めるため本日のお宿に向かっている最中です。まだ夕暮れの明るい時間ではあるけど、この街で外出?


「買い物でもしたいのか?」

「違うよ!リリアのお姉さんにリリアからの手紙を渡したいの」


 リリアは俺達の同期の冒険者であるハーフエルフですよ。今は幼馴染達と一緒にパーティを組んで王都を中心として活動している。色んなところで色んな人と仲良くなってくるセシルが、王都に来て一番最初に仲良くなったのがリリアだ。


「1人ではダメ。最低2人、出来たら3人で行きなさい」

「じゃあ俺が行こう。アンヌさん、だったかな。俺も御世話になった礼を言ってなかったし」


 あと1人……クリスとルーはダメで……ガールズの誰かに来てもらおうか、と思ったら袖をくいくい引っ張られた。


「アタシ、アタシが行きたい!」


 精霊幼女が来ても、実質2人じゃねぇですか。むしろクゥムを護らないといけないから戦力ダウンだよ。


「レティシア様、良いよね?アタシも行きたい行きたい行きたーい!」


 幼女らしく駄々をこねだした。俺はロリコンじゃないけど、かわいいは正義だ。これには抵抗しづらいのも事実。


「……2人に、あまり迷惑かけないようにね」


 呆気なく魔王、陥落。精霊幼女、魔王を倒すの図。今回もクゥムが強引に許可を勝ち取った。騎士叙任も手に入れたし、この旅にも付いてきたし……最近のクゥムの勝率が高い。というか、俺達が甘やかし過ぎかも。よし、俺はなるべく厳しく育てよう。














「おぉぉ〜!すごいすごいすご〜い!」


 俺の頭の上ではクゥムが大騒ぎだ。


 ヤンクロットの街中は人々が大勢行き交うので小さい子がウロウロしてたら危険だ。もちろんクゥムは精霊なので空を飛べるけど大勢の中でそれしたら、やっぱりパニックになりそう。手を繋いでもいいが当然ながら幼児は歩くのに時間がかかる。


 だもんで、今は俺が肩車してます。

 厳しく育てよう、か。

 明日。明日からね……。


「アンヌさんはどこにいるの?」


 馬車を停めてもらって俺達だけ別行動……なんだけど土地勘もないしアンヌさんの居場所の情報もない。初手から迷子になった。


「アレクの土地勘にはまっっったく期待してないから大丈夫だよ。ボクについて来て」


 そう言ってセシルがさっさと歩き出す。どこ行くのよ、どうやって行くのよ。なんかアテがあるのか?


「ヤンクロットの冒険者ギルドだよ。去年行ったからボクはわかってるの。黙ってついてきな!」


 この街には去年、ほんのちょっと滞在しただけなのに……お前スゲーな。その強引さにちょっとキュンとした。ときめいたわ。ちなみに俺は前回も行っていないので冒険者ギルドの場所を知らない。仮に行ってたとしても覚えてないだろう。


「アレク〜!早く進めぇ〜♪」


 頭の上の幼児はご機嫌でうるさいし。こら、髪を引っ張られると痛いでしょ、俺は馬じゃないんだから。それでもクゥムが先を歩くセシルを確実に指差してくれるので人混みの中でも見失って迷子にならずに済んだ。地味にクゥムを連れてきて良かった…!



 しばらく街を歩いて、ついに辿り着いたヤンクロットの冒険者ギルド。スィングドアにギルドの紋章って部分は王都のギルドと基本的に一緒だ。でも街の規模に比例して全体的に王都のそれに比べて随分小さな建物だね。夕方だけに今日の依頼を達成した冒険者達だろうか、何人か中に居るのが見える。よし、ではアンヌさんの行方を聞いてみようか。


「失礼しまーす……」


 これが王都のギルドなら我が家の如く気安く入れるんだけど、セシルはともかく俺はここのギルド初めてなの。最初は優しくして欲しいわ。痛くしないで。


「痛ってぇ!」


 いきなり背中をバァンと叩かれた。

 い、痛くしないでって言ったのに…!


