表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/216

17 悪魔的展開…!


 ようやく学校でも騎士コースの授業が始まった。何をするかというと、引き続きの基本的な座学に加えて武術体術や馬術、社交儀礼などの訓練が開始されたのです。

 今年の騎士コースの総勢は15名。これはウチの学校だけじゃなくて、この街に4つある学校の総勢ですよ。これが多いのか少ないのかはわからん。しかも全員が騎士になれるわけでも、なるわけでもないしね。少なくとも俺とセシル、クリスの3人は騎士にはならないだろう。クリスの場合は望んだとしても無理じゃないかな、王子って騎士になれるん?


 そんでね、座学はこれまで通り学校でやるけど、実技は騎士団の訓練所の一部で行われるよ。これは騎士団側にも優秀な生徒を早くから目星つけれたりするメリットもあるのかもしれない。まぁそれはいいさ。俺達にしたら子供の頃から出入りしてる慣れた場所だ。

 問題は社交儀礼の授業なんだよねぇ………何故か、今年は大公邸で行うらしいんだよ。あの大公陛下が直々に御教授してくださるんだと。クリスがいるせいなんだろうか、それとも大公が暇なせいなんだろうか。

 ありがたいねぇ……ありがたすぎて泣けてくるわ。なーんか、あの御老公の嫌がらせ……でもないが俺で遊ぼうと思ってるんじゃないかと邪推しちゃうね。あのジジイはそういうことをやる男だ。

 おかげで毎回、社交儀礼の時間にはお腹が痛くなりそうなくらい追い詰められているよ。登校拒否したい……こちとら礼儀作法なんて全くの門外漢なんだよ。前世でも習ってねぇんだよ。

 毎回、ジジイのニヤニヤしたツラを見るとグッと拳に力が入るけど……これも勉強だ。確かに礼儀作法に関しては見本のような人物だしジジイが正しいのはわかる。だからって忌々しいものは忌々しい。

















「おい、そこの目障りな庶民。お前如きが騎士を目指そうなどと、夢を見るのもいい加減にしろ」


 騎士コースになってもワレン君は、相変わらずのワレン君だ。いっそ、いつまでもそのままの君で居て欲しい。庶民、というがこのコースで庶民じゃないのはクリスとワレンと、ワレンの取り巻きである貴族がいるだけで残りは全員庶民なんだよ。もっというと、そのほぼ全員が騎士の息子達であり小さいけど所領持ちだったりもするから時代や国によっては準貴族ともいえる立ち位置だったりする。だもんで……言い掛かりがピンと来ないぞワレン!それから、俺は騎士になろうと思ってもないからね。

 この数年の間はクリスが時々ワレン君の家に遊びに行ってるおかげなのか実力行使には出ない、心底嫌うにはイマイチ、キャラが弱いワレン君だ。残念ながら、ざまぁしたくなるほどに悪い子ではないのです。


「ワレン君こそ、騎士になるの?」

「……馴れ馴れしく僕の名前を呼ぶな。どうしても呼びたければワレン様だろうが」


 バカヤロウ、俺が他人に様を付けるのは神様かフリーザ様くらいだよ。領主の公爵だろうが大公だろうがゴメンだね。陛下、殿下くらいは言うけどさ。なんだろうね。元日本人だけにリーダーはあれど『上ナシ』『主ヲ持タジ』の精神だ。それなのに貴族の息子如きが何を言い出すか。初めてワレンにカチンときたわ。そういう意味では、今の台詞は良かったぞ!


「これからは武術の訓練も始まるというのに……スキルの無い庶民如きがどこまでついてこられるのやら……フフッ」

「なっ!?」


 驚きのあまり、怒りを忘れて思わず立ち止まってしまった。しかしクリスが相手なら何十分でも何時間でもトークを続けるワレン君だが庶民の俺にはそんなサービスはないらしい。言いたいことを言ったのか、さっさと歩み去っていった。

 俺も相手にしたくないから、それはそれでありがたい。俺も決して彼を好きではないし、彼も俺が嫌いだろうからな。これに関してはwin-winの関係みたいなものなんだろうか、違うか。俺から話しかけることもないので無視してくれたらそれが一番なんだが。

