48 キンキンに冷えてやがるっ…!
久しぶりに夢を見た。
日本の夢。
日本にいる夢だ。
日本なんだけど、俺が居てルーが居た。
2人で色々な場所をデートしてる夢だった。
買い物したり映画を見に行ったりカフェに行ったりとベタなデートしてた。夢の中でルーは眼鏡をかけていたけど、それも似合ってて素敵だった。夢の中の彼女はよく笑ってて、楽しそうで幸せそうだった。こんな感じで、ずっと笑っていて欲しいな。
これは……正夢になるといいな。いつか、日本にルーを連れて行ってこんな風に遊べたらいいな。
そんな良い夢を、見た。
ああ、フロイト先生は今回は出てこなくていいよ。どうせ俺の中のフロイト先生は性的欲求不満としか言わないからな……あ。そういえば寝る前、欲求不満だったわ。どちゃくそ性的欲求不満だったわ!フロイト先生、今回もアンタが正しい。すんませんでしたっ。
『ご主人様、朝ですよ~♪』
思わずカッと目が開いてしまった。早くもメイド服バージョンのルーが来たか!?やるじゃないか運営。こんなにアップデートが早いとは……!
『だから、メイド服は無いんだってば。そのうち作っておくから今は我慢して』
流石に無理だったか。言ってみただけでそこまでメイド服フェチじゃないから大丈夫。それに今度っていつだよ。またこんな風に走ってぶっ倒れるつもりはないよ。こんなのは人生最初にして最後にしたい。え、これもフラグ?
ふと窓の外を見ると青空が見えた。寝る前も空が青かったせいで混乱する。昨日の昼過ぎからひたすら寝てしまったようだ。さて俺の身体の方は……
『あたたたた……痛いけど、少しは身体が動くようになってきた!』
本来の普通な全身筋肉痛くらいになってきたわ、ようやく。助かった、さすがにトイレも限界が近づいてきていたからね。下手なロボットダンスみたいな動きをしながらルーに肩を貸してもらって、階下のトイレへ行く。さすがにおまるとかオムツの使用は勘弁して欲しい。そういう性癖も否定はしないが俺は無理なんだ。
そのまま、一階で食事も済ませることにした。今日の朝食は大きめのオムレツにベーコンとソーセージだ。それにパンとスープ。ちょっと朝からヘビー気味だが昨日の夕食を食べてないからお腹は空っぽ。余裕で平らげた。まだまだ全身が切ないほどに痛いので、再びルーに肩を借りて2階の部屋に戻ってベッドに入る。
はっ!今なら、頑張ればぱふぱふまで辿り着ける気がする!
ぱふぱふしてほしいっ!
『朝から何を言ってるのかな、君は……』
婚約者から心底からの軽蔑の眼差しを頂いた。美少女の冷たい眼差しで全身が凍りそう。えー、俺がしたい時はルーもしたいんでしょ!?そういう決まりでしょ!?
『別に決まりではないし……私は痴女でもないの。それにもうすぐセシルとクリスも着くんだよ』
昨日のことを思うと、その意見にはイマイチ説得力に欠ける気もする。しかしセシクリが来るならしょうがないか。まだまだ若い2人への教育的配慮は必要だ。俺も最低限の良識は持ってるからね……本当にギリギリ最低限だが。
『王都からの応援で、もう到着してる冒険者達もいるみたいだよ。北門の修復とかで人手はいくらでも必要だから無駄足でもなかったんだって』
かなり派手にぶっ壊れてたし燃えてたもんね。あれらの瓦礫を片付けるだけでも大変だろうね。そういや、東日本の震災から5年くらいしてから岩手県に行った事もあったなぁ……。あの時、テレビで見たような瓦礫はもう無かったけど、町だったはずの場所が一面の平地になってたのは衝撃だった。あの景色を見て無性に悲しくなってきたのを思い出した。普段の生活の場所がいきなり消えるってのは知らない街であっても悲しいものなんだよ。
こうやって寝込む前にアンヌさんには言付けしてある。セシルやクリス、『血塗れの火炎』の連中は到着したらヤンクロットの冒険者ギルドに行くだろうからね。俺達はこの宿に泊まってるよ、と確実に伝えてもらえるはずだ。ルーがちょっと走ってくれてもいいんだけど、もう俺から離れるつもりはないの一点張りです。少し過保護が過ぎると思うけどワレンのこともあったから、なのかもしれない。