「よぅ、少年!久しぶりだな!!」


 そこには、良い笑顔の坊主マッチョが立っていた。えーっと、この人は会ったことあるぞ。俺はこの人を知ってる……でも誰だっけ?


「覚えてないか?少年がドラゴンゾンビのブレスを食い止めてくれなけりゃ、俺ぁ死んでたんだぜ」

「ああ……あの時の3人の…!お久しぶりです。お元気そうですね」

「少年こそ、な。この子は少年の子供……いや妹さんか?」

「この子は、まぁ妹のようなもんです。クゥム。ほら、ご挨拶しなさい」


 肩車しながらなんてお行儀が悪いから下に降ろそうとするんだけど、クゥムが絶妙のバランス感覚で俺の頭にしがみついて抵抗してきやがる。もう失礼は承知で、このまま放置だ。厳しく育てよう。そのうち。うん、明日からなっ!


「クゥムです!よろしくお願いしますっ!」


 はい、元気良く出来ました。

 俺の肩の上からの挨拶ですけどね。


「そうかぁ、クゥムちゃんな。俺はダヴィ・トランタンだ。前に兄ちゃんに助けてもらったんだよ」


 正確に言えば、助けたのはルーである。俺は憑依の依代(よりしろ)になっただけなんだよ。まぁ憑依なんて、なかなか説明しても伝わらないだろうけど。それはそれで良い。

 あの時、アンヌさんと一緒に居たダヴィさんと巡り会ったのも天祐でしょ。

つーかダヴィさんの名前は多分、今初めて聞いたわ。それに俺自身も名乗ったか覚えてないわ。多分、あの時は名乗っていない。今更遅いけど、改めて自己紹介して御挨拶しておいた。さて、それで本題ですが。


「こっちの……セシルがアンヌさんに手紙を預かってきたんですよ。アンヌさん、今どこですかね?」

「え?アンヌに?」

「お久しぶりです、ダヴィさん。リリアからアンヌさんへの手紙を預かってきたんです」


 お久しぶり、なのか。セシルは去年アンヌさんにも会ってるみたいだし、このダヴィさんにも会ってるんだろうな。よく覚えているね。


「どうすっかな……手紙なら俺が預かっても良いんだが……アンヌは、その、今は俺の家に居るんだわ。いや、そうだな。ちょっと待っててくれ、すぐに連れてくる!」


 坊主のマッチョは、顔を赤くして飛び出していった。その姿はまるで茹で蛸だな。


「ダヴィさんの家に………居るんだ」

「多分、そういうことなんだろうね。いつからだろ……リリアは何にも言ってなかったけど」


 あれか。命の危機を共にしたせいか。これも吊り橋効果ってやつか。そりゃな、揃ってドラゴンゾンビの息吹を浴びる寸前だったもんなぁ。すげぇな吊り橋効果。確かにドラゴンの息吹の前の方が吊り橋の上より命の危機を感じるよね。

 それにしたって……言っちゃ悪いけど、ダヴィさん大金星だろ。アンヌさんはハーフエルフなだけあって並じゃない美人さんだもの。うちの両親どころじゃねぇ格差だよ。アンヌさんに会った瞬間に往復ビンタして、目ぇ覚ませぇ!アンタ騙されてるぞ!とか言ってるべきだろうか。まぁ、じっくり話を聞いてみたら案外、大金星なのはアンヌさんの方だったりしてな。


 待ってる間、ギルド内で邪魔にならないようにキョロキョロ、チョロチョロ。王都と比較して人が多いとは言えないけど……活気があるというか。多分、いや間違いなくアッシンさん達、頑張ったんだな。あの残念な先輩方は、こういうこともするから侮れない。同時に、こういうことをするのに侮りたくなるほど残念な部分が目立つ、とも言える。

