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74 オレでなきゃ見逃しちゃうね

 


 およそ1時間ほどで、盗賊のアジトと思われる場所からキャンプ地にまで戻ってきた。流石に能天気な俺も本気で急いだんですよ。ええ、闇の中を走るセシルの背中を全力で追いかけていたんです。少しでも油断したら光も無い雨の森の中に置いていかれる…!そりゃ死の恐怖を前にして本気にもなるっちゅーねん。


「恐らく、捕まっている女性がいる。少なくとも1人。もっと居るのかもしれない」


 冷えた身体を、用意してもらったお湯を飲んで暖めながら状況と作戦を説明する。同時にセシルが、ここからの簡単な地図を描いてくれている。それらをしながら俺もセシルも、ルーにタオルでワシャワシャと拭かれている。身体が冷えて風邪引いちゃうよ、なんて言われながら。

 みんな真剣な顔して真面目な議題を話してるけど、俺もセシルも髪の毛はボッサボサだよ!お母さんモードのルーには作戦会議も関係ないんですよね。オカンは強い。


「出来たら深夜まで待ちたかったけど、予定変更だ。今すぐ行こう」


 クリスもこれを了解してくれた。

 作戦は、今回も正面突破。

 俺達にはこれまでもこれからも、基本的にこの作戦しかないよ!

 どこかに良い軍師でも居ませんかね。


 今回の主戦力はセシル。囚われの人が居る以上、最優先はその命だ。なので最速にして最強のカードを出して敵を倒す。全員殺さずに捕縛は……盗賊達の運次第だね。

 いつもの陣形じゃなく、前衛はセシルと俺。クリスに魔法で柵をぶち抜いてもらったら即座に2人で突撃する。俺も最初からゾーンに入るし、セシルにも精霊を降ろしてもらう。なので最大作戦時間は30秒。それで全てを終わらせる。一切の出し惜しみ無し手加減無しだ。






 シンプルな作戦というか……殴りこむ順番を決めただけ、とも言うが……そんな予定に従って、既に俺達は敵のアジトの近くまで戻って来ていた。多分、あれが正門というか入り口なんだろうな。それの真っ直ぐ正面に居る。この森の端までは馬と馬車で移動して、そこからは気付かれないように徒歩で移動してきた。雨で気配が消えてて良かった。

 奇襲前に念のため、中に居る連中をルーに鑑定してもらった。人数とか配置までは聞かないが、相手は間違いなく盗賊だそうだ。じゃあ遠慮しなくていいね。俺達だけの制約としてルーは基本的に手を出さない予定だけど、囚われた人を含め俺達が危機に陥った時だけ手助けしてくれることになっている。しかし、ここで思い出した。これ、ルーの昇級試験でもあるんだった。どれでもいいからテキトーに盗賊を1人倒しておいて。生死問わず。



 よし、行くか。















「―…―《極灼炎砲》」


 クリスの放った大きな炎弾が柵を轟音と共に破壊した。雨の中だけど炎が煌々と辺りを照らしている。俺とセシルは、クリスの魔法が放たれると同時に走り出している。さぁ、全てはここから30秒以内だ。


「アレク!あの右の小屋を!6人!全部盗賊!」


 緑色の瞳が美しく輝くセシルがそう叫ぶ。迷わず風魔法で風塊をその小屋にぶつけて吹き飛ばす。気分は3匹の子豚での狼だな。大丈夫、俺は盗賊は食わないぞ。「俺は盗賊だってかまわないで食っちまう人間なんだぜ」なんて言うウホッ!的ないい男じゃないんですよぉ。お、確かに中には6人。武装もしてないし、寝ぼけているのか何が起こったか理解出来てない様子だ。

 オレでなきゃ見逃しちゃうね、なんて言われるような恐ろしく速い手刀で首をトンして気絶させられたらお互い良かったんだけどね。俺はそんな器用なことは出来ないので、槍の柄の方でボディをどーん。うん、これだって十分に死にうる攻撃ですよ。俺も少しだけ祈ってあげる、死にませんように。まぁ死んでもさほど気にしないけどな。だから盗賊共も気にしないでね。


「て、てめぇ…!ガハッ!!」


 アンタ等盗賊如きと会話をする気はない。ただひたすらに蹂躙されろ………よしっ!これで6人終わり!