 そんなことよりも、あいつ。俺のスキルのことを知ってる?!なんでだ。どこから知った?俺のスキルのことを知ってるのは……クリスにセシル、両親にルーさんか。親愛なる兄や姉にも言ってないトップシークレットだ。その誰もが口外するなんて考えられない。


 でも、あいつは知っていた。

 誰か他に……………………あ、いたわ。


 水鏡の儀のときの係員さんがいた。あの人は俺がスキル無かったことを目で見て知ってるんだった。もう何年も神殿に出入りしてるから、ワレンも何か怪しいと色々聞き込みでもしたのかな。おいおい、スキルの内容はこの世界で最高の個人情報なんだろ~?それを教会の人間が喋っちゃうってどうなの~?俺の中の坂上さんがお昼の番組でこれってどうなの~?と批判を始める。あーうっせいうっせい、うっせいわ。この世界に来て10年以上経つからあの番組も既に終わってるのかな。

 いや、そんなのはどうでもいい。問題は秘密を知られたことだ。もし、あの秘密を知られたら…………………………あれ?知られたとして、俺のやることあんまり変わらなくね?一生懸命戦うだけじゃん。まぁ駆け引きの要素は無くなるが……それでも後天的なスキルの存在もチラつかせれば、なんとかなるかも。




 そんな話をセシルにしたら、


「アレクが構わないんなら……別にいいんじゃない?なんかスッキリしないけど」

「そう?そうだよね?」

「クリスかお爺ちゃんに頼んでワレンを口止めしとく?ワレンは上から言われたら言うこと聞きそうじゃない」


 セシルは御老公を大笑いさせて以来、妙に……というか異常に御老公と仲が良い。本人を目の前にしてもお爺ちゃん呼ばわりだからな。そして御老公も、それを許しているというか推奨しているくらいだ。クリスより孫してるよ、お前。御老公も下手すりゃクリス以上にセシルをかわいがってるし。絶対あのジジイ、ロリコンだよな。今すぐ通報したいわぁ……。


「権力使うのはカッコ悪いからヤダ」

「カッコ悪くてもボクはアレクを好きだよ?」

「そういう問題じゃないんだよ……プライドだよ矜持なんだよ。あと、さらっとそういうこと言うの止めよ?」

「そういうのって?」


 この子は天然なのかワザとなのか……本当に禁断の扉が開いてしまいそうで怖いです。もう扉がフワッフワしてるから。何かの衝撃で簡単に開いちゃうから、お互い気をつけようよ。


 ちなみに今は乗馬の訓練と体力づくりで海まで来て砂浜でランニングしたあとの休憩中だ。波打ち際で波と戯れるセシルは、見てる分にはめっちゃかわいい。カメラを回せば、これだけでも売れるんじゃねーかな。ちょっとでも油断すると、もう別にいいんじゃないかと思っちゃうよね。何を?って……そりゃ色々だよ!ここでは言えないような事だよ!そういうの、嫌いですか?大好きでしょ?色々な意見はあるだろうけど、とりあえず禁断の扉の鍵を再確認しておこう。


 乗馬は俺もセシルも何年か前に子馬をあてがわれて、その世話をしながら一緒に成長している。乗馬ド素人の俺にしてはボチボチ上手く乗れてるんじゃないかな。まだ馬上で戦いができるレベルじゃないけどさ。

 今思うと、子供の頃に乗せてもらったレスリー兄さんの愛馬エノークって立派な馬だったなぁ。そうそう、そのレスリー兄さんは今では立派に騎士をやってます。訓練所でたま~に会います。既に結婚もして住居は独立したんだよ、独立っても実家の近所だけどね。シルヴァ家の次期当主だから俺が家を出たら色々と父から継ぐんだろうな。

 次男のジェロム兄さんは学校を卒業後に王都へ出て、これまた王都で騎士をやってる。つまり我が家の出世頭なのだ。それから長女のエミリー姉さんは学校卒業してすぐ結婚しちゃった、幼馴染であるセシルの3番目のお兄さんと。だから、俺とセシルは親戚にもなったのだ。まぁだからなんだって話ですけどね…。

