73 情けは人の為ならず
ステータスが上がった俺達が走れば王都までは、わずか数時間で到着することが出来た。うん、俺達が実際に強くなったことを少しだけ実感出来ましたよ。お陰で午後の早い時間には王都にまで帰ってこれた。ただいま、王都よ。
「おかえり。……うん、これで規定を達成したんだね。こんなに短期間でのD級昇格は久しぶりだよ、おめでとう」
「ありがとう。それでミシェルさん、俺達は早速D級昇格試験を受けたいんですが今ならいつになりますか?」
試験の内容はね、実は既に聞いているんだ。
護衛任務を3回、もしくは盗賊討伐を1回のどちらかを達成する。
なんでもD級以上になると、対人戦の機会が増えるそうなんだわ。なので、ものすごくぶっちゃけてわかりやすく言うと、人を殺せる覚悟があるのかどうかが問われる、というわけで。俺達で言うと、王都へ来る途中の襲撃で俺とルーは既に経験済み。セシルとクリスは……まだ。そう、俺は既に人殺しなのです。違う意味での童貞を捨ててるんです。でも証明書がある訳じゃないので、そんなの意味が無いの。
「盗賊の方は……最近大人しいんだよねぇ」
良いことです。王都の近辺にそうそう盗賊が出現されても困るし、もし出てもすぐ討伐されてしまうから昇級試験用にちょうど良いタイミングで盗賊なんて難しいそうなんだ。そりゃそうだろうと思うよ。じゃあ俺達の昇級試験は護衛任務の方ですかね。
「そうだねぇ。こっちの方も探しとくから明日また来な」
「そういえば、ワイバーンの方はどうなったの?」
「アレね、来月のオークションに出すことになったから。ちょっと待たせるけど、その分価格は期待していいと思うよ」
ギルドとは別にオークション会場の方にも最大1割の手数料を払う必要があるんだって。その手数料分も高く売れるといいね。ちなみに、本来ならギルドに支払うオークションの代行手数料っても必要なんだけど。これはミシェルさんが個人的に代行してくれることになった。以前、ヤンクロットの際に上げたお土産のお礼だって。情けは人の為ならず、ですねぇ。
さて………中途半端な時間だけど暇になったな。どうしよう?あ、そういやケーキの在庫も無かったんだった。
「ケーキを買いに行っても良い?」
パーティの誰一人反対するものも居なかったので帰り道にマドレリアに寄ることにした。今日も店の真ん中でドンと構えているのは店長のラファエルさん。糖質よりプロテインだ!的な風貌だけど、この世界において最高峰のパティシエなのだ。
「レティシアさん、また新作が出来ましたか?」
そのマッチョなボディを見ると、パティシエと言うか……むしろプロレスラーの方がしっくりきますよね。魔力より筋力が全て、と言わんばかりのラファエルさんは今日も元気だ。
「今日は客として買いに来ただけですよ。賑わっていますね」
「貴女のお陰ですよ。お、アレクシス君。今日も何か作ってみるか?」
「ですから俺達はケーキを買いに来ただけですってば」
「君もスジが良いから、うちで数年修行すれば立派なパティシエになれるぞ」
「代わりにコイツはどうですか?料理スキル持ちですよ」
「うーん……流石に王子殿下はなぁ」
何を今更。知らないだろうけどラファエルさんも大好きなルーも実は王族の一員だぞ。最近、ここにケーキを買いに来るたびにパティシエに勧誘されている。まぁ……探し物やら目的を全て達成出来たらパティシエも良いかな。夫婦でパティシエ、それもアリですよね。
王都に来た初日のように4人でケーキを食べて、いざという時のルーの機嫌取り用のケーキも買った。これでミッションコンプリート。そんなこんなで時間も遅くなってきたので王城までクリスを送って、常宿の『メレスの黄昏亭』に帰ってきたよ。今日も部屋が空いていて、一安心。