 セシルとクリスの方へ急ごう。ダッシュしてアジトの真ん中にあった大きめの小屋に入ると、それとほぼ同時に最後の1人がクリスに吹っ飛ばされていた。囚われていた人は?無事か?


「ああ、その2人はもう先生に渡したよ。命に関しては無事だ」


 クリスは相変わらず仕事が早い。主人公、端っこの雑魚を倒しただけ。それはまぁいい、囚われていた人の方が重要だ。目立てなくたって悔しくなんかないってば!それより……命だけは無事、か。色々と命以外で無事じゃない部分もあるのかもしれないな。申し訳ない。遅くなってごめんね。


「とんでもない戦力だな……本当にあっという間に終わらせやがった!」


 遅れてアクセルさんも入ってきた。さて、盗賊共は何人が生き残ってるだろうか。雨の中、夜の奇襲。中に入ってわかったが連中は酒を飲んで寝ていたようだ。そうでなくてもデビュー間もない盗賊達だったんだろうか、めちゃくちゃ弱かった。俺が倒したのが6人。真ん中の小屋に居たのは12人。それに囚われていた女性が2人。こういうとき、盗賊団のボスが1人コソコソ隠れていたりするが……。


「これで全部だよ。エールが言うんだから間違いない」


 セシルの瞳の色はもう元に戻っていて、少し疲れた様子。クリスが言うには、セシルは場所がわかっていたかのように真っ直ぐに囚われていた女性達の方へ走って、文字通りの一瞬で周囲に居た男共を吹き飛ばしたそうだ。

 うん、わかっていたんだろうさ。きっとセシルの守護精霊エールが導いたんだ。セシル、残りの雑務はやっておくからルーのとこで休んでおいで。戦闘中はクリスの魔法で燃えた柵が辺りを照らしていたが、それももう雨で消えつつある。代わりに松明と、ルーが照明用の魔法をいくつか用意してくれた。もう初夏と言える季節だけど、さっさと終わらせないと本当に風邪をひきそう。


「全部で18人か……15人はまだ息があった。どうする?」


 アクセルさんに確認された。

 どうしましょうねぇ……まだ討伐依頼は終わっていない。

 家に帰るまでが依頼ですよ。

 

「死体はここで全部燃やして、こいつらに埋めさせます。多めにロープを用意してきたんで、ロープで互いに腰縄を結んで作業させますよ」


 まぁこんな森の中で眠るのも淋しいかもしれんが、盗賊が贅沢を言っちゃいけない。それに死体を放っておいてアンデッド化とかされても嫌だしね。


「意外だな、残りも始末するのかと思ったが」

「あのですね、僕ら人殺しは躊躇いませんけど進んで殺したいわけちゃいますよ」

「非凡な強さの割には……案外マトモなんだな」

「普通が一番なんですよ。あ、クリス。ありがとう、ロープまだ要る?」


 俺とアクセルさんが話してる間にもクリスが盗賊達をロープで縛り上げていた。仕事が早いよ。そして王子に仕事を任せてトークしてるなんて、これのどこが普通やねん。今も不敬罪にビクビクしてますけども。


 改めて確認してみると正面から入って左の小屋には誰も居なかった。灯りで照らして中を覗いてみると…倉庫か、これは。連中が奪っただろう荷物や食料、武器もあった。よく調べたら金目のものもあるだろう。でも、こんな暗い雨の夜に倉庫を漁りたくはないぞ。とりあえず全部俺の収納魔法で入れてしまえ。入るかな…おお、入った。他にも戦闘してぶっ壊れた小屋も回って、使えそうなものは全部回収しておいた。後で仕分けりゃいいさ。

