12 エンディングまで、泣くんじゃない
「こちらにおいででしたか、クリストファー殿下。いやぁ、本日ですがマドレリアに最新のケーキを注文してありましてね。良ければ当家で召し上がりませんか?ご足労願えれば、この上ない幸せです」
ワレン君は本当にいつもいつも熱心だよなぁ。こうやって手を替え品を替え、頻繁にクリスのご機嫌伺いにやってくる。その情熱というか執念というかストーカー予備軍的な生き様は、ある意味感心してしまう。
彼が言うマドレリアってのは王都でも最高峰と言われてるお菓子屋さんらしいよ。この世界が地球の何世紀相当か知らないが、俺が知ってるような美味しいケーキがあるのかしら。俺も結構甘いもの、好きなんだよ。お酒はもっと好きですけど。クリスのおまけとして俺とセシルもご相伴にあずかれないかな。
まぁワレン君にとって俺とセシルは空気以下のような存在らしくてね、未だに会話はおろか一瞥すらくれないんだよ。ちゃんとした貴族からしたら庶民なんてそんなものかもしれないね。そう思うと、俺は別に腹も立たないんだよね。むしろ必死にクリスを口説くワレン君を俺は少し応援してるかもしれない。だって俺もそこまで彼には興味も関心も無いからどうでもいいんだもん。
「ケーキか、御祖父様がマドレリアのケーキを大好きでね。僕も久しく食べてないなぁ。でもケーキなんて、そんな日持ちしないだろう?王都から持ってこられないじゃないか」
「ふふふ……殿下。我がメデリック家が出資してオルトレットにもマドレリアの支店を作らせました。殿下のためを思えばこそ、ですよ」
「それはすごいね!なぁアレクもセシルも一度食べてみたいと思わないか?」
クリス君、そこは空気読んでやれよ。ほれ、ワレン君が苦虫を噛み潰してるよ?彼は王子様だけに来て欲しいんであって、おまけの庶民はいらないんだよ。
俺だってルーさんが「私の友人だ。仲良くしてやってくれ」とか言ってゴキブリを差し出されても対応に困るもん。あの迷宮で1000年も孤独だったから、と言われたらしょうがない気もするけどさぁ……流石にゴキは、Gはキツイ。寛容な俺も友達は選びましょうと言ってしまうかもしれん。
「行っておいでよ。今度、俺達にケーキの感想を聞かせてくれよ」
「ケーキは食べたいけど、ボクは行きたくないよ」
セシル、少しはオブラートに包もう。なんでそう火の玉ストレートなの。少しは変化球を覚えましょうよ。メジャーで活躍した日本人投手は落ちる玉を駆使して活躍した選手が多いんだぞ。メジャーが力勝負なんてのは100年前の話で揺れて曲がって芯をずらすのが大事らしいよ。知らんけど。
「殿下。僭越ながら申し上げますが、従者はもう少し厳選されては?」
む、ワレンにオブラートに包まれてG扱いされた。ようやく俺達を認識した発言をしたかと思えばG扱いて。自分で言うならまだしも、他人に言われるとムカッとしますね。
「2人は従者じゃないよ、僕の大切な友人だ」
「下賤の者にまでも、殿下はまことにお優しい方なのですね…」
溜息つきながらワレン君、行っちゃったよ。俺的には少しはフォローしたつもりだったが無力だったかな。スマンね、ワレン君。ドンマイドンマイ、試合はまだこれからだよ!
