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112 SR以上確定ガチャ




「あのまま、帰らせて良かったの?」


 奴隷市場で退屈な時間を過ごさせたお詫びとして、クゥムを肩車して楽しませながら城に帰っていた。うん、俺も少しはクゥムの好感度を稼がなくては。すんなりフィンリーを帰らせたのが意外だったんでルーにそのことを聞いてみたら「彼女の居場所はもう神眼に捉えているよ」との返事。ああ、そういう機能もあるんでしたね、神眼。どのくらいの距離まで捉え続けているんだろ。


 結局、フィンリーがどこの誰なんだか知らないけど……神様、どうか俺の大切なナニがもがれませんように。



 夕方には皆で城に戻って、漸く一息ついた。今夜もクリスはパーティに参加予定だ。まぁしかし貴族ってのは、そんなにパーティが好きかね。本当のパリピだよな。まぁ政治家もそうだろうけど貴族には社交や人脈作りが仕事みたいなものだろうし、好きとか嫌いとかそういう問題じゃないのかもな。

 そんな今夜のパーティはクロードと賢者・剣聖・聖女が護衛してくれるので俺とセシルとルーは引き続きお休み。予定では俺達も護衛に参加するはずだったけどクロードが加わったおかげで休めるようになった。クロードが居る限り、ラウルシュタイン帝国が国をあげてクリス殺害を企んだとしても大丈夫。

 大丈夫なんだけど………今、その頼りになるクロードは呼び出されている。ええ、彼の妹に私用で。大事なクリス護衛をほっぽり出して。俺もタイミング的に良くないんじゃないかなーとは思うけど、今のルーにそんな事を言ったら問答無用にナニをもがれそうでね……俺も自分が一番かわいいんですよ。


「一切の嘘は許さない。ただ事実のみを述べよ」

「リュシオール、私がお前に嘘を言うなどあり得ないだろう」


 うん、俺も彼に再会して日は浅いけどわかる。クロードはヤベー程にシスコンだもんな。俺としてはもう少し常識人を期待したかったんだけどなぁ……いやルーが関わらなければクロードは割と常識人だ。それは妹も同じか……なんとも相性の悪い兄妹だよな。


「メルヴィルには子供が居たのか?私と出会う前に…それらしい相手が居たとか……お前なら知っているだろう!?」

「居ない」


 実にあっさりと即答してくれた。良かった…!おかげで俺のナニがもがれる事態は避けられた!よっしゃああぁ!!悲願のワールドカップ出場が決まった時レベルのガッツポーズだ。


「リュシオール、冷静に考えてみなさい。あのメルヴィルはそんな真似が出来るような男だったか?」


 そうだよ、だって俺だよ?めちゃくちゃピュアなんだよ。女の子を目の前にしたらモジモジして碌に会話も出来ないような俺なんだよ?


「あのメルヴィルも今ではこうだぞ?日本で、とんでもなくエロエロになって帰ってきてるんだぞ?あんなことやこんなこともしてくるようになってるんだぞ?」


 何これ。流れ矢がザクザクと俺の胸に刺さってますけど。いや、俺は人並みに……うん、人並みなだけだよ。


「確かに、日本とは凄まじい国なのだな。あのメルヴィルがあれほどのコレクションを集めて、これほどの女性好きになってしまうとは……お前の気持ちは痛いほどわかるが、当時のメルヴィルは終生お前に手を出さないような純情な男だったではないか」


 なんだろうな。

 君ら兄妹、実は仲が良いだろ?

 絶妙なコンビプレイで俺の心がズタズタだよ。

 これって本人を目の前にしてやる会話なのかな?

 そもそも俺、この場に必要?

 許されるなら夜空でも見て泣きたいんですけど。


「だがしかし……今日、メルヴィルの子孫の可能性が極めて高い少女に出会った」


 お。フィンリーはやっぱり女の子なんだ?ルーの言葉を聞いて、クロードが長考に入った。俺の中にメルヴィルの記憶が残っていれば話は早いんだろうけどね……でもどっちみち知らんと言うだろう。だって有罪なら、もがれるし。俺はどこまでも自分がかわいいんだよ!