さてどうしようかな。ちょうど良い依頼が見つかるまで、しばらく不動産巡りでもしようかなぁ。でもオークションの結果が出るまで待たないと、予算が決まらないしね。それとも護衛依頼か……1週間ぶりに王都に帰ってきたけど、護衛となるとすぐにまた旅立ちになるかもしれんなぁ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ヒモルフの森に盗賊が出たってさ」
「出ましたか。昨日の今日でタイミングが良過ぎませんか」
「しょうがないでしょ。アンタが言ってきなよ……もうしばらく後で盗賊行為してくださいって」
これがゴキブ……Gの話なら平和なんだがなぁ。まぁ盗賊にも盗賊の事情があるんでしょう。いや盗賊の事情なんて知ったこっちゃないわ。それと同レベルで向こうも俺達の事情なんて知ったこっちゃないだろう。しかし、出てしまったか……盗賊。都合が良いのか悪いのか……。
なんとなく、護衛任務で終わらないかなとも思ってたんだけどなぁ。今回の昇格試験は別に盗賊を皆殺しにしろという話じゃない。全員を捕縛してもいい……というか可能なら、その方がいい。ギルドは人を殺すことも躊躇わない、を求めてはいるが積極的に殺人を推奨しているわけでもない。殺さずに済むのに越したことはない。捕まえれば奴隷にも出来るしね。
ただ、あんまり甘いことを言ってるとお前が死ぬよ、という話でもあってね。自分が死ぬ or セシルかクリスが死ぬくらいなら、盗賊なんざ皆殺しだ。彼等に複雑で不幸な事情があったとしても容赦はしない。
「じゃあ、アンタ達の昇級試験依頼として手続きするよ。いつ出る?」
「今から行きます」
……と威勢の良いこと言ってるが、クリスを連れてこなきゃ出発出来ない。王城経由でヒモルフの森行き、ですな。
さて。ところで。
「どこだっけ?ヒモルフの森って」
知らない事はルーに聞く。アムブロシアの迷宮脱出直後ならまだしも、今のルーは歩く王立図書館だ。賢い妻はなんでも知っている。この世界で最もスマホに近い存在と言っても良い。
「少しは勉強しなさいと……いつもいつも言ってるでしょうが!」
拳で頭ぐりぐりは止めて…痛い痛い!生まれ変わって、しかも一応社会人デビューもしてこんなこと言われると思ってなかった……ごめんなさい、勉強します。そうだぞ、人間は一生勉強だぞ。説得力が無いのは承知の上だ。
頭が割れるほどの痛みと引き換えに手に入れた知識によると、ヒモルフの森は王都から馬車でだいだい2日程の距離にある大きな森なんだそうだ。日中でも薄暗い森で非常に見通しが悪いので、盗賊にとっては最高のロケーション。わかってるなら改善しろよ、と思うが。王都近くだけでも似たような場所はいっぱいあるから範囲が広すぎて対処のしようもないのが現実。
「待ちな、アレク。今回は試験官に同行してもらわなきゃいけないから……今から出られる人を探すからね。少し時間を頂戴」
「はい。じゃあ、その間にクリスを呼んできますね」
王子を呼んでくるくらいは一人でできらぁ。というか最近はセシルが王城に近づきたがらない。主にお兄さん王子のお陰で。そしてギルド内とはいえセシルを1人にするのも不安だ。本人の身の危険はさておいて、どんなトラブルを引き寄せるかわかったもんじゃない。だもんでセシルとルーはギルドで待っててもらう。ついでに数日分の旅の準備をしておいてくださいな。
急いで1人で王城に来てみると、今日も場違い感がすごいよ。俺みたいな小市民的には、ここには何度来ても慣れないね。こんなところ……と言うのも失礼だけど、ここで日々暮らしてるクリスはすごいよ。