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今日も駆けつけ3杯じゃないが、アムブロシア迷宮に着くなり3度の地獄巡りだ。うーん、本当に少しは俺もマシになってるんだろうか?体感では、全く変わってない気がする。
『私に対して、ものすごく失礼なことを考えなかったか?今日の午前中に』
『い~え、全然。全く。俺はルーさんを誰よりも深く敬愛しておりますので』
『………そういうとこだぞ』
なにがだよ。息も絶え絶えな俺を尻目に、ルーさんは石造りのテーブルと椅子で優雅にティータイム中だ。小指を立ててカップを持ちやがって……カワイイなオイ。
この前3人でティーセットを運び込んだんだが、ルーさんはルーさんで岩を加工してテーブルセットを作成していた。よっぽど楽しみにしていたんだな…!ここには他になんの楽しみも無いもんな……なんて可哀そうな子。思わずホロリと泣いてしまいそうになった。
そして自分が飲むでなくても、美少女の紅茶を飲む姿は目の保養だ。俺も楽しんでいるので、Win-Winですよ。
『水は水魔法で出すのはわかるんですけどね、食事はどうしてるんですか?』
『ここでは餓死も出来ないから、食べなくても死なないよ。もっとも私は魔素を吸収すれば済むから食事は必要でもないが』
おお、さすが魔人。便利だな。
その生き方は味気ない気もするけど。
『なにか食事も持ってきましょうか?』
『カレー』
『………なんて?』
『カレーを食べてみたいんだ。作ってきてくれ』
『出来ればそうしてあげたいですが、俺は市販のカレールゥがなきゃ無理ですよ、香辛料から作るとかやったことないし。米もないし』
『米はこちらの世界にもあるはずだぞ、昔どこかで見たことがある。香辛料からのレシピも私がわかっているから、市場でなんとか買えないか』
『仮にレシピを書き出してもらっても、クミンだのコリアンダーだのが要るんですよね?俺、わかんないですよ、現物を見てもどれがどれだか』
『はぁあ~~~~~~~~~~~………アレクシス。早く、一刻も早く私の封印の鍵を見つけてくれ』
そんなにか。そんなに溜息つくほどか。カレーで封印解除へ過去最大のモチベーション発揮してるじゃん。必要無いんでしょ、食事。
『今の私ほど飯テロという言葉の真髄を理解した者も居ないだろう………よし、組手を再開しよう』
綺麗な顔して真剣に何をバカなこと言ってるんですかー。
俺に八つ当たりする気満々じゃないですかー。
やだなぁ、死因がカレーって。
これも飯テロの被害なのかもしれない。
「そんで、ワレン君のうちへは行ったの?ケーキは美味しかった?」
「行ってないよ。モルガン先生の授業もあるしリュシオール先生のところにも行きたいし、忙しくて行く時間が無いんだよ」
「行ってボクの分もケーキを貰って来てよ」
「……王子の僕にケーキのお使いを命じるのはセシルだけだよ」
「その時は俺の分もな。あ、神殿にも持って行きたいから全部で3つ、よろしく」
「もう1人居た……2人とも、僕はこう見えても実は結構偉いんだからね?」
知ってるけどさぁ。俺達に王子様扱いを求めるほうが間違ってると思うよ。つまり、悪いのはお前だよっ。
「実はね、ここだけの話なんだけど近々御祖父様がオルトレットに引っ越してくるそうなんだ。そうなると、しばらくはワレンの家どころかリュシオール先生のところにも顔を出せないかもしれない」
「えー!?そうなると誰が紅茶の茶葉を届けるんだよ?いやクリス、3人目も居た!?じゃなくて」
ルーさんの機嫌取りは俺には切実な問題なんだからな。
そのためには王子だろうとパシリしてもらうよ?
焼きそばパン買って来いよ、30秒以内に。
「冗談だよ、茶葉くらい俺が持っていくから……そんでクリスのお祖父さんはなんでこっちに来るの?」
「ああ、元々体調を崩してたんで何年か前に父上に王位を譲ったんだよ。先王となっても王の職務のいくらかは手伝ってたみたいなんだけどね……いよいよ食が細くなってきたので療養のために来るんだって」
「そうなんだ。なんかの病気なの?」
「うーん、身体自体は割と元気らしいんだけどね。甘いものが本当に大好きな人で、もう歯が1本も無いんだよ。だから食事はスープや粥くらいしか食べられなくなって……体力が落ちる一方なんだ」
「はぁ~…いつの時代もどこの世界でも歯は大事だねぇ…」
地球でも歯ブラシが一般的になったのは近現代くらいになってからだったはず。普段、俺達は木の枝の端を潰して房楊枝にして塩で清掃してるよ。甘いものが少ない世界だからこれでも十分だし効果的なんだよ。
「そういえば、アレクは『シカギコウシ』だったって言ってじゃない。クリスのお爺ちゃんの歯、作ってあげられないの?」
「言ってた!そうだ、『シカギコウシ』は無くなった歯を作るんだろ?」
「えー……いや道具と材料があれば何年かぶりでも出来ると思うけど…どうかなー?」
「どんな道具と材料がいるの?言ってくれれば手に入れるよ」
おぉ、王子が前のめりだね。なんとかしてやりたいが……なんとかなるかな?手順としては口の中の型を取って咬みあわせを記録して作製するんだが……印象材…石膏…が必要だし。古代の義歯って確か木製のが日本にもあったよな。教科書で見た記憶が……うん、覚えてないわ。無理だな!そもそもな、入れ歯を作るのに必要なのは歯科技工士じゃなく歯科医師の方なんだよ。もちろん歯科医師だけでも大変なんだけど歯科技工士だけよりはマシだ。
「なんとかしてやってよ!」
「なんとかって言われても覚えてないとなんとも……………あ」
居た。
そうだった、俺には素敵なライブラリーが居るじゃないか。俺がもう覚えていない地球での知識の全てを完全に覚えているダンジョンマスターが。なんとかなるかもしれない。いや、なんとかするんだよ!