「………やはりメルヴィルに子が居た可能性はほぼゼロだと思う。私と出会うまでに子供を作ったとも考えられない。そんな話は聞いた事がないしメルヴィルと出会って以降、私が何度盛場に誘っても女性には興味を示さなかったしな」

「ならば!あのフィンリーをどう説明する!」

「確か、私も数度しか会ったことはないがメルヴィルには兄が居た筈だ。あの兄には何人か子が居た筈……メルヴィルの直接の子孫ではないが、彼等の血筋がクロゥ家の子孫として残っているのかもしれない」


 へぇ……俺は前前世でも兄が居たのか。前世の日本でも兄が居たし今世では兄と姉だ。たまにはかわいい妹の方が欲しいのにな。


「兄……そうか!なるほど、兄の子孫か!」


 スゲーな、クロゥ家。千年前の家系が残ってるの?世代でいうなら50〜60代くらい?生まれ変わってるから俺との血の繋がりは無いけど、もしクロードの話が本当ならフィンリーは……姪みたいなものだろうか?孫か?違うか。


「そうだった!兄…確かにメルヴィルには兄が居た!姪も甥も居た!そうか、あの子達の子孫ということか……アレク、私は君を信じていたぞ」


 どこがだよ!!!!とツッコミたいけど、今は余計な事は言わずにルーをぐっと抱きしめた。沈黙は金。今まで何度余計な事を口走って痛い目にあってきたことか。俺だって少しづつ成長してるんだよ。


「一度、私にもそのフィンリーに会わせてくれ。そうすれば確信を持って言えるだろう」


 しかしルーは既に自分なりの確信を得たのだろう、クロードの言葉は無視した。やはり兄の扱いが酷い。最早用済みだと言わんばかりだ。


「それはそうと、あの頃にメルヴィルを盛場へ誘ったのだな?女性の居る場に?よし、やはり貴様は死刑だ」


 そこな。


 クロードが墓穴を掘ったなと思ったわ。

 1000年が経っていようと時効なんて無いと思ってたわ。

 俺だって1000年ぶりの対面で問答無用に首ちょんぱされたし。


「妹よ、未遂だぞ」

「未遂でも十分に有罪だ」

「ストップだ。クロードはクリスの護衛に戻って!そしてルーは一旦座りなさい」


 目の前で魔神同士の兄妹喧嘩を始められてたまるか。巻き添えで俺が死ぬわ。ずっとこんな感じだと俺の仲裁能力が上がりそうだ。それ系統のスキルゲットしないだろうか。かなり強引だけど、なんとかクロードを逃すことが出来た。いきりたつルーには甘いものを与えよう。


「ほら、さっきのバウムクーヘン。これの改良でも考えようよ」


 お土産用に買っておいたバウムクーヘンを一口サイズにして、あーんとしたら素直に食べた。相変わらずの安定のチョロさだ。


「日本で食べたバウムクーヘンはもっと甘くてしっとりしてたんだよね。何を変えたら良いんだろ?」

「ふむ。卵とバターの量を増やしてみましょうか。それから蜂蜜とミルクを加えて……」


 よし。甘党は実にチョロい。問題は何も解決していないけど、少なくとも俺の大事なナニがもがれる事態は避けられた。

 そもそも問題と言っても、それはフィンリーの問題であって俺達の問題じゃない。今の俺と血の繋がりは無いし。そりゃ心情的な親戚としては助けてやりたいけど連絡先も知らないし。まぁ……なるようになるさ。











◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇










「お見合いが目的で来た割に中々会わないんだね。相手のお姫さんはそんなに忙しいの?」

「ぶっちゃけて言えば、僕のお見合いなんてついでだってことさ。メインはお互いの大臣達の様々な外交上の折衝や昨日みたいなパーティで両国の友好を深めるとかさ」


 自分のお見合いを冷静に分析しやがって……俺はシンプルに下世話な好奇心でお前のお見合い相手を見たいんだよ。お母さんである皇妃さんも綺麗な人だったし、そもそもの話でだいたいの貴族や王族ってのは基本的に美形なんだよね。もちろん例外も大勢居るけれどやっぱりね、権力者達は結婚相手に美人を捕まえてくるからさ。そしてそれを代々重ねてたりするから庶民と比較しても明らかに美男美女が多い傾向が認められる……らしい。