 生き残った盗賊達もぼちぼち意識を取り戻しつつあった。気がついた奴から順に、事態を飲み込めずに騒ぎ出すのが五月蝿いなぁ……どうやら死んだ方にボスが含まれていたようなんだわ。ボスが生きてたら黙らせるようにさせるんだが……俺達みたいな子供が偉そうに言っても聞かないだろうか。そうは言っても、そろそろ出発したい。


「やかましい。黙れ、こいつみたいになりたくなかったらな」


 セシルがボスの死体を生き残った連中の上に放り投げて脅していた。普通ならこんなかわいい女の子にそんな事を言われても聞けないだろうが、この中の何人かはセシルに倒されている。かわいい外見だからこそ逆に怖い系だ。久々に戦乙女(ヴァルキリー)、降臨。


「う、うるせぇ餓鬼がっ!この縄を外しやがれ!」


 1人の勇気有る男が叫ぶが、すぐさま彼の左耳を矢で打ち抜かれて今は……悲鳴だな、喚き叫んでいる。少々過激に黙らせたけど問題ない。黙らせたというか……彼の声量は変わってませんけど。むしろ音量自体は上がりましたけども。良いんだ、俺達は盗賊とトークする気など毛頭ない。


「ボクはお前らを殺したくてしょうがないんだ。まだ騒ぐ奴は、次は喉を打ち抜くぞ」

「やめとけ」


 どうして君はそんなに頭に血が上りやすいんだろう。かわいい見た目を裏切る戦闘民族だよなぁ。でも、俺も盗賊の命が可哀そうで止めてるわけじゃない。


「今、死なれたら処理するのが面倒だろう。せめて()るなら戻ってからだ」

「戻ったら全部殺していいの?」

「あー…まぁ考えとく」


 ついさっき、アクセルさんに「進んで殺したいわけじゃない」って言ったけど……すみません、アレは無かった方向で。女性が捕まってたせいでセシルが想像以上にキレてますよ。以上の会話が聞こえてたおかげで盗賊生き残り達が大人しくなってくれた。むさ苦しい男共全員をドン引きさせちゃったよ。

 まぁ盗賊が何をどう思おうが知ったこっちゃない。死体は連中に集めさせて、火魔法で灰になるまで燃やし尽くした。別にこのまま放置しても構わないけど、それでも一応の墓を作ることにした。これはサービス。ちょっとした感傷だよ。

 土魔法で墓穴を掘って生き残った盗賊達に灰を墓穴に入れさせて、それを埋めさせた。ロープで手は縛られてるけど、なんとか作業できたようだ。雨が降ってなかったら穴を掘るとこから全部やらせるんだけど…もう早く帰りたいんだわ。

 そして俺が盗賊達のロープを引っ張って誘導する。さぁ、早く帰ろう。いや、こんな連中を引き連れて雨の中を王都まで、はキツイか。助け出した女性たちも居るし……どうしようか。普通に帰ったら2日以上の距離だもんなぁ。


「確か、この近くに村があったはずだ」


 アクセルさんが村の存在を教えてくれたけど、どうしようかな。行きたいけど盗賊共が邪魔なんだもん。こんなの引き連れて村に行ったら迷惑以外の何物でもないんじゃないかなぁ。やっぱ全部片付けちゃおうか……いや、多分だけど近くに出没してた盗賊を退治したんだから歓迎してくれるだろうと思うんだ。せめて朝になるまで、休ませてもらえたら嬉しいな……まだ夜だし。多分、今で午前0時くらいじゃないかと思う。

 助けた女性達は……後で話を聞いてなんとかしよう。彼女達は馬車の幌の中なら雨でも大丈夫だろ。盗賊共は雨の中でも歩こうね。うん、アンタ達は人並みの待遇を求めようとしちゃいけない。