『……そういう訳で、なんとかしてよドラ〇もん』
『私のどこが猫型ロボットだ。100歩譲ってド〇ミちゃんじゃないのか』
俺から言っておいてなんだが、譲らなくていいですよそこは。そして譲って辿り着いた場所が〇ラミちゃんで良いのかアナタは。絵描き歌で描けるレベルなんだぞ。
『ホントになんとか出来ませんか?』
『本当に無理難題を言うヤツだ……お前の言ってる古代の義歯は木床義歯だな。口の中に何度も試適して少しずつ削り出せば作れるんだろうが……どうだろうな。それはお前がしてきた仕事と全然違うんじゃないか?』
そうなんだよ。俺も木床義歯なんて作ったことない。我々歯科技工士は基本的には模型を作製して、それを使って入れ歯を作るんだよね。最近はカメラでスキャンしてCAD/CAMで作ったりもするけど。
『なら、出来る限り日本での作成法に近づけた方が良いと思う』
『さすがドラ〇ちゃん…その通りだと思います!』
ド〇ミちゃん呼ばわりなのに少しドヤ顔なのが……さてはルーさん、チョロインだな。ドラ〇ちゃん2頭身ぞ?黄色ぞ?リボンが好きなのかな。それとも黄色の方か。
『ここは海辺の街だから寒天がないかな?それと蝋を使って……少々熱いだろうけど、なんとか型を取れないだろうか。石膏は…今はなんと呼ばれてる街か知らないが東部のタンザーナの石膏は良質だったはずだ、これで模型が出来るだろう』
『おお…!なんとかなりそうな気がしてきました』
『そうだろうそうだろう。それからレッドスライムのスライムゼリーと、なるべく強い魔物の牙、これを手に入れるんだ。高位の魔物は魔力の伝導率が高い。お前が望む性能の義歯を作るのに良い材料となるだろう』
『レッドスライム…スライムゼリー……俺は見た事も聞いた事もないですが、クリスならなんとかなるかもしれません。後で聞いてみます。量はどのくらい必要ですか?』
『ある程度の失敗も考慮すると……スライムゼリーは500gくらい。牙は大きさにもよるが人間の歯が50本は作れるくらいの量だな』
うむ。それは一体いくらくらいするんだろう。俺が金を出すわけじゃないが……小市民的には気になる。今日も組手をするかと言われたが、今は申し訳ないが仕事優先だ。まだ職人としての俺が少しだけだが残ってるらしい。
「寒天に蝋に石膏、それからレッドスライムに強い魔物の牙……ごめん、僕もよくわからないものばっかりだね」
「あんまり使うものでもないからね。知らなくても良いさ、知ってる人を知ってれば、ね」
「知ってる人って……?」
「例えば港街の領主とかモルガン先生がいるじゃないか。ここは流通の拠点だから知ってる可能性高いよ」
「そうか!じゃあ僕は叔父様に聞いてくる!」
「俺達はモルガン先生に聞いてくるよ」
モルガン先生は、今でこそ王子の家庭教師という役職だが本来は薬師だったそうだ。薬師が何をどうやったら、あんな風に地上最強の生物といわれそうな肉体になったのか、あるいは何故そんな肉体を持っていながら薬師になろうとしたのか。地味に謎の多い先生だ。
というか俺の先生師匠って変な人ばっかだな!学校でのイリア先生が唯一のオアシスなのかもしれない。出番は少ないけど…。