 以上の理由からクリスの相手のお姫さんも相当期待出来ると思って良いだろう。お見合いガチャ、一発勝負なのは間違いないんだけどSR以上が確定のガチャなんだよね。我ながら言ってる内容のレベルが低すぎてヤバい。



 本日は我々がラウルシュタイン帝都に着きまして5日目の朝。天気は晴れ…少し雲があるかな?今日も雨の心配はなさそうな日です。

 本日はクリスの予定は視察。何の視察かというと騎士団の訓練を視察するんだと。へぇ、そうですかと他人事のように考えていたら全然他人事じゃなかった。寧ろ当事者の一人だったのよ、俺。その訓練する騎士団の中に俺達も含まれるらしい。本日はラウルシュタイン帝国とルシアス王国の共同訓練なんだって。えー!そりゃないでしょ!俺、なんちゃって騎士ですよ!仮免だから!とか言いたいけど、そんな戯言が通用する筈もない。


 クリス……代わってくれないかな。代わりに俺が視察するわ。そんなもん、腕組みでもしてフムフムと頷いてたら良いんだろ?


「私達から参加するのはアレクと、セシル。頑張ってね」


 俺の意見など完全に無視してルーが言い放つ。その上、全員参加じゃないらしいのに参加させられる!………その理不尽さを広く世に訴えたかったけど、よく考えたら俺とセシルしか居ないんだわ。

 ルーは隊長だし、そもそも本日のクリスの護衛だ。剣聖達ガールズは変装したとしてもラウルシュタインの騎士が相手では正体がバレる可能性がある。クゥムはもちろん論外だ。

 クロードは参加しても良いかもしれないけど……なんか怖い。あれ?何かやっちゃいましたか?とか言ってラウルシュタインの騎士全員を再起不能にしかねない。なんせ一千年の眠りから覚めて1週間くらいしか経過してないし。まさか寝起きの悪さでルシアスとラウルシュタイン両国の友好にヒビを入れちゃマズいよ。


 消去法で、俺とセシルかぁ。

 もう少しこの近衛騎士団にはマトモな人材が居ないのかね。

 俺が前に出るようじゃ終わりだよ!?


 覚悟を決めよう。これも仕事だ!……仕事なんだけど、そういえば俺達の給料ってどうなってるんだろう。休日はたまに貰えてるけど給料も発生してるんだろうか。多分、発生しているんだろうな。なら、やっぱり仕事だ!そして俺は仕事はちゃんと真面目にやる男なんだよ。俺の歯科技工士時代のキッチリさを見せてやりたいわ。













 そして午前から開始される合同訓練。他に知り合いも居ないし全く勝手がわからないので、俺とセシルは連れ立ってユーゴさんの後について行く。格好もユーゴさん達、ルシアス王国の第一騎士団の鎧の予備を貸してもらった。俺とセシルだけ普段の漆黒の鎧を着ていたら、めちゃくちゃ目立ってしまうからね。

 ゾロゾロと騎士団の訓練所に移動して、まずはウォームアップ。さて、合同訓練って何をするんだろうか。あんまり痛いとか疲れることはしたくないなぁ。


「そう固くなるなよ」


 そう言って、笑顔で俺の肩を揉んでくるユーゴさん。そんなあなたは力を抜き過ぎじゃないですか?これでも王国の第一騎士団の正騎士だって言うんだからね。それは我が国の騎士の中でもかなりのエリートって事だよ。そしてそのユーゴさんの同僚である我が家のジェロム兄さんも同様にエリートなんだよね。最弱の街出身のエリートだなんて、すごいよね我が兄は。


「固くはなってませんけどね。合同訓練って何をするんですか?」

「模擬戦だよ。お強いラウルシュタイン騎士団の胸を借りて、俺達が完膚なきまでにやられちゃうイベントさ」


 なにそのドMイベント。

 やめようよ。誰が得するの、それ。


「俺だってしたくないよ。昔、サミュエル大臣が是非!とか言い出して決まったらしいぜ。全く余計な事を言い出してくれたもんだぜ……」


 あいつか。あの豚野郎のせいか。昔に言い出したのなら、先日ルーに殺されかけた仕返しに間接的にラウルシュタインの騎士にやらせようと言う魂胆って訳でもないのか。昔からあいつは本当に碌なコトしねぇのな……第一騎士団は完全にとばっちりだね。ドンマイ!まぁ、俺も被害者の1人だけど。