朝食を平らげてから、だいたい2時間くらい経過した頃だろうか。コン、コン、コンと扉がノックされた。ルーが対応してくれて、扉を開けた。やってきたのは予想通りセシルとクリス、それと『血塗れの火炎』のリーダー、アルバンさんだった。
「アレク、大丈夫?」
2人が心配そうにベッドまでやってきてくれた。まるで子供の頃、ブラッドウルフに襲われたあの日みたいだな。あの日は正直言って死ぬかと思ったけど、今回はルーが居たから命の危機はなかったよ。何故か貞操の危機はあったが。ムラムラで死にそうにはなった。
「ああ、筋肉痛で全身が痛いけど怪我はしてないよ。うん、大丈夫だ」
ちょっと痛みで顔が引きつっちゃうけど、笑顔で返事できたと思う。
「聞いたよ。ホントに昨日のうちにドラゴンゾンビも倒したらしいな……バケモンかよ、お前。いやスマン、本当にありがとうな」
アルバンさん、倒したのは俺じゃなくて俺の身体を使ってルーが倒してくれたんだよ。説明がややこしいから言わないけど。『血塗れの火炎』の他のメンバーも既に到着して、そのまま怪我人の救助や瓦礫撤去なんかに行ったんだって。うん、やるべきことは沢山ある。俺の見舞いなんざ後回しでいいんだよ。
「ミシェルから聞いたそうだが、この街は俺達の故郷なんだ。家族や大事な人も大勢いる。俺達が命を張ってでも護るつもりだったんだが……全てお前のお陰だ」
俺達はアッシンさんやアルバンさん達に死んで欲しくなかったんだよ。そして俺達には無敵の魔神が味方になってくれていた。たまたま、運がよかったんだ。
そうは言っても北門は壊された。そして何十人も死んだ。まぁそれは俺の責任でもないが、めでたしめでたしと言うつもりもない。俺達は結局、アルバンさん達『血塗れの火炎』のメンバーの為だけにやっただけ。これは俺達の勝手と我儘の結果なんだよ。
「それでも、だ。それでも、ありがとう……本当にありがとう!」
昨日の俺と同じ事言ってら。でもね、涙を流して感謝を述べる男に余計なことは言わないさ。ああ、良かった。どうやら俺達は目的を達成したようですよ。
でも、まだ全部終わってないぞ!無事に家に帰るまでが依頼ですよ!……あ、俺達は勝手に来たから依頼でもないわ。だから逆にいつ帰ってもいいんだけどさ。その前にやらなきゃいかん事がいくつか残ってる。
ヤンクロット冒険者ギルドのギルドマスターに経緯を説明する必要がある。アンヌさんには動けるようになったら説明に行きますと言ってあるんだけど、皆が来てくれたからね。俺はまだ要介助だけど、ルーに行ってもらえれば済む話だ。
それ以外にもルーに行ってもらわないといけない理由がもうひとつある。ドラゴンゾンビの素材一式、収納魔法で回収してあるんだよね。ドラゴンゾンビを倒した以上、俺達が所有権を主張できるかもしれないけどさ。
街がぶっ壊されて多くの人が亡くなったんだし素材はギルドに提供して有効利用してもらおうよ。竜の素材なんて高値で売れるんじゃない?こんな状況だ、金は幾らあってもいい。勿論、俺達だって金は欲しいけど、金なんてまた稼ぐからいいよ。
「そりゃあ、ヤンクロットとしてはありがたいだろうけど……セシルもクリストファー王子もいいのか?」
「ボク達はドラゴンゾンビ討伐に貢献してないしね」
「アレクならそう言い出すと思ってましたよ」
この2人も俺以上に金には無頓着だ。それに2人共、既に大金を持っている、と言うのもあるかもしれないけど。いや、俺は金に無頓着ではない。むしろ金の亡者側ではあるんだけど、そんな俺でもそんな場合じゃないのは分かるよ。
俺の護衛というか、一応の身の回りの世話係としてセシルがここに残ってくれることになった。そしてルー、アルバンさん、クリスは冒険者ギルドへ。説明その他ややこしいことは、ちゃんとした組に任せた!