「どうしましたか、2人とも。セシル君、今日は授業じゃなかったよね?」
「はい、先生。本来の授業ではありませんが課外授業の質問に参りました。先生はレッドスライムをご存知ですか?」
セシルが…!なんかお利口さんになっている。
呉下の阿蒙にあらず、だなぁ。しみじみ。
「レッドスライム……確かスライムの一種ですね。それがどうしましたか?」
「研究材料としてレッドスライムのスライムゼリーを探しているのですが、どうすれば手に入りますか?」
「……ずいぶんと難しいことを言いますね。方法は二つ。自分で採取するか、買うかです。とは言っても採取は今の君たちには無理でしょう。まず倒せないだろうし、そもそもレッドスライムの生息地は北のモンブリー地方です」
「では、どこで買えますか?」
「この街に冒険者ギルドがあれば、そこへ依頼するのもいいですが……この街にはありませんからね。商業ギルドで問い合わせてみるのが良いでしょう」
そうなんだよ。お約束の冒険者ギルドがこの街にはないんだよ。なんでかっていうと魔物がいない平和すぎる街だからだそうだ。昔は少しは魔物も居たらしいけど、この100年ほどは確認されてないんだって。
そんな街で魔物に襲われて死にかけたっていう激レア体験をした俺は運が良いんだろうか、それとも悪いんだろうか。
「ありがとうございます、よくわかりました。もうひとつよろしいですか?強い魔物の牙、なるべく強いものとしてはどんなものがあるのでしょうか?」
「強いというならドラゴンなんでしょうが、わたしにとってはマッドベアでも十分に恐ろしい魔物ですがね、ハハハ」
これは謙遜なんだろうが(左手一本で戦うには)とか(両目を閉じて戦うには)恐ろしい、なんて意味に聞こえちゃうんだよな。そもそも先生は本当に戦士じゃなくて薬師ですよね?巨凶・範馬の血は流れてませんよね?
「手に入る、現実的な範囲で言うならば……この国ではタイラントタイガーでしょうか。すみません、わたしもあまり詳しくはないのです。鍛冶屋で聞いてみた方が良いかもしれませんね」
鍛冶屋!よし、次はカール爺さんのところで聞いてみようか。
「ここにいたか!アレク、蝋と石膏は大丈夫だ、在庫があるらしいよ。寒天は頼んだら来週には手に入るって」
「おお、それは”重畳”!レッドスライムに関しては商業ギルドで聞いてみる。そんで牙のほうは知り合いの鍛冶屋さんに聞いて見るよ」
「例のカール爺さんの店?僕も行っても良いかな?」
「ダメですよ殿下。この後は宮廷作法の時間ですよ」
「えー…」
クリスはあえなくモルガン先生に捕獲されドナドナされていった。やはり王子は忙しい。優雅に見えても水面下で必死に脚を動かす白鳥のように……スマン適当なことを言ってる。忙しいクリスの代わりに俺達が走れば済む話だ。忙しい王子をパシリ扱いしてはいかんよね。うん、もう少し暇なときにパシらせよう。
「お久しぶりでーす。カールさん~?」
「……なんだ、お前らか。前も言ったが、うちはおもちゃ屋じゃねぇよ」
「前も聞いたけど、俺達はおもちゃを買いに来てませんよ」
げいぼるぐⅡも点検してもらおうと持ってきたんだ。お客だぞ!