「整列ッ!」


 おおっと、雑談をしてる場合じゃない。ルシアス王国第一騎士団副団長の肩書きを持つエリック・エル・グレゴリオさんの号令にユーゴさんも含め10名の隊員が一糸乱さぬ、といった感じに並んだ。俺とセシルも、よくわからないなりに最後尾に並んだよ。あんまりモタモタしてるとクリスの不名誉になっちゃうしね。だが、エリック副団長はゆっくりと俺達の方へ歩いてくる。ありゃ、いきなり目を付けられたかな。あー、なんだか怒られそうな雰囲気。ただ並んだだけなのにな。


「……貴様達に一切期待はしておらん。だが、知らぬ者から見れば貴様達もルシアス王国騎士団の一員だからな。精々、恥を晒さぬようにせよ」


 酷い言いようのような気もしたけど……これは要するに俺達を心配してくれているんだよな?顔や言い方は怖いけど、この副団長って実は良い人なのかもしれない。それとも都合良くとらえすぎかな?

 恥を晒しても俺は全く構わないんだけど……とりあえず怪我無く終わりたいものだ。毛が無く…って、誰がハゲやねん!俺はその辺り本当に敏感だからね。ハゲてないけど。






 しばらく整列して待機していると、正面の扉が開いてラウルシュタイン側の騎士団の連中が入ってきた。いや、名乗ってくれた訳じゃないけど、この状況であの格好あの雰囲気は向こうの騎士団だろうなーと思っただけさ。


「第三騎士団、整列!」

  

 こちらは10人プラス俺達、なのに向こうさんは総勢40人も居るぜ。しかも…こちらは一部とは言え、ルシアス王国の第一騎士団なのに、あちらさんは第三か。第一が一番強いとも限らないけれど、それでもなんとなくわかったよ。ラウルシュタイン帝国は、俺達を舐めてるんだって。


「総員、右向け右!クリストファー殿下に敬礼!」


 号令に従って右を向くと、そこには御丁寧に小さな観客席みたいなのがあった。そして、そこにクリス達が入ってきた。もちろん、その背後にはルーが漆黒のフルプレートアーマー状態で護衛しているし、多分ラウルシュタイン側の偉いさん、みたいなおじさんも一緒に居る。あそこがVIP席なんだろうね。

 そこから視察……というか自分の国の騎士団がボッコボコにされる様子を見るのね。それはそれでキッツいな。屈辱、て感じがしますわ。ルシアス王国とラウルシュタイン帝国は友好国ではあるけど、身の程は弁えとけよ?とでも言いたいのかな。

 いやいや、別に腹は立たないよ。実際にその通りじゃん。我が国と彼の国の戦力差は尋常じゃないぞ。うん、ジャイ○ンと○び太どころじゃない。なので合同訓練と言うか……これは公開処刑ですね!でも俺は国家への忠誠心が無いから、あんまり気にならない。ただただ、自分が痛い思いをしたくないだけなの。







 こちらのエリック副団長と、ラウルシュタイン側の隊長?か知らんが偉いさん風の騎士とが歩み寄ってガッと握手した。何か会話をしているけれど、あれは練習試合の前に監督同士が挨拶してるようなものだろうか。

 その間に各陣営は模擬戦の準備ですよ。うん、治癒魔法使いも待機しているんだろうけど真剣は使いません。代わりにずらっと木剣や木槍が並べられた。好きなのを選んで良いらしい。

 なんだか、学校の卒業記念にベルカーンとやった試合を思い出したよ。あの時とは相手のレベルが段違いに上がってるけれど、やる事自体は似たようなものだ。いや、一つ大きな違いがあった。騎馬じゃないの。騎士なのに!馬に乗って戦うんじゃないの、今回。