出来る事なら入り口で「クーリースくんっ!あーそーぼっ!」って呼んだら出てきて欲しいけど、これだけデカイ建物じゃ無理だろうな。俺はそこまで声量は無いし年齢的にも少々無理があるしな。仮に実行したとしてクリスが出てくる前に衛兵とかが俺を不審人物として取り押さえるだろう。そして、その衛兵さんが絶対に正しい。そんな訳で、大人しく衛兵さんに説明してクリスに取り次いでもらって中に案内してもらいました。
当然のように待たされたけれど、1時間も経たないうちにクリスはやってきてくれた。王子は色々忙しいんだろうけど、事情を説明するとすぐ行くと用意してくれたよ。ごめんね、急で。文句は盗賊に言ってね。
「そうか、いきなり出ちゃったか」
「そうなんだよ。王子的にも自国に盗賊が出現ってのも嬉しくない話だと思うけども」
「だから僕達が討伐するんだろう?急ごう。ああ、せめて天気が良かったらな」
まだ雨は降ってない。でも、見上げると今にも降り出しそうな空模様。前世で死んだあの日を思い出すなぁ。曇天は嫌いだ。雨は……嫌いじゃないんだけどな。
ヒモルフの森まで馬車で2日か……いつもは馬で走るんだけど。もし盗賊を捕縛したとしたら馬車の方がいいのだろうか。盗賊なんざ、縄で縛ってキリキリ走れぃ!と言いたくなるけど五体無事な保証もないし。荷物になったら困る。
どうしたもんかな。
「心配するな。今回は昇級試験でもある為、ギルドから馬車が貸し出される。D級昇格試験で馬を用意できるお前達が普通じゃないんだ」
そう教えてくれるのはC級冒険者のアクセルさん。今回の試験官だ。顔の傷が恐ろしいが、実は面倒見の良い人でもある。俺達が冒険者になって最初に受けた初心者講習で講師をやってくれた人だ……あれから短期間に濃い人々ばかり出会ったせいか、少し懐かしい気がしてしまう。
じゃあ、俺とクリスとセシルは騎馬で。ルーとアクセルさんは馬車で向かうとしよう。知らない男とルーを一緒に乗せるのもイヤだけど、試験官に馭者をさせるのもいかがなものかと思うしな。
もっとその辺を言い出すと、俺も馭者なんてしたことない。王子であるクリスも勿論そうだろう。セシルも未経験だけど騎乗スキルもあるし……思い切ってやってみたら、なんとかなるのかな?帰りに余裕があったら試してみようか。
さて、確認してみるとメーヌでの迷宮探索用に用意した食料や燃料も残ってるし、足りない物はセシルとルーが用意しておいてくれたので準備は問題なし。よし、すぐ行こう。盗賊なんざさっさと片付けるべし。容赦はしないよ。
今回の目的地であるヒモルフの森は王都の北西方面に馬車で2日ほどの距離。それはざっと60~80kmくらいだろうか。大きくはないけど一応街道なので、全員が騎馬で無理して急げば今日の夕方にも着きそうな距離だ。馬には申し訳ないけど馬車もなるべく急ぎで走る。まだ荷が無いからそこまで大変じゃないはずだ、申し訳ないが頑張ってくれ。
途中、時折魔物も発見するが今は急ぐ。でも無視はしないよ、馬車は止めずに俺達3人が急いで行って急いで倒す。解体は後だ、とりあえず今は全部収納魔法で納めて走る。放置すると言う選択肢は最初から俺達には無いのだ。
少し雨が降ったり、止んだりと天気はやっぱりイマイチな日だ。外套をつけてるけど全身ビショビショだな。あー、お風呂に入りたーい。かなり無理目な強行軍だが、そこまでして急いだお陰で、既に日は沈んだけど目的地のヒモルフの森まであと少しという所まで来た。
アクセルさんに言わせると少々どころじゃなく速過ぎるというペースだったようだ。いやいや、兵は神速を貴ぶですよ。まだ雨は降っているけど、ここで小休憩しよう。なるべく水はけの良さそうな場所に木を利用して大きなタープを張って雨避けとした。そして素早く火を起こして暖を取る。もちろん、食事もな。薪とか燃料もちゃんと収納魔法に用意してあるよ。普段ならもう少し早めの明るい時間帯に止まって、薪拾いから始めるところだけど今日は雨だから手持ちから出すのだ。