そういや、セシルと2人きりなのも久々な気がするなぁ。好奇心旺盛なセシルは、窓から初めての知らない街をあちこちを眺めてる。安静の病人?怪我人?が居るのに賑やかだな、君は。
「死ぬ程大変って言われてた割には元気だね?」
「いや、昨日……一昨日の夜か。戦いが終わって憑依を解いた直後は久々に死ぬかと思ったぞ。全身が痛すぎて声も出ないどころか息も出来ないくらいだった」
「あー……あの感じかぁ。それはきっついね。アレク、よく頑張りました」
セシルも経験者だから、あの苦しさもわかってくれるだろう。
「ねーねー、ドラゴンゾンビってどんなだったの?強かった?」
「大きかったけど戦いは一瞬だったよ……俺達が正面から戦ったらとんでもない強敵だっただろうけどな。知ってるか?アンデッドには聖属性が有効なんだぞ」
「知ってる」
なんで知ってるの。勉強したのか?
「倒したアンデッドの数なら、ボクはアレクにも負けないよ?」
……なんで?どこで戦ってきたのよ。アムブロシアの迷宮でもアンデッドの魔物とは戦ってないでしょうが。
「ふふん♪ボクにもいろいろと秘密があるのだよ、アレク君」
ドヤ顔の小動物ってかわいいよりムカつくが勝るよね、俺だけですか?セシルの秘密……そりゃ、あるんだろうけど。色々とあるんだろうけど。
「好きな食べ物は?」
「レッドボアのステーキ。チーズ。カレー」
知ってる。この身体のどこに収納してるの?ってレベルで食べてたもんね。俺以上に大食いなのに、なんでこいつは太らないんだろう。コロコロに太ったセシルを見てみたいような見たくないような。
「好きな飲み物は?」
「ビールとワイン」
これも知ってる。最初はビールは苦手そうだったけど、俺がガブガブ飲んでたら真似して……今では俺より飲むようになった。こいつも酒豪だ。癖がある、は癖になる……なんて言葉もあるけれど、なるほどね。
「嫌いな食べ物は?」
「トマトとセロリは無理ぃ~……あれは人間が食べるものじゃないと思うよ」
トマト、めちゃ美味いがな。俺は日本では毎日トマトジュースを飲んでたくらいだ。毎年、夏……トマトが旬の時期だけに発売されるストレートのトマトジュースってのがあるんだ。ストレートってのは濃縮還元じゃない、素材そのままのトマトジュースなんだけど、その美味しさと言ったら。毎年1年分を買い貯めしてたよ。ま、それはそれとして。
「欲しいものは?」
「魔法の矢筒。買ってくれるの?」
これは知らなかった。どんなのか聞くと魔法の鞄のアレンジバージョンで、矢を収納に特化してるんだって。コンパクトで軽いし便利なんだそうだ。そんなものがあるなら、そりゃ射手としては欲しいだろう。いや、買いませんよ?当然のように、お高いらしいし。そもそも、俺はそんな大金なんて持ってないよ。
「特技と苦手なことは?」
「特技は……バイオリンかなぁ。苦手は早起き。知ってるでしょ?」
うん、知ってる。バイオリンは小さい頃からセシル母から習ってたし演奏のスキルも得たからね。そして、こう見えて昔から朝は弱い子なんだ。低血圧なんだろうか。朝、俺が起こしに行くのが日課だった頃もあった。いや今だって基本的には俺が起こしている。多分、セシルの両親よりセシルの寝顔を見ているだろう。俺だってかわいい幼馴染が毎朝起こしに来てくれるパターンの方が良かったよ。そんでこう、寝ぼけて抱きついたりしてさぁ……言ってて虚しくなってくるわ。
「そんなの聞いてどうするの?」
いや……ほとんどは知ってることの確認だ。お互い、人生で一番長く一緒に居る者同士だからな。セシルに関してなら俺ほど情報量が多い人間もいないだろうが。セシルの御両親にもそうそう負けないと思うが………スマン、マティアス王子。やっぱセシルの好きなタイプだけは聞けないわ。
「なに?ボクの秘密を知りたくなった?」
知りたくないかと言えば嘘になるんだが……なんでコイツのドヤ顔は俺の拳をこんなに固くするんだろう。男だけど、もういいか!と思いたくなる程にめちゃくちゃかわいいのは認めるけど、ピンポイントで俺の怒りのツボをつくんだよなぁ。筋肉痛で素早く動けないからお前が近くに来い。なるべく笑顔でセシルを呼ぶが小動物はこういうとき敏感に危険を察知するよな。身の回りの世話係(仮)なのに、遠くに逃げて行きやがった。
徐々に痛みは引いてきてるし、あと2日くらい待ってくれれば乗馬も出来ると思うんだ。この街にもそれなりに人手は必要なんだけど、王都から応援に来た冒険者や騎士団で大方は間に合ってるようだし。勝手にやってきた俺達はさっさと帰った方がいいだろう。忙しい筈の王子も連れてきちゃったし俺は俺でギルマスに頭を下げないといけないだろうしさ。
「あのおじさんは……確かに怖そうだよね。ボクも少し苦手だな」
お前がそういうならよっぽどだよ。そして、ほぼ確実にお説教が待っている。結果は出したけど……世の中は結果だけじゃないんだよ。ちゃんと手順を踏んでの行動が必要なのだよ。過程もそれなりに大事。人間社会で楽しく幸せに生きるにはコミュニケーションを大事にしなきゃ。人は一人じゃ生きていけないんだからね。
……まぁ俺が言っても説得力がないのは承知してます。このまま王都を飛び出そうというなら、それでもいいかもしんないけど、まだそんな段階じゃないからね。
「頑張れ、アレク!ボクは大人しく心の中で応援してるよっ」
それは、何もしていないと同義だ。
一緒に怒られよう?