 10分ほど、クゥムがあっちにいけー、こっちが見たいーと言い出すので、ふらふらと建物内を彷徨っていると、見覚えのある白く輝く長髪の女性が建物内に飛び込んできた。


「セシル!そしてアレクシス君も!」

「お久しぶり!元気そうですね。街も綺麗になって……早速ですけど、これリリアからの手紙です」

「ありがとう!あの子、どう?無茶してない?元気にしてる?」

「元気ですよ。この前、D級に昇格して王都でも期待されてますよ」

「そっか〜……良かったぁ」


 妹へ想いを馳せてるのか、リリアからの手紙を優しく抱きしめて目を閉じて微笑んでいた。仲の良い姉妹なんだなぁ……あ、ダヴィさんも戻ってきた。やっぱり並べて見ると、贔屓目に見ても美女と野獣だな!

 少し落ち着いたのか、アンヌさんが俺の肩の上のクゥムに気がついたので、再び御挨拶。次からは降りて挨拶しましょうね。それから忘れずにあの日あの時の戦いの後、宿まで俺を送ってくれたことについて改めて感謝した。こういうの言い忘れるとずっと気になっちゃうからね。アンヌさん、あの日あの時はありがとうございました。本当に助かりました。


「募る話もあるから、食事でもどうだ?とっておきの店で御馳走するぜ!」


 いいなぁ。地元民がおススメする店、行きたいよなぁ。絶対に美味いはずだもんな?しかし今の我々は任務中なのです。それを、ちょっと抜け出して来ただけだから食事までは無理だ。


「すみません、いただきたいんですが今日はもう戻らないといけないんです。いつか、必ずまた来ますのでその時に御馳走してください」

「そうか……そりゃ残念だな。そういえば聞いたぜ?少年、実はあの時まだE級だったんだってな。A級じゃなかったのかよ。いや、責めてるわけじゃないんだ。なんか事情というか、訳があったんだろう?そんで、どんな事情があろうと少年は俺達の、この街の恩人なんだ。ありがとうな!俺達はこの恩を絶対に忘れない。いつか、少しでも返させてくれ」

「そうよ、ありがとうなんて私達が言う言葉なのよ。アレクシス君、何度でも言うわ。本当に、本当にありがとうございました。あの時生き残ったおかげで、良い人にも巡り会えたし……」


 どういたしまして。

 おいハゲ。おい茹で蛸。

 美女とチラチラ目を合わせて照れるんじゃないよ。

 こっちが恥ずかしくなるわ。

 なんだよ、本当にそういうことなのね。


「そうでしたか、おめでとうございます。リリアはそのことは知ってるの?」

「まだなの。まだ式もいつやるか未定なんだけど…」

「ボク達が王都に戻るのは2ヶ月くらい先だけど、良かったらリリアへ手紙を預かりましょうか?」

「……いいの?」

「明日の朝、この街を出ますんで……それまでに『ミスラオグマ亭』まで手紙を持って来てください。ボク達、今夜はそこに泊まりますから」


 そして改めて2人へ祝福と別れの挨拶を告げて、俺達は宿に戻った。本当に気持ちの良い人達だったな。御礼なんてどうでもいいけど、いつかあの人たちと一緒にご飯を食べに行きたいね。リリアに聞いて出席出来そうなら結婚式にも御祝いに行きたいなぁ。是非、あの2人の本当のキューピッドであるルーを連れて行きたいね。

 ドラゴンゾンビの息吹から生き残ったことをきっかけに結ばれた2人だ。さぞかし強い子供が産まれることだろう。ヤンクロットの次世代は更に期待が持てそうだよ。セシルと、そんな事を話しながら歩いた。クゥムは初めて見る新しい街中を歩いて終始ご機嫌だった…………あ、肩車してるから歩いてはなかったか。


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