「これはラウルシュタイン帝国の流儀だな」


 ユーゴさんにそう言われたらしょうがない。というか、セシルはさておき俺は騎馬じゃない方が歓迎だよ。騎馬での戦いの練習もぼちぼちしてるんですけどねぇ。


「マチュー・コルネ!前へ出ろ」


 エリック副団長に呼ばれて、ルシアス王国騎士団側から一人の男が進み出た。既に鎧を着ているので顔はハッキリとは窺えないけど強そう。多分な。


「ラルフ・ベッカー、参る!」


 対するラウルシュタイン側の騎士は、これまた顔はわからないが大男だ。これまた強そうだな!鎧しか見えないと全員が強そうに見えるんだよ。俺も傍からなら強そうに見えているのかな。見えてるといいな。


「ユーゴさん、俺達は12人なんですが40人を相手するんですか?」

「バカ野郎。出来るはずないだろうが」


 少数精鋭だったらイケるんじゃないか………と思ったけど、どちらかというと40人のラウルシュタイン側が多数精鋭なんだって。なにその言葉。


「3人目まで倒せたら上出来じゃないか?今までの最高記録は5人まで倒したらしいぞ」

「第三騎士団を相手にですか?」

「その時は第五騎士団が相手だったそうだ」


 第三と第五で、どっちが強いのか知らんけどな。

 歴代でルシアス王国側がコテンパンにやられてきたのはわかったわ。

 それで、あの一番手のマチューさんは強いんだろうか。


「まぁ……うちのメンバーでは下から数えた方が早いな」

「強そうなのに?」

「ああ、強そうなのになぁ…」


 呑気に解説してくれているユーゴさん自身は強いのかな。

 正直言って、強そうには見えないんだけど。


「俺は……中の上かな?6人目に出ていく予定だよ」


 基本的に弱いやつから出していく作戦だそうだ。

 だったら俺達が一番最初じゃないのか、エリック副団長。

 そう言いながらも、多分そんなに弱くないぜ俺達は。

 それにしてもユーゴさん、実力的には中の上なんですね。

 人としては下の下じゃないでしょうね?


「あー…お前達は本来は居ないはずのオマケだからなぁ。副団長殿も忘れてるのか、それとも最後に出すのか……」


 忘れてるんじゃないかな。最後はちょっとヤだな……緊張しそうだ。まぁ、忘れてたとしても構わないけどさ。俺とユーゴさんとトークしている間に、マチューさんはあっさり倒されて…というか既に3人目まで倒されてる。描写すら無いほどの秒殺よ。故郷のオルトレットもそうだったが、俺達が属する組織って弱いなぁ…!

 いや、うちが弱い以上にラウルシュタイン帝国が強いんだよ。流石は今現在も戦争中なだけはあるぜ。




「次!ジャック・ヘンリオン、前へ!」


 こちらの4人目、ジャックさん。相手側はまだ一番最初のラルフさんだよ。3人抜きか、大したもんだ。それでも流石に疲れているのか、大きく肩で息をしている。そんな状態のラルフさんと長く打ち合ったジャックさんだったが、なんとかやっと一本を奪う事が出来た。4人ががりでようやく1人を倒す、か。そして相手は総勢40人。算数なら160人が必要。こりゃ無理ゲーですね!

 頑張ってラルフさんを倒したは良いもののフラフラになっていたジャックさんは予想通り、ラウルシュタインの2人目に秒殺。4人で1人を倒せるなら、こちらの10人目が3人目に挑んで終わりかな。おおよそ例年通りということか。さっきまで俺とトークしていたユーゴさんも出番が近いので剣の素振りをしている。呑気そうなユーゴさんでも顔が強張って……緊張しているんだろうな、しょうがねぇな。


「ユーゴさん、もし勝てたなら可愛い女の子を紹介しますよ」

「本当か!!!なら、少しは良いところを見せないとな」


 空元気も元気、らしいからね。ラウルシュタイン側の2人目はまだまた元気だし、そう簡単には勝てないだろうけど無理矢理でも笑顔を作ってくれたのは、ユーゴさんの意地なのかもしれない。そして俺は、そういう意地は嫌いじゃないよ。意地と女の子好きの欲望で頑張って欲しいね。もし本当に勝てたら……そうだな、リナ・ルナの双子の元旅芸人でも紹介しようかな。



次回は18日の月曜日更新予定です。


かしこ。

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