だいたい最初のやり取りも俺一人に任せやがって。
明らかに俺だけ目を付けられたじゃないか。
ただでさえ、『漆黒の師団』は要注意と言われていたのに。
お前とクリスは世渡りが上手いよなー……。
まぁいい。下がった評価は上げればいいのだ。
「お~い、大人しく寝てるかぁ~?」
ドカドカと大きな足音をさせて、いつものデリカシーが無さそうな口調で入ってきたのはアッシンさんだった。うむ、通常運転だね。俺の中でマイナス1ポイントだ。こうやって下がり続けている評価を少しは上げてもらいたいものだ。そんなアッシンさんの後ろにはルーと、知らない初老の男性。えーっと、誰ですか。
「そんな顔すんなよ。ヤンクロットの恩人のために、治癒魔法が使える人を連れて来たんだぜ?」
俺、そんな顔してました?鬱陶しいヤツが来たなと気持ちが顔に出ちゃったのかなー。まぁね、根が正直者ですから。
「この少年をか?儂は忙しいんだがな…」
そう言いながらも初老の男性が俺に素早く治癒魔法をかけてくれた。すると全身の痛みがたちまちのうちに消えていった。おおー!筋肉痛も治癒魔法で治るんだな。これは超回復もしてるんだろうか。最近の説では超回復自体がデマっつーか誤訳なんて話も見たような見てないような。なんにしても一気に健康体に戻った。身体が軽い!今なら空も飛べそうな気がする!
えーっと、どなたか知りませんが、ありがとうございます。忙しいとこ、すみませんね。確かに、今この街で治癒魔法は需要過多だろう。そんな状況下で俺なんかに廻してもらって申し訳ないが、助かったのも事実です。ありがとうございました。
お礼を言うと、笑顔も見せずに早々に治癒魔法師の男性は立ち去った。失礼な、なんて考えちゃいけない。間違いなく、めちゃくちゃ忙しいんだろうさ。
「助かりました。あと2,3日は寝たきりかと思ってたんで…」
「助かったのは俺達だよ。アレクシス、レティシアちゃん、ありがとう。ありがとうございました」
アッシンさんが急に真面目な顔になって、深々と頭を下げて感謝してくれた。やめてくれ、こっちが照れるわ。
「はい、どういたしまして。…しょうがないでしょうが。ミシェルさんから、あんたら死ぬ気だとか言われるし!」
あー、ツンデレさんの気持ちがわかるわー。まさか人生でツンデレする日が来るとは思わなかったわー。それも、おっさん相手に。なんなの、このおっさんパラダイス。
「お礼よりギルドマスターに謝るの、ついてきてフォローしてくれませんか。あの人めっちゃ怖いねん」
怖さランキングでは他をぶっちぎっての1位ですよ。
あ、地雷踏んだときのルーと同率1位。
「あー………それなんだがな、俺達はしばらくヤンクロットに残るわ。いや、ずっとじゃないぞ?ここの冒険者も結構な人数が死んじまったからな。ある程度、この街が落ち着くまで、な」
そうか。
故郷がこんなになっちゃったもんなぁ。
そりゃさみしいけど……生きてりゃいいさ。
また会えるよ。
「いずれ、この街には帰ってくるつもりだったんだ……心配すんな。俺達はお前達の恩を決して忘れない。なんかもう懐かしい気もするが、ラージアントの時みたいにお前達に教えてやれることもまだまだある」
そうだね。色々教えてあげてよ。
一応、頼りにしてるんだからさ。
俺達は……俺が元気になったし、明日にも帰ろうか。
イヤだけどギルマスに報告はせにゃいかんし。
この街で手伝えることも無さそうだし。
「そういうわけだ。レティシアちゃんもセシルも、ちょっとさみしい思いをさせちまうが、待っててくれよな!」