ルーは今回も同行してるとはいえ魔物との戦い等、基本的には殆ど手出しはしない。今回の試験依頼は実質試験官が2人みたいなものだよ。それでも料理は作ってくれるという甘やかしっぷりを発揮してくれている。
「美味いな!依頼中に野外でこんな美味いものを食えるとは思ってもみなかった」
試験官であるアクセルさんにもルーの料理は好評だ。まさかあのデカイ黒鎧の中身がこんな料理上手の綺麗な女の子だとは思うまい。本日のメニューはブラックバイソン……まぁ黒毛牛のビーフシチューだ。煮込み料理だけども、今回はお肉を薄切りにして時間短縮している。更に風魔法を応用して鍋の中の圧力を高めて即席の圧力鍋としているから、短時間でも具材は柔らかい…とルーが言っていた。色々工夫してるんだねぇ。じゃがいもやキノコもまだまだ新鮮な状態でたっぷりあるから尚のこと美味しい。
「さて、見張りはどうするつもりだ?言っておくが俺は試験官だから頭数には入れんでくれよ」
「予定通りの時間でここに来れましたからね。もう少し夜が更けるのを待ったら夜襲するつもりです」
「大丈夫なのか?さっきも言ったが急ぎすぎてないか。あまり焦るな。まだ相手の場所も特定してないんだぞ」
「この速度は俺達の通常通りですよ」
ちょっと嘘です。俺達の通常速度は誰かが馬を降りて走ってるから、今日の速度よりほんの少し遅い。ハッタリですよ。ええ、試験官相手に少しでもカッコつけたかったんです。
「盗賊に関しては、今から俺とセシルが偵察してきます。行けるよな?」
「もちろん。馬で来たから元気が余ってるよ」
クリスは休憩だ。休憩って言っても眠れない休憩なの。クリス達は3人で残るけど、そのうち2人は依頼には手出ししない人々だからね。実質1人でお留守番だ。ある意味、大変なのはクリスなのかもしれない。さて、行こうか。実は偵察任務も俺は初めてなんだよね。まぁ……セシルが居るし大丈夫だろ。信頼してるぞ、セシルくん。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「アレク、もう少し静かに出来ない?森中にボクらの存在がバレちゃうよ」
「……努力します」
いきなりセシルに怒られた。難しい。偵察任務、めちゃ難しいよ。思いっきり枝をバキボキ折りながら移動してしまってたわ。我ながら雑だな。しかし雨の森…こりゃ最悪だな!大人しくセシルの後ろを進もう。雨の夜で光が全く無い森の中、雨の音やら魔物や動物や虫の声で意外と賑やか。これらが俺達の気配も消してくれるだろうから、その点はありがたいけどね。
俺の気配察知の範囲は、まだセシルに比べたら全然狭いのでセシル頼みだ。じゃあ俺は何のために来たんだと思われるかもしれないが、盗賊の潜む森にセシルを単独行動で行かせるわけにはいかんでしょ。……ものすごく邪魔してるかもしれないですけどね。
「あった」
セシルが立ち止まって、地面をじっくり見ている。何があったというのだ。この暗さで何がわかるねん。
「ヒトの足跡だ。もう殆ど消えかかっているけど……あっちに向かってるね」
この状況でもわかるんだ……足跡。スゲーなお前。確かに迷宮で罠もすぐ見つけてたもんな。基本的に目が良いのかね?生まれ変わった俺も視力は相当良くなったんだけどな。視力より注意力とか観察力なのかな。そういえば前世での通信簿に注意力散漫な子です、って書かれたことがあったような気がする。ここは余計なことは言わずにセシルが指す方向へ進む。今、この瞬間も学ぼう。セシルの真似をして斥候のなんたるかを学ぼう。学ぶは真似る、だ。確か語源が一緒なんだよな。そもそもの学ぶの語源を知らないけども。