 ちなみにエミリー姉さんの結婚のときは、ルーさんは地味に荒れた。俺への八つ当たりとケーキの暴食が増えただけですが。もう1000年婚期が遅れたんだから今更ちょっとくらいズレても……とは思ったが、流石に俺も余計な事は言わない。俺だって、その辺に触れちゃいけないのは判る。言えば確実に逆鱗に触れる。竜の逆鱗の上でタップダンスをするレべル。俺は誰よりも我が身がかわいいんだよ。


「今日も師匠のとこ、行くんでしょ?」

「もちろん。昨日はソロでゴブリン上位種と戦ったよ。今日はセシルもいけるんだろ?」

「お爺ちゃんにケーキのお使いを頼まれてるから、それを届けてから行くよ」

「あの爺さん、ホントに糖尿病になるぞ……なんで太らないんだろうな。そもそもなんでセシルがお使い頼まれてるのさ。爺さんとこなら執事なり、メイドなりがいるでしょうに」

「別にボク、嫌じゃないよ。お小遣いもくれるしね」


 パパ活か。お前、パパ活してんのか。

 平和でしょ?うん、今日も平和なんだよ。









          ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆









 そして本日はワレン君がご機嫌だ。本来、彼がご機嫌だろうが苦虫を100匹くらい噛み潰してようが俺は知ったこっちゃないんだが……今、彼がご機嫌な理由は俺なんだよね。


「さぁ、2人とも。これは模擬戦なんだからね、くれぐれもやり過ぎないように」


 そういって俺とワレンの模擬戦を仕切ってくれるのは、騎士コースの講師セルジュ先生だ。ちょっと頭髪が寂しくなってきているが、クリスやワレン達貴族と庶民である俺達を分け隔てなく丁寧に教えてくれる良い先生だ。惜しいな、これで禿げていなければ……基本的に渋いナイスミドルなんだが。さぞ苦労をされたのか、まだ若いのに毛が薄い。それも前からキテるタイプだ。いや、俺も明日は我が身かもしれん、気をつけよう。

 異世界転生した人間で将来の髪の心配をしてるのは、俺を含めても少数派なのかもしれないな……いや、大事なことだよ?俺が日本にいたときの知識だと結局ヘアケアだのなんだのは関係無くて、結局禿げるか否かは遺伝によるらしい。海草を食べても無意味だそうだ。


 遺伝、か。今生の父はフサフサだが、俺が産まれる前に亡くなったという爺さんがどうだったのか……今度聞いてみるべきか。父方と母方と両方に。俺の髪質って細くて柔らかいから、実際の毛量より少なく見えるんだよね。前世では禿げなかったので今世にも期待したいものだ。




「おいっ!聞いているのかッ!」


 あ、ご機嫌だったワレン君は今度は一瞬で怒り心頭だ。彼の機嫌の変化は山の天気よりも激しい。少し情緒不安定じゃなかろうか。

 まぁしかしスマン、髪のことに夢中で聞いてなかったわ。どうせ、いつも言ってるような口上を今日も言ってたんだろうな。よくわかんないけど、とりあえず悔しがっておこうか。この辺は無料サービスみたいなものだね。そして俺はこの程度ならサービスを惜しまない。潤滑油のような人間ですから。


「ぬぅう!い、言わせておけば…!」

「何度でも言ってやろう。持たざるものよ、天与の力を見るがいい!」


 あ、もう一度言ってくれるんだ。

 親切だな、ワレン君。


 ゲームだと、大事なことだからもう一度言いますパターンと大事なことなので二度と言いませんパターンがあったりするからね。いや、あったんだよレトロゲーだと。ワレン君はもう一度言ってくれたけど、やっぱり聞くまでもないような大した内容でもなかったな。

 騎士コースでは、こうやって訓練として生徒同士の模擬戦も頻繁に行われる。本日の武器は剣でも槍でも良いと言われたので今はワレンは木剣で、俺は木槍でにらみ合ってる状況だ。定石通りにやれば、そして力量に大差がないならば剣と槍だ。十中八九、俺が勝つだろう。