「じゃあ、僕達は先に行ってるからね」

「頼んだよ、気をつけてな」


 クリスとセシルに、近くにあるという村に先行してもらって諸事情を話しといてもらおう。夜の雨の中だから、これだって十分危険ですよ。


 俺達は徒歩の盗賊達とゆっくり行くか。

 襲撃ってのは、実行は良いけど後始末が面倒なんだな。

 学園の試験とか色々なテンプレの時もそうだった。

 派手なイベントの陰には地道な努力が隠されているんだなぁ。

















「あれだな」


 村があると聞いていた方向に小さな火が見えた。クリスかセシルが目印に松明でも用意してくれたんだろう。とりあえずの休憩地まであと少しだ、雨も今は止んでいる。そして想像以上に盗賊達の足が遅い。まぁ酒を飲んで寝ていたところを雨の夜中に襲われてボコられて縛られて更に歩けというのも大変な話で、それはそれでわからんでもない。多分、人生初の経験だろうしな。おそらく人生最後の経験でもあるだろう。なんとか辿り着いたら、セシルが村の入り口で松明を持っていてくれた。クリスは村長さんとお話中だろうか。


「こっちだよ。夜中だから静かにね」


 ルーとアクセルさんや保護した女性達は村長宅へ。俺とセシルは、盗賊達を引き連れて、今は使ってないという家畜小屋へ向かった。少々臭うけど屋根があるだけ充分な待遇じゃないだろうか。とは言っても見張り無しには出来ないので、俺が1人で不寝番だ。セシルは村長宅で休み。

 なんだよ、盗賊より俺の方が屋根も無い小屋の外で見張りって待遇悪いんじゃないの。雨が止んでてくれて良かったぜ。



 以下は後で聞いた話。


 保護された女性達は、ルナとリナという名前の双子の旅芸人だそうだ。家族や仲間の旅芸人の一座で王都を目指して移動していたのを一昨日、盗賊達に襲われたんだって。他の仲間は……もしかしたら上手く逃げ果せた人もいるかもしれないね。今のところ全員生死不明の行方不明だ。

 今夜、救助されるまで彼女達がどんな目にあっていたかは聞くまでもないか。そんなのセカンドレイプになっちゃう。俺達も王都に戻るんだけど……一緒に行く?と聞くと同行したいと言ってるそうだ。

 それは全く構わないけど、あの盗賊の連中は目障りじゃない?殺しとく?……ってこんな台詞を言ったのは間違いなくセシルだろう。そんな前髪伸びたね?少し切っとく?みたいなノリで言う事かね。

 彼女らは、その必要はないと言ったそうだ。しかし連中を許すつもりもない、とも。もし俺が彼女らと同じ立場なら、なんて言うんだろうな。





 そして、こんな重要な会話が俺抜きで行われてるという事実。一応、リーダーなのにな!しょうがない。盗賊達のうめき声やらイビキやら聞きながらの不寝番……消去法で俺がやるしかないじゃん。1人寂しく、小屋の近くに体育座りしている俺。いや、どんな座り方しててもいいんだけど侘しさが増す気がしてね。

 どのくらいの時間が過ぎたか、誰かがやって来て俺の隣に座った。いや誰か、なんて最初からわかってる。ルーだよ。


「寒くない?」

「大丈夫だよ。もうすぐ夏だし」


 既にセシルもクリスも寝たんだって。俺も朝まで1人で不寝番はキツいので、しばらくしたらクリスと交代する予定だよ。そして深夜のストロベリートークを盗賊共に聞かれるのも嫌だからね、ルーには消音の結界を張ってもらった。向こうもガキの会話なんざ聞きたくもないだろうしな。