「あれだ………見つけた。10人以上…多分20人近く居る。こんな時間にこんな場所であんな人数で………あれは盗賊の可能性が高いと思う」
しばらく進んだ後、立ち止ったセシルが静かに囁いた。俺の気配察知は……ナニカは感じてはいる。でもそのナニカが人かどうか、人数も殆どわからない。どちらにしても目視も必要だ。もう少し近づこうか。もしかしたら相手にも気配察知スキルを持つ者が居るかもしれない。慎重に、慎重に。
しばらく進むとセシルが、もう喋るなと合図してきた。いよいよ近いんだろう……いや、俺にもわかった。明らかに人工的な柵が見えた。想像していたような砦的なアジトじゃない。本当に粗末な……素人が無人島で頑張って住居を作りました的なアジトだよ。テレビの無人島生活年末スペシャルで芸人が作ったのなら拍手喝采な出来栄え。じゃあ、お前がしばらくここに住んでみろよ、と言われたらノーサンキューな出来栄えだ。それでも柵だけはかなり高さがあるし、しっかりしてる。やっぱり魔物が出るからだろうね。
こういうのでよくあるように、篝火があって見張りが居るんだろうなと思ってたが……篝火はない。今夜は雨も降ってるし森の中で篝火じゃ逆に目立ちそうだもんな。それに見張り……門番みたいなのは居ない。あの粗末な小屋の中から見張ってるんだろうか。それとも鳴子みたいな罠でも作ってあるのか。今のところ罠もなにもないけどな。とりあえず、周囲をぐるっと確認しよう。
考えてみれば、この森での盗賊が騒がれだしたのは極最近のはずだ。なんせ今朝、ギルドに届けられた依頼なんだから。そんな大規模な盗賊団じゃなくてもおかしくはない。勿論大規模でもおかしくないが。そして今、目で確認しても実際しょぼそうだ。当たり前だけど、だからって油断するつもりもないよ。
よし、確認終了。一旦戻って改めて3人で奇襲しようか、とセシルに合図した瞬間だった。
どこからか絹を裂くような女性の悲鳴がかすかに聞こえた。十中八九、あの中からだろう。同時に複数の男達が大笑いする声も。あの中で女性が襲われている…!万が一盗賊じゃなかったとしても、こいつら堅気でもないだろう。
俺は咄嗟にセシルの肩を抑えた。
ほら、助けに行こうとした。こいつはそうするヤツだ。
「待っててよ、ボクが助けてくるから!」
器用に小声で叫ぶ。むしろ、お前が待て。その気持ちはわかるが。
「人質諸共、全員を皆殺しでいいなら2人で構わないけど、人質を助けたいなら戻るぞ」
セシルの肩を持つ手に力が入った。俺だって助けたいんだよ、わかってくれ。セシルは…というかセシルも基本的に頑固。でも、俺の言うことはだいたい聞く。聞くというか無理矢理聞かせてるだけですよ。俺はセシル以上に頑固だからね。セシルは、ほんの少し躊躇ったが頷いてくれた。急ごう。さっきの悲鳴の主が誰だか知らんが彼女を待たせるわけにはいかない。聞こえる訳ないだろうけど、すぐに戻るよと勝手に彼女と約束した。
再び静かに、でも来た時以上に最速で戻る。予定では盗賊共も寝てしまうような、もっと深夜まで待ってから夜襲したかったんだけどな。草木も眠る丑三つ時ってやつだ。それも3人揃っての最大魔法で一気に全部を吹き飛ばしちゃえ、くらいのシンプルプランだったが。吹き飛ばして明るくなる朝まで待って残骸を確認して帰ろう、くらいの考えだったのに。囚われてる人がいるとしたら一掃作戦はダメだな。そのくらいは最初から考慮しとけ、って話だけども。俺達に……特に俺に多くの期待をされても困る。
ええ、今日も行き当たりばったりなんです。
多分、明日もそうです。
そして、きっと明後日も。
改善しろ?これが俺達の最善じゃないですか。




