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57 詩人を連れてくるべきだった

 


「あれ、そうじゃない?……うん!そうだよ、おじさん達だよ!おーいおーーい!!」


 冒険者というフリーター的な生活をしているので時間の余裕もあることだし、俺とルーとセシルの3人で王都から街道の途中まで父さん母さんを迎えに来たよ。この辺では魔物もそんなに出ないはずなんだけど、やはり心配は心配だ。俺もあんまり過保護魔神のことは笑えないなぁ。


「おぅ、セシルかー!元気そうだな!」


 父は相変わらず元気そうだ。声がデカい。久しぶりだけど所詮数ヶ月程度での再会だからな。俺達がまだ成長期だからってそうそう背も伸びない期間だ。そうでなくても……俺はさておきセシルの身長はほとんど伸びてない。そりゃ女の子に見えるはずだわ。

 父と母は乗合馬車で来るのかと思ったら、オルトレットから2人だけで馬車で来たらしい。意味も無く「チャリで来た」を思い出した。全然関係ないが。パパン、ママン……熟年夫婦二人旅、ですか。それはそれで素晴らしいんだけど、もしかして来年になったら弟が出来るとかないでしょうね。いや、出来てもいいんだけどさ。俺もそんなデリカシーの無いことは実際に口にはしないよ。したこともあるけどな。


「お父様、お母様。ご無沙汰しております」

「レティシアさん、お久しぶり。アレクは皆さんに迷惑かけてない?」


 母親ってのは、どの世界のどんな時代でもこんなもんなんだろうか。やめてよ、恥ずかしい!でも、迷惑は結構かけてる。母の心配は的中してるわ。


「いえいえ、アレクはよくやってますよ。冒険者としてのランクも上がりましたし、ギルドマスターにも目をかけられています」


 正確に言うと、目をかけられているというよりは目を付けられているだと思う。あるいは睨まれている、と言ってもいい。犯罪は……ルール違反もしていないはず、なのにな。なんでだろうね……登録初日に先輩の股間の玉を砕いて(セシルが)、ギルド内武闘会を勝手に開催して金を稼いだり(ルーが)、王族なのにその武闘会に参加して有象無象の冒険者と模擬戦したり(クリスが)。あー、緊急依頼に勝手に参加してヤンクロットを救ったりもした。これは俺だけど…。

 後悔はしていないが、反省はしてもいいかもしれない。でも、よく考えたら俺はあんまり悪さはしてないよな!どちらかと言えば被害者側だよ。ヤンクロットの件は……確かに暴走したけど、あれだって最初にセシルとクリスにけしかけられてるんだよ。


 父と母、なんだかんだで俺がパーティ随一の常識人なんだよ。そういう信じられない的な顔しないでくれる?


「常識のある普通の騎士の息子ってのはな、大公陛下と口喧嘩なんかしないんだ。何度、俺の首が飛ぶかと思ったぞ」


 ………そうなんだ。知らなかったな。そんなの教科書には載ってなかったよ。頑張って覚えとくわ。すぐに忘れると思うけど。





 随分と昔。勿論俺がこの世界に産まれる遥か以前、俺が会ったことも無い爺さん婆さんと一緒にオルトレットに引っ越したと言う我が父は、実は元々王都の生まれだそうだ。意外だった。父よ、実はシティボーイだったんですね……ワイルドな顔なんで田舎育ちかと思ってた。むしろ山の中で育ったタイプかと思ってた。なんとなく。チンパンジーに育てられたとしても、やっぱり苦労してたんだなぁと納得してしまうくらいなのに。父親相手に言い過ぎでしょうか。今回は息子の結婚式が目的だけど、父故郷に帰る、でもあったんだねぇ。ちなみに母はオルトレットの出身ですよ。