ルーは無言のまま、ニコリと微笑んで返事とした。あれは多分、私は別に全く淋しくはないのだけれども、を飲み込んでの笑顔だな。彼女も余計なことは言わないだけの常識は持っている。でも、俺達以外にはかなりドライな魔神なんだ。しばらくするとヤンクロットのギルドマスターに捕まってたというクリスも戻ってきた。
大事件の最中に王族が来てくれたもんだから好都合とばかりに、偉い人達に接待されながら復興支援の要請やら色々話し合いをしてきてくれたようだ。うん、こういうときクリスが居るのは本当に頼もしい。クリスもそういうつもりで来たわけでもないだろうけど、王に報告する必要もある。やっぱり俺達は明日にも帰ろう。でもその前に、だ。
俺達には果たすべき約束が、ある。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「「「「「かんぱーい!!!」」」」
ようやく、9人全員が揃った。ここまで長かった…!場所はヤンクロットでも美味いと評判の、ナウアの光亭。『血塗れの火炎』と『漆黒の師団』での依頼達成と、『血塗れの火炎』の皆さんのB級昇格ノルマ達成の打ち上げだ。
果たして彼らが無事B級に昇格できるかどうかは、また別のお話。打ち上げプラス、ヤンクロットの危機が去ったことのお祝いだ。亡くなった人もあるからお祝いというのも少し違うかもしれないけど、沈んでばかりもいられない。
今日ばかりは飲んで食うぞ!
「おう、ヤンクロットの恩人!コレ食えよ。名物鹿肉のピリ辛焼き。うめぇんだぞ!」
アルバンさんが笑顔で薦めてくれる皿は……ピリと言うには赤いですね!本当にピリ辛か?以前、御老公のお子様舌を笑っていたけど、俺も辛いのは実は苦手なんだよね。ココ○チのカレーでいうなら頑張って3辛が限界。基本は普通を食べてたもん。
まぁ、ピリというならば大丈……辛ぁっ!!めちゃくちゃ辛いがな!口の中が燃え出したかと思ったわ。これがピリ辛なら激辛はどうなるんだ。いや、皆さんアハハじゃなくて。マジで。一瞬、薦めてくれたアルバンさんに魔法を撃ち込むとこだったわ。いや、本当にアハハじゃなくて。
なんでアンタら、こんな辛いのパクパク食えるんですか。しまったな…最近は困ったらルーになんとかしてもらおうという習性が出来てしまった。しかも実際なんとかしてくれるしな。熱いものがあったらフーフーしてくれるし。そう思ったが、今日は席が遠かった。
いつもは俺の隣に居るんだけど、今日はアッシンさんたちへの餞別気分で離れて座ったのが失敗か。しょうがない。ビールを飲んで舌を洗う作戦だ。練習した氷魔法でビールを冷やせば…キンキンに冷えてやがるっ…!その台詞が言いたいだけちゃうんかと。
「お~、今日は飲むじゃないか!おねぇさん、こっちにおかわりくれぇ!」
いいだろう、今日は俺もトコトン飲んでやるよ。
辛くなさそうな肉料理を追加注文して、限界まで飲んで食ってやる。
安くて美味いと評判の店らしいから遠慮はしないぞ。
なんせ支払いは先輩方のおごりだからな。
飲んで食べて騒いで。
最終的に随分食べたねぇ!金額は聞いてないけど、『血塗れの火炎』の全員が伝票を2度見してたから相当なもんだろう。俺達はかなり食うからね。主に女性陣2人(仮)が。更にすごく飲む2人でもあるしね。でもね、今日のあの人たちには俺達が迷惑かけるくらいが救いなのさ。いつまでも感謝感謝ではやりにくいよ。はい、これでおしまい。
これからは、今まで通りでいこう。
拙い作品ですが読んでくださり、ありがとうございます。
この作品を読んで少しでも面白いと思ってくれた、貴方or貴女!
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(人>ω•*)お願いします。




