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105 その日、人類は思い出した


 合流した初日から、クロードはクリスの部屋の前で寝ずの番を任された。任されたというか……あれは押し付けられたと言った方が正しいよな。いくら眠る必要が無い魔神とはいえブラックな扱いだ。今朝まで1000年間も寝てたから平気だろ、って理屈なんだろうか。

 そして、クロードがルーの兄だとはいえ初日から自分の身辺警護を任せるクリス……お前も十分スゲーよな。それを命じたのが近衛騎士隊隊長だからか。ルーが命じるなら大丈夫、とでも思ったんだろうか。信頼しているのは兄じゃなく妹の方なんだろうな。まぁ、その気持ちはわかる。

 そんなパワハラ全開な隊長は毎晩の不寝番を兄に押し付けたら、俺のベッドにもぐりこんで来たよ。どうした、まさか同じ屋根の下にみんな寝てるのに色々とシたくなったのかな?職権乱用も甚だしい。俺としては嬉しい展開ですけれども。願ってもない展開ですけれども。


「違うっ!今日はアイツのせいで君と過ごす時間が減った!その補填を要求します!」


 どういう理屈なのか、よくわからないけど今夜は一緒に寝たいようだ。俺は今夜どころか毎日一緒に眠りたいくらいなので、如何な理由だろうと大歓迎ですよ。まだまだ冷えるのに最高の抱き枕登場じゃないの。


「だーめ。君が私の枕になるの。動いちゃ……ダメだよ?」


 ダメなのかー。

 それは生殺しだなー……。

 でも、隊長命令ならしょうがないか。

 大人しく枕を頑張ろう。


 前世を含めて何十年も生きてきたけど、初めて考えた言葉だな、枕を頑張る。人類史上有数の意味のわからない言葉だ。ググっても出てこないんじゃないかな。寝なくても平気な魔神だけど、基本的に寝付きは良い。かわいい寝顔を見ていると色々なことをシたくなるけど我慢だ。頑張って、俺の理性。まぁ無理だとは思うけどな。

 そんなルーの静かな寝息を聞きながら、なんとなく兄妹の仲が悪くなった理由がわかったような気がした。恐らく昔の俺とクロードは、相当に仲の良い友達だったと思うんだよ。多分、当時も俺とクロードの2人だけで遊びに行くなんてこともしょっちゅうあったはず。今日みたいにさ。


 だから……この子は嫉妬しちゃったんだろうな。

 寂しかったんだよ。

 なんてかわいい理由でしょうね。


 そして、可哀想にその嫉妬の炎で焼かれているのがクロードという訳だ。友人としては、なんとかしてやりたいけど本当に嫉妬が理由なら俺が何か言えば藪蛇だろう。多分、クロードもそれをよくわかっている……気がする。立派なお兄ちゃんだよな。本人が何も言わないなら