「レティシアさん、せっかくだからこっちに乗りなさいよ。2人乗りは大変でしょう?」

「よろしいですか?では、お邪魔します……アレク、えーじゃなくて。ヤダでもなくて」


 こうやって父母を迎えに来たのも、動機の半分くらいはルーと一緒に馬に乗れる、だったのに。ここまでも彼女に密着してきたのに。バレないようにクンカクンカしてたのに。


 そんな俺の貴重な癒しの時間を奪うとは。

 下衆の極み。まさに鬼畜の所業。

 俺は鬼の子だったのか。


「泣くほどか。喜ばしい息子の結婚式にやって来て、一番下の息子が心配になってきたぞ」


 黙れ黙れ、鬼の夫婦め。

 これは人の姿をした悪魔の所業だぞ。









               ◆◇◆









 本日、ついにジェロム兄さんの結婚式である。


 突然ですがヨーロッパの結婚式なんぞ俺は知らん。そして当然ながら異世界の結婚式についてなんて知る由もない。もっと言うと日本の結婚式だって詳しく理解してるわけでもない。なのでね、目の前で繰り広げられている結婚式が日本の結婚式とどう違うのか一緒なのか分かんない……。俺自身は前世で未経験でしたので……友人・家族の結婚式に出たのみですわ。似たようなもんじゃねーの?違うの?こっちの世界では兄と姉、あとはせいぜいセシルの兄弟の結婚式は経験したけども。

 異国の……しかも、この中世~近世相当のこの世界の結婚式と日本の結婚式との差異なぞ知らん。そうは言いつつも多分、共通点と思われる事もいくつかあった。元々そういうものなのか、過去に居たらしい地球からの転生者が広めたのか。機会があったらキリヤマさんに聞いてみるか。


 まずは、この世界でのキリスト教的な存在であるファニエル教の教会で結婚式を行う。牧師さんか神父さんか知らんが、あの日本でも見たような「病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫として妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」的な誓いの言葉を交わして指輪交換。この辺りは日本でも見たことある光景ですね。ちょっと驚いたのが、これは単なるイベントや儀式じゃなくて公的な手続きだった。この儀式が役所に婚姻届を出すようなものなんだって。教会そのものが結婚という契約の公的立会人なんだそうな。わかったような事を言うけど、実はよくわからん。

 この世界に離婚がどれくらいあるかどうか謎だけど、離婚のときも教会に来る必要があるんだろうか。いやいや、大好きな兄の結婚式で縁起でもない。何を考えているんだ、俺は。




 改めて、指輪交換をしている兄夫婦(式の途中だけど、もうこう呼んでもいいよね)を見た。純白のドレスじゃないけど、華やかなドレスで愛を誓っているのが新婦クララさん。今日、俺のお義姉さんとなる方だ。綺麗な長い髪が風に少し揺れている。ジェロム兄さんが一目惚れしたそうだけど、確かに綺麗な人だ。そして何より彼女は幸せそうだった。

 そりゃ兄は惚れたんだからいいさ。女性側……クララさんは、政略結婚じゃないけど親である騎士団長に強引に結婚を決められたのじゃないかと思ってた。この時代なら結婚相手に不本意でもしょうがないというか、テンション低かったらどうしようと思ってたんだ。

 ところが、どうだ。クララさん、意中の人と結婚したと言わんばかりの満面の笑みですわ。これは……ジェロム兄さん、やりやがったな!この世界この時代で相思相愛の恋愛結婚を成し遂げたのか。お見事!流石は自慢の兄だね!



「素敵な、夫婦だね」


 ルーが、俺の腕に抱きつきながらそう呟いた。貴女こそ、今日も素敵ですけどね。この感動、どうやって人に伝えよう。言葉にならない。映画の台詞じゃないが、ここにこそ詩人を連れてくるべきだったな。本日のお召し物は新婦を邪魔しないように落ち着いた色の、でも上品なドレス姿だった。普段がパンツスタイルでスカートなんて着てくれないから、こういう服装もレアで美しいぞ。なぜ、ここにカメラがないのだ。この世界は素晴らしく美しいが残酷で理不尽だ。しょうがない、目に焼き付けよう。

 笑顔に溢れた結婚式を終えて、続いて披露宴……みたいな感じでお祝いの宴会だ。昨日のうちから母とルーを中心に料理の仕込みを行っている。ええ、用意は万全ですよ。


 幸せ夫婦め、今日はやってくれやがったな。

 お返しに最高の料理を味わっていただくぜ。



 料理に関しては俺とクリスとセシルも参加して、いつでも出せるようにほぼ仕上げてあるよ。あとは、臨時雇いの給仕人たちが順に運んできてくれるので、俺達も今からは殆どが食って飲むだけである。別にコース料理を提供しようって訳じゃないので前菜からどうぞ、と皆さま一人ずつにお皿を出す形式じゃない。貴族の晩餐会ではないのだ。テーブルの上に大皿をドンと用意して各自で取り分ける形式だ。大丈夫、量は尋常じゃないくらい用意してある。