「……覚えてる?もう少しで、記念日なんだよ」


 概して女性ってのは記念日が好きだよね。

 俺も嫌いじゃないけど…覚えてる?攻撃ってのは本当に怖い。

 何を?って聞いてもダメ。

 当たって当然、間違えたら確実に不機嫌になるもんな。

 性質(タチ)が悪いと思うよ。

 ただし今回のは、大丈夫だけどな。

 忘れるはずもない。


「ルーが迷宮から外に出た日、だね。もう1年も経つのか」


 月下にプロポーズした日でもあるし、初めて俺達がキスした日でもあるんだな。暦の上では7月7日。この世界だと正確には藍の月の7日と呼ばれる。なんかもう、しゃらくせえよな。その意味とか由来も習った気がするけど、カレンダーがあるわけじゃないし暦なんて農民以外の庶民にはあんまり縁が無い気がする。藍の月は7番目の月なので、だからもう7月7日でいいんじゃないですかね。つまり七夕だよ、七夕。覚えやすいでしょ。


「そっか、覚えていてくれてるんだ……」


 異次元な強さを持つくせに……こんな事でそんなに嬉しそうな顔しちゃって。かわいいじゃないか。この人がこんな表情を見せてくれるのは世界でも俺だけだ。最高の特権だよ。これ以上の幸せは無いね。


「じゃあ私の願い事を叶えてくれる約束は、覚えてる?」


 それも覚えてるよ。しかも2つ約束しちゃってる。今、それを言い出すってことは何か願い事があるんですね?どんな願いでも叶えてくれる魔神の願いを叶えるなんて、光栄な話だ。


「はい。記念の日に、私を素敵なデートに連れていってください」


 そんなの、こちらからお願いしたい話だよ。

 本当にそれでいいのかなぁ?


「私の1番の願い事。ロマンチックなデートにしてね」

「はい、期待してください!……ちなみにお泊まりアリですかね?」

「……セシルが1人になっちゃうからダメ」


 落ち着け。彼女の言葉の裏を読み取るんだ。………つまり1人じゃなきゃいいんだな。考えろ。セシルを王城にお泊まりさせるか?いや、お兄さん王子がいるから無理かもしれん。あの野郎……ここへきて俺の邪魔をするのかッ!やはり倒すべき相手だったのか!

 いや待て…!兄は兄でも、ジェロム兄さんがいるじゃないか!残念じゃない方の兄が!新婚さんのご家庭にお願いするのは申し訳ないが、一泊くらいは良いんじゃないか!?良いだろう!良いに決まってる!だって俺の……このかわいい弟のたってのお願いだぞ!?良いに決まった!


「あんまりセシルに無理を言わないでね」


 言うよ!今回ばかりは言う!そりゃ嫌がることをするつもりはないけど、セシルがOKしてくれたら遂に……!落ち着け、いいか落ち着け。まずはセシルの機嫌を取らなければ……これは王都に帰ったら忙しくなりそうだぜ…!

 これから何をどうしたらいいのかサッパリわからんが。困ったときはルーに相談してきたけど……今回はダメだ。あれだろ、女性ってのはサプライズが好きって言うじゃない。あのね、空気を読まない余計なサプライズはマジでうっとおしいだけだから!本当に!っていう誰かの声が聞こえてきそうだ。えー、でも昔ネットで検索したら女性はサプライズ、するのもされるのも大好き!なんてのをよく見た気がするよ?違うの?

 まぁいいか、とりあえずゴールは最高級のホテルを予約するとして……逆算して予定を……高級なレストラン……高級なホテルならレストランも併設してありそうだな…いや待て……。

 すぐ隣にルーがいるのに全てを忘れて熟考していた。気がついたら、先に仮眠していたクリスが起きてきて、交代だと言う。え、もう時間がそんなに経った?


「そうだよ、交代するから疲れてるなら早く寝な。朝は少し遅めに出よう」


 ありがとう。疲れては……ないんだけどな。正確に言うと、デートの約束で疲れが吹っ飛んでしまった。まだしばらく先の話なのに、今の時点で遠足の前の日気分だ。ちゃんと寝られるかな。ワクワクで眠れないかも。


「私は、このままクリスと見張りを続けるから。明日、寝てないからなんて言い訳は聞かないよ」


 最後、少しだけピリッと威圧されてちびりそうになった。うん、少し浮かれ過ぎてましたね!まだ依頼中だもんね!


 でも、楽しみが出来ました!



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