 が、しかし。


 彼は戦闘系のスキルを持っているんだろうか。貴族はレアスキル率が高いらしいし数も多い傾向にあるそうだから……あるんだろうな、自信満々だし。まぁそれはいつもの彼か。俺の悔しそうな台詞で機嫌も回復したようだ。案外チョロいな……ワレン君。クリス絡みで目の上のたんこぶ(家柄でいうと目下だけども)だった俺を直々に叩きのめせるチャンス到来、とでも思ってんだろうな。

 構えを見ると……剣術スキルを持ってないのか?ルーさんや父は勿論、クリスと比べてもなんか迫力が無いっていうか。剣に関してド素人の俺が言うのもなんだけど……素人っぽい。


「では、はじめッ!」


 セルジュ先生の合図で俺も集中する。

 ワレンも動き出した…速っ!


「くらえッ!」


 多分、これが彼のスキルなんだろう。

 貴族の少年とは思えない速度で襲い掛かってきた。

 なんてスキルだろう?

 脚力強化とか瞬速とか縮地とか、そんな感じかな?


 そういや瞬足って靴があったよな。前世で甥っ子に買ってあげたわ。あれはホントに速く走れるのかな……いかんな、集中にはほど遠いな。

 でもな、これは迷宮(ダンジョン)での修行の成果なんだろうね。ワレン君の動きがよく見えるんだ。なんせ俺達が普段相手してるのは、魔人であるルーさんだからな。あの人に比べたらゾーンに入らなくてもワレン程度の動きなどスローモーションでしかない。宮本武蔵じゃないが寸の見切りも…イケるね。もっと引きつけてみようか。攻撃は受けるより避ける方がいい。その方が反撃しやすいもんね。この辺はルーさんに厳しく教えられている。時折、振り下ろされる剣の側面をそっと押して斬撃をずらして、かわす。


「くっ…馬鹿な!?なんでッ…!当たらない!?」


 当たったら……痛いじゃないか。

 痛いのは嫌いなんだよ。

 いや、相手によってはご褒美か?

 ダメだ、その扉も開けない方が良い。


「ク、クソォ…!」


 ワレン君、その発言は良くないよ。

 君も貴族の一員なんだろ?下品だぞ。

 彼の息も上がってきたようなので、そろそろ終わらせようか。


 ワレンが上段に振りかぶった瞬間に距離を詰め、彼の剣の柄尻をコツンと槍で突いてやった。ワレン君の木剣はその衝撃で両手から抜けて遥か後方に吹っ飛んだところで、そのまま彼の喉元に槍の穂先を突きつけた。へいへい、剣の握りが甘いよ。


「そこまでっ!」


 お互い怪我なく終わらせることが出来た。ワレン君を相手にして怪我させようものなら、ギャーギャーうるさそうだからな。更にモンスターペアレンツも召喚しそうだし。


「バカな!?そんな訳が……」


 ワレン君はちょっと放心状態だ。楽勝だと思っていたスキルを持たないはずの雑魚にやられたのだから、それも当然なのかもしれない。せっかくだから、今のうちにクギでも刺しておくか。すぐ抜けちゃうだろうけど。


「ワレン君、俺のスキルの話は人に言わないでくれよ?さもないと…君はスキル無し相手に手も足も出ず負けちゃった事になっちゃうからな」

「なっ…!き、貴様というやつは…!」


 お互いカッコ悪いから、内緒にしとこうよ。

 無様な負け惜しみになっちゃうぞ。

 みんなで幸せになろうよ。


「ふざけるな…こ、こんなはずが…!今に……今に見ていろよ…!!必ずこの借りは返すぞ!」


 すげえフラグが立つような台詞をワレン君が呟いていたことを俺は知らなかった。次の模擬戦にはセシルが登場するから、その応援に夢中になっていたんだよ。















 さぁ、今日の午後も不死の迷宮で既に何度も繰り返したゴブリン戦からスタートだ。陣形も俺が前衛、クリスが中衛、セシルが後衛で安定してきた。理由は単純だ。俺は魔法が使えない。槍以上の遠距離攻撃手段が、無い。頑張って石を拾って投げるくらいしか出来ない。だから最前列にしか居場所がないんよ。