 オープニングを飾るのは、母特製のブイヤベース。我がシルヴァ家の子供達はこれを食べて大きくなったのだよ。日本で俺も作ったことがあったけどレシピか素材か料理人の腕なのか、何がどう違うのか知らんが母のブイヤベースはバカ美味い。不思議と煮込まれた魚介類は固くならずに出汁は濃厚なんだ。ワインとかの酒にも合うしパンとの相性も抜群なんだよ。家庭料理だけどパーティの場でも映えるね。

 それに対抗するわけじゃないが、ルーが作った鯛のポワレも大好評だ。80センチオーバーの大物を丸ごと焼き上げた一品は、海から離れた内陸にある王都ではさぞ迫力があるだろう。結婚式に参列してくれたゲスト達も、まず大きな魚の見た目に驚いて次に食べて美味しさに驚いてくれている。ちなみに鯛と言ったが、この国ではカフチと呼ぶ。どこからどう見ても鯛にしか見えないが名称はカフチ。この世界でも鯛の鯛を探してしまったが、正確にはカフチのカフチと呼ぶべきなんだろうな。しかし、しゃらくさいので俺は鯛と呼ぶ。だって、そんなの言い出したらキリないじゃないですか!

 俺とクリスは魚料理としては白身魚のムニエルを作ったよ。バター風味でワインにぴったりだ。出来は、まぁ上出来じゃないかなぁ。我ながら美味しく出来たと思う。それでも母やルーの料理と比較するのは酷ってもんでしょう。これらの海鮮料理にジェロム兄さんも大喜びだし、クララお義姉さんも初めて見る海鮮料理もあって驚いたり味わったりと忙しそうだ。喜んでもらえると作った甲斐があるってもんだね。


 しかし、まだまだぁ!


 第2陣は肉料理中心だぞ。ルー作製のワイバーンの塊肉のロースト、セシル特製のレッドボアカレー、これまた俺とクリスの合作であるワイバーンのハンバーグなどがテーブルの上に所狭しと並べられる。

 ハンバーグは、ワイバーンの挽肉とホーンラビットの挽肉を8:2で練った上で、ナツメグらしきスパイスや胡椒も加えて、これなら店でだせるんじゃないかなという一品を仕上げた。自信作だ。

 ローストワイバーンには鴨じゃないが、ワイバーンの血や骨からも出汁を取ってソースとした。本来、かなり貴重らしいんだよ、血も骨も。このテーブルの上の料理だけで……現金に換算すると幾らくらいになるんだろうね!俺も知らない。計算してジェロム兄さんに教えたら卒倒されそうだ。いや、俺も卒倒するかもしれん。知らぬが仏である。







「おお……セシル嬢!!今日は格別に美しい!!このまま俺達も式を挙げようではないか!」


 うるせぇなぁ……誰だよ、マティアス王子を呼んだヤツ。箔がつくから王子に来て欲しいとクリスには言ったけど、王子なんざ1人でいいんだよ1人で。いらねぇんだよ、こっちは。クリス、お前か。お前が言ったのか。


「つい……アレクと僕とセシルで料理を作るって…」

「俺はまぁ……いいんだけど、後でセシルの機嫌取って来いよ。見ろよ、ビックリしすぎて魂が口から出てる顔になってるぞ」


 今日は結婚式ということで、セシルもおめかししてます。何故かドレスを着ています。ヒラヒラの。スカートの。うん、素敵なドレス。かわいいドレス。

 結婚式だし、似合うだろうってルーが仕立ててくれました。それに対して俺から何か言うことなどあろうか。セシルも最初は戸惑ってたよ?これ…ボクが着るの?って。

 でも着てるからね。そして俺以外の誰もが違和感を覚えてないんだもの。父も母もジェロム兄さんも、今日のセシルはかわいいね、で終わっていたからね。あのさ、貴方達はよくご存知でしょうけど、そのドレスを着ている子ってお隣の家の息子さんやで……?でも確かに実際、似合ってるしね……今更、俺から何か言うことなどあろうか。