「最近、酷使してるんで槍を点検に持ってきました。それと強い魔物の牙ってどんなものが手に入りますか?」
「牙ァ?今在庫にあるのはフォレストウルフとオーガと……ワイバーンの牙が少しある位か。それがどうした?」
「この国で手に入るもので一番強い魔物の牙ってなんですか?」
「そうだな………まぁワイバーンだろうな。タイラントタイガーも強いがランクはワイバーンのが上のはずだ」
「じゃあワイバーンの牙、見せてもらえますか?!」
なんだかんだ言ってもカール爺さんは俺達に優しいから、渋々とだがワイバーンの牙を持ってきてくれた。むむ、これは想像してたより……でかいな。これなら一本あれば入れ歯用の人工歯を作るのには十分にお釣りがきそうだ。ただ、すごく硬そうでこれから人工歯を削りだすのが骨が折れそう。ルーさん、手伝ってくれるかな。
「あのな小僧。ワイバーンなんてお前の親父レベルでもそうそう扱えない材料なんだぞ」
「俺が使うわけじゃないですよ。はい、この槍もお願いします」
「おい小僧……お前、戦場でも行ってきたのか、またブラッドウルフと喧嘩でもしたか。何をしたらこんなボロボロになるんだ」
「新しい師匠が熱心に教えてくれる人なんで…」
「熊かオーガにでも弟子入りしたのかよ……これは明日まで預かるぞ」
「お願いします。それから、このワイバーンの牙って幾らで買えますか?」
「ほざけ。寝言は寝てから言え。これ一本で500万G以上はするんだぞ!」
うーん、多分それは高いんだろうけどピンとこないわ。それは日本円でいくらよ?国も時代も違えば相場なんて全然違うしな。まぁクリスならなんとかなるんじゃないかな。
「俺がお金出すわけじゃないからね。カールさん、それ売らずに取っておいてくださいよ」
「……こいつがそんなポンポン捌けたら、俺ぁ今頃豪邸を建ててるよ」
これで、あと必要なのはレッドスライムのスライムゼリーだ!商業ギルドで聞いてみろ、だったか。商業ギルド……それはどこだ?行ったこともないわ。知らない事は知ってる人に聞け。さて、誰が知ってる?それが分かれば苦労はないよな。
「ボクが知ってるよ。アレクはやっぱり考える前に走り出すタイプだよねー」
失敬な。慎重で冷静な大人なんだぞ、見た目は子供でも。その名も名探偵…ゲフンゲフン。うるさいな、俺がそうだといったらそうでいいじゃないか。減るものでもなし。
「しかし、よく知ってたね商業ギルドなんて。セシルもそんな所に用事なんてないだろ?」
「前に母様と買い物に行ったときに前を通ったんだよ。ボクは一度見た道は忘れないもん」
偉いなー。俺なんてスマホの地図アプリがなきゃすぐ迷子になってたのに。昔、岡山の倉敷でスマホの地図アプリを見ながら迷子になったときは我ながら自分にビビッたぜ。最新機器をもってしても、だった時は流石にショックだった。そんなことを思い出しながら、知ってるような知らない道をセシルの後ろについて走る。急ぐから、走る。お、ここか。ここなのか?よし、入ろう。
「すいませ~ん……お邪魔します」
「あら、かわいいお客さんたちね。どうしたの?」
そこはまるで銀行のような図書館のような雰囲気のロビーで、カウンターには綺麗なお姉さんがいた。これだよな、無意味に次々登場する美女キャラ。これこそがナーロッパだろ。まぁ受付に綺麗なお姉さんってのは日本でも珍しくはない光景ですけどね。
「あの、レッドスライムのスライムゼリーを探してまして!」
「珍しいものを探してるのねぇ。お父さんのお手伝い?調べるからちょっと待ってね。えー……っと、多分リブロン商会かゲンスブール商会で取り扱いしてると思うんだけど、行って聞いてみてね。場所わかる?」
俺はもう無言でセシルの背中を押した。うん、人間には得手不得手があるもんだよ。俺は自分を慎重で冷静な大人だと思うが、同時に少しだけ方向音痴かもしれないな……うん、勇気を持って認めよう。その自覚があるだけ、俺は偉いんだ!……と思う。涙が零れないように、ぢっと空を見上げる。エンディングまで、泣くんじゃない。
「はい、いらっしゃい。お使いかい?」
ギルドから近かったリブロン商会の方へ来た。店番は店主なのかな?今度は美女じゃなく、褐色の肌で顎髭の似合うおじさんだ。
「レッドスライムのスライムゼリーがこちらで買えるとギルドで聞いてきたのですが」
「おう、あるよ。ちょっと待ってろよ………ほら、これだ」
バックヤードから広口の瓶に入った赤い液体?を持ってきてくれた。なるほど、レッドだね。ジャムのようにも見える。
「いくつ欲しいんだい?ウチにある在庫はこれと、もうひとつだけなんだ」
「ひとつで大丈夫です。これってお幾らですか?」
「うん、8万Gだよ」
これがやっぱり高いのか安いのか、全然分からん。比較対象が無いから全くさっぱり皆目分からん。手持ちがゼロなので買えないのは確かなんだけどねぇ。
「わかりました。今、手持ちがないので取りおきをお願いします!」
「ふぅむ………まぁ、いいよ。なるべく早く来てくれよ?」
これで全ての材料は確認できた。まだ買ってないものもいくつかあるけれど、お金については明日クリスと相談しよう。頼むぞ、スポンサー。
そして続く!
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