「―…—《水球》」


 クリスが初級の水魔法でゴブリンを打ち抜いた。詠唱短縮スキルを持ってるから魔物の近くでも魔法が使えるのがズルい。羨ましい。その光景を尻目に、俺の槍が最後のゴブリンの胸を貫いた。正直、今の俺達にはもうゴブリンは弱すぎる。


「もうゴブリンでは全く相手にならないな……どうしたの?アレク」

「ルーさん。オレ、マホウ、ツカイタイ」

「……なんで急にカタコトなんだ?無理難題を言わないの、使えないものはしょうがないでしょう。ヨソはヨソ、ウチはウチだ」


 昭和のオカンか。

 どうせなら割烹着を着て言ってくれ。


「だいたいさ、なんでスキルがないと魔法が使えないのよ?おかしくない?だって俺はスキル無いけど槍も剣も一応使えるよ。騎乗スキルも無いけど、馬にだってなんとか乗れる。上手く使えるかどうかはさておき、下手なりに使えてもええんちゃうん?あぁん?どうなんその辺?」

「そ、それはそうかもしれないが君、魔法を使う感覚やイメージが掴めてないでしょう?スキルがあると、そのあたりが無意識に出来るんだけど…」


 魔法のイメージは実際に見たしアニメでも見たから多少は出来るが、確かに感覚の方はわかんないなぁ。魔力を感じるのだって俺だけずいぶん時間かかったし。


「アレク、アレク、ほら見て、…―――…《風刃》」

「うむ、セシルよ。すごいな。嫌味か」

「違うよ、見本だよ見本」


 ありがとう、でも戦闘中を含むなら数十回、数百回は既に見せてもらってるよ。技術は目で盗め、かぁ。昔の職人さんは無茶を言いやがるぜ。俺も前世は元職人だけど平成令和の職人だからね。


「う~ん…………もしかすると、このスキルでなんとか出来るかもしれない」


 それは本当かキバヤシ、いやルーさん。言ってみるもんだな!やっぱり俺が頼めば、なんとかしてくれる綺麗なお姉さんだ。


「憑依というスキルがあるんだ。それを使って私が君に憑依して、君自身の身体を使って魔法を実際に使ってみよう。同じ魂を持つ私と君でなら、通常以上に深く高いレベルで憑依できるはずだ」


 よく分からんけど、そんなスキルもあるんですね。マジでドラ○もんじみてきたな……はうぅ!なんか入ってきたぁ!?なんか、くすぐったぁい!いや、ルーさんと近い未来に一つになりたいって野望というか欲望はあるけど、これはなんか違うよ!?魂が共有されてるから俺の感覚とルーさんの感覚が同時に感じられる…!?


「「私が君の身体を直接操作するから魔法とスキルを感じ取りなさい。これらは全て君が独力であっても再現可能なはずだ」」


 俺の声とルーさんの声が混ざってる!変な感じ。


「「――……――《火球》」」


 呪文の詠唱と同時に俺の右手から1m程の大きさの炎の球が撃ち出されて、凄まじい速さで壁に衝突した。


「僕の火球と大きさも速さも全然違う……リュシオール先生、今のは!?」


「「魔力の大きさと錬度と集中力で初級呪文でも威力に差異が出てくる。練習を続ければ、いつか君にも今くらいの火球が出来るよ。そうだ、魔法以外に槍術剣術も体感しなさい。このままオークを召喚する」」


 なんていうか、オートモード。まるでゲームのイベントムービーを見てるような。身体が自動で動く感じ。これはこれで楽だけど堕落しそうだな。

 そして目の前にはゴブリンの時と同様に魔力が集まって5つの召喚の魔法陣が輝く。現れたのはデカい、まるで……こりゃプロレスラーだな。そして豚顔。これまた定番のオークが3体。アックスと槍とこん棒をそれぞれ装備してる。あっ、杖持ちのゴブリンも2体いるじゃないか。これらが全部で5体。


「「さぁ基本は同じだがオークの耐久力はゴブリンの比じゃないぞ。もちろん攻撃力もな」」

「大丈夫!セシルはゴブリンを抑えて!僕とアレクでオークを片付けるよ!」


 すごい…!