「これはマティアス殿下……クリストファー殿下とお2人に来て頂けるとは光栄の極みでございます」


 現われた王子達に挨拶してるのは、新婦の父親の騎士団長殿だ。どうだどうだ、団長さん。ジェロム兄さんの為に王族が祝いにやってくるんだぞ。この結婚、大成功だろう?娘の結婚相手に選んで良かっただろう?なんてったって、俺のジェロム兄さんなんだからな。自慢の家族だ。


「ラッジ団長、本日はおめでとう。どれ、本日の主役の2人にも挨拶しようか」


 そう言って新郎新婦に挨拶しようとするお兄さん王子。クリス、お前も一緒に行って来いよ。お兄さん、セシルの手を離さないつもりだぞ。セシルはセシルで、口から魂出てたままの顔して無抵抗になってるし。お前が責任取ってフォローしてこいよ。

 俺は俺でルーと楽しくトークでもしたいところなんだが、今日の彼女はずっと俺の母と一緒に動いている。俺の家族に気に入られるのが嫁気分で楽しいんだって。我が家では嫁と姑のドロドロな抗争とは無縁だね。2人とも仲が良くて楽しげなので、お邪魔虫は余計なことはしないでおこう。


 平和だ。ああ、ワイバーンの肉も美味い。

 今日は天気も良いし久々に魚食って酒も飲んで最高ですね!










「おい、アレクシス。どういうことだ……これは」


 そんな俺のつかの間の平和を乱す、結婚式に最も似つかわしくない顔1位の人が、そこに居た。王都の冒険者ギルドマスターのジル・モルガン。隻眼のスキンヘッド親父が何故ここに。グッバイ、平穏な時間。返せ、俺の平和を。


「こっちの台詞ですよ。なんでギルドマスターが俺の兄の結婚式に来てるんですか」

「あ?………そうか、新郎はお前の兄貴だったのか。まさかこんな偶然があるとはな。俺は騎士団長とは長い付き合いでな…クララが赤ん坊の頃から知ってるんだ。昔からかわいがってきたクララの結婚式に居るのは、当然だろうが」


 この顔で?あのクララさんをかわいがってきた?それは相撲業界のかわいがり的な意味なんだろうか。それとも一般的なかわいがりの方なんだろうか。あなたのその顔で……子供を普通にかわいがるとか、俺の想像力の限界を越える。そんなのゾーンに入っても無理だよ。


「まぁそれはいい。それより……これ、ワイバーンの肉じゃねぇか?」


 あ、バレた。マッハでバレた。それも冒険者ギルドの一番偉い人に直でバレた。証拠を食いながら言われた。ギルマスだけに過去に食ったことがあったのかな?うん、想定外です。


「ナ、ナンノコトデスカ?」

「すっとぼけるならもう少し上手くやれ。どうやって手に入れた?」


 別に悪いことした訳じゃないんだから、卑屈になることも無いはずだ。堂々と反論してやれよ、俺。あの、その、ですからモゴモゴモゴ……。


「これだけの量だと……少なくとも数千万(ガル)はするだろう。どこで買った?というかその金をどうしたんだ」


 めっちゃ怪しんでるやん。違う方向で。え、悪いことして金を稼いで、その金でワイバーンの肉をゲットしたと?無理を言うなよ。俺達はそんな金を稼げる悪い事がまず思いつかないんだよ。そしてどこでワイバーンの肉が買えるのかも知らないぞ。合法的に獲ってきたことを証明せねば。盗ったじゃなくて。


「モンブリーの方まで出向いて、獲ってきました」

「ああ…?E級パーティのお前達がそんなこと出来るはずが………」


 出来るはずがない、そう言おうとして俺達が数時間でヤンクロットに移動して2体のドラゴンゾンビを倒したことを思い出してくれたようだ。うん、出来ちゃうんだよ。俺には出来ないけど、俺達は出来るんだな。


「なにか、討伐の証拠は無いのか。肉以外の素材とか……討伐証明の翼爪はないのか」


 証拠なぁ……肉という立件の証拠は現在進行形でどんどん無くなっているんだけどな。翼爪もあるんだが、今はルーが収納魔法の中に収納している。しかし、彼女は俺の母と蜜月中だ。こんなことで邪魔はしたくない。こんなハゲに邪魔はさせん!他に何かないか……あった!


「そうだ、逆鱗ではどうですか?ワイバーンの逆鱗」

「逆鱗があるのか!?お前…それ一つで家が買えるほどのレア物だぞ!?」


 そうなのか!ルーがセシルに簡単にあげてたから、鯛の鯛扱いだったわ!あ、関係ないけど後でルーのポワレの方も鯛の鯛を探してみよう。それはさておき逆鱗は……えっと。どこだ。どこへ行った、逆鱗。


「逆鱗はセシルが持ってるんですよ……あ、いた」


 そのセシルは王子2人に挟まれて、新郎新婦に御挨拶中だった。黙っていればイケメンな王子2人に挟まれて、かわいい姫にしか見えないセシル。本人の意思や事情を何も知らなければ華やかですねー。遠くから微笑ましく見守っていてやりたいが、そうもいかなくなった。ギルマスもついてきてよ、証拠を見せりゃいいんでしょ!




「ジェロム兄さん、クララさん。本日はおめでとうございます!」

「アレク、ありがとう。どうした?こちらは…?」


 幸せいっぱいの2人に、この上なく厳ついおじさんをお届けしてしまった。ごめんね、俺の心は罪悪感でいっぱいですよ。違うの!嫌がらせじゃないの!…ってクララさんの方は厳ついおじさんと顔見知りなんでしたね。


「まぁ、おじ様。今日はありがとうございます」


 マジっすか。これがおじ様ってツラかね……鬼様の方がよっぽど世界の理解を得られる気がするぜ。クララさん、目ぇ覚ませぇ!!とか言ってビンタでもしてやろうか。間違いなく周囲の全員からボコボコにされるだろうな。


「ちょっとセシルをお借りしますね。おい、セシル!しっかりしろ。魂を戻せ」

「すぐに返してくれよ、アレクシス君」


 セシルはお兄さんのじゃないでしょうが。後で正気を取り戻したセシルに蹴られるといいわ。


「…………はっ!?なんか記憶が飛んでた……何があった!?」

「多分、大丈夫だ。それよりワイバーンの逆鱗、持ってる?」


 自分で言っておいてなんだが、一体何が大丈夫なんだろうね。それより今はワイバーンの逆鱗だよ。ほら、この前貰ったやつ。あれ、持ってる?こんなドレス姿で魔物の鱗なんて携帯してないか?


「あー、あれはさっきクララさんにあげちゃったよ。ほら、あれ。ペンダントに加工してお守りとしてプレゼントしたんだよ」


 ……だそうですよ、ギルドマスター。見えますか?あなたのかわいがってきたクララさんの胸元でエメラルドグリーンに輝く……あれが逆鱗、か。へぇ……あれで家一軒買えるのかー。クララさん、結婚初日に最強のへそくりゲットだな。しかしこうなっては兄嫁に返して、とは言えませんなぁ。あれで証拠になりますかね?


「……やっぱり、お前らは要警戒だな。お前らのストレスで髪が抜けるわ。ワイバーンなんてB級以上のパーティが複数で討伐にいくもんだぞ」


 いやいや、あなた初対面の時からハゲてたじゃないですか。剃ってるのか元から無いのか知らんけどスキンヘッドだったじゃないですか。俺達のせいにしてるんじゃねぇですよ。そしてワイバーンを倒すのは俺も1人じゃ無理ですよ、多分。クリスとセシルの3人がかりなら……なんとかなるだろうか。

 ギルマスには言わないけど、うちのパーティには魔神がいるからね。最強にかわいくて素敵で少々過保護な無敵の魔神が。頼りきりになるつもりもないけど、彼女が居る限り俺達のパーティにはほぼ不可能が無い。


 今もギルマスの後ろで、俺の母親と楽しげに談笑してる美しい魔神のことをギルマスの耳に入れるのは、多分ずっと先の話だ。



拙い小説ですが読んでくださり、ありがとうございます。

この小説を読んで少しでも面白いと思ってくれた、貴方or貴女!

是非とも感想、レビュー、ブックマーク、評価を頂ければこれに勝る幸せは御座いません

(人>ω•*)お願いします。

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