 自惚れるつもりはなかったけど、それでも結構強くなった気はしてたんだよ。この前だってワレン君を一蹴したしさ。

 なのに……俺の身体ってこんなに動けるんだ…!今まで俺は自分の能力の何%程度しか使ってなかったのか?踏み込み、位置取り、そして槍での攻撃。全てが別次元だった……!こんなのもう……TASじゃん。お試しとして火魔法や風魔法も使ったが、最後は槍であっさりとオークを仕留めた。


「「すまない、やりすぎた。これでは練習にならないな」」


 そういってルーさんは憑依を解いた。

 お帰り、マイボディ。

 ああ、ルーさんと一体化してたと思うと捗るわ~。

 なんか体から良い匂いがする……気がする。

 もちろん気のせいだ。汗くせぇ!!


「どうだった?魔法とスキルを体感した感想は?」


 すごかったです…!セシルもクリスもこんな便利なもの使ってたのかよ。今更ながら羨ましいわ。そして、さっきの動きは魔法やスキルも含めて俺一人でも再現出来るはず、なんだったっけ。本当に出来るのかな?


「魔法の感覚は掴めた?さっきボクがやった風刃(ウィンドカッター)やってみてよ」

「こうかな………?あっ!?」


 今ちょっと風、吹いたよね?よね?

 見た?今の見た?もう一回やるよ。ほいっ!


「ちょっとだけど、出来たんじゃない?やったねアレク!」

「すごいよ…!本当にスキル無しで魔法を使えるようになるなんて」


 おお……何気に俺は今、もの凄く感動してますよ。ついに……ついに!剣と魔法の世界へ生まれ変わってようやく!ついに!初魔法!長い長いプロローグが今、終わった感すらあるね。そうだよ、ここまでがプロローグ。ここからが俺の第一話だ。長かった……!


「……ねぇ今、詠唱した?そもそもアレクは授業を受けてないから呪文、知らないでしょ?」


 そういえば……そうだね。魔法の呪文なんて知らないわ俺。

 なんで出来ちゃったんだろう?


「魔法に重要なのは詠唱より集中とイメージだ。だから詠唱短縮や、詠唱破棄なんてスキルもあるんだよ。君は集中力だけは図抜けてるからな。それと魔力操作も熟練と言っていいレベルだからなのかも、しれないね」


 イメージはゲームやアニメのお陰だよね、多分。そして魔力操作も最初は全然出来なかったから未だに寝る前に練習を続けてるからね。だからってそんな理由で詠唱無しでもいいんですか?俺的にはありがたいので深くは追求しないようにしよう。そういえばナーロッパだと魔力操作もスキルだったりすることが多いけど、なんでコレは俺でもいけるんだろう?


「呼吸とか歩行なんてスキルは存在しないからね。同じレベルって事じゃないかなぁ?君は本当に細かいところが気になるんだな。そういうとこはメルヴィルだったときと変わらないね」


 えー、俺が細かいの?テキトーな俺に突っ込まれるくらいだから、この世界の仕組みがテキトーなんだと思うけどな。まぁ、そういうものだと納得しよう。俺の頭じゃ考えてもわかんないからね。しかし、この憑依学習法はいいね。美人のお姉様に手取り足取り教えてもらうの最上位バージョンだよね。残念ながら色気はないけどさ。俺の学習能力次第では、もしかしたらルーさんに匹敵する強さを身につけられるかもしれないわけだ。いや下剋上も…!悪魔的展開…!圧倒的能力の開花…!理外の成長…!!なろう小説のお約束…!ざわざわ…ざわざわ……!


 俺の幸せの為に、そして死なない為に、出来るだけ強く。

 今のうちに、なれるだけ強くなっておこう。




拙い小説ですが読んでくださり、ありがとうございさします。

この小説を読んで少しでも面白いと思ってくれた、貴方or貴女!

是非とも感想、レビュー、ブックマーク、評価を頂ければこれに勝る幸せは御座いません

(人>ω•*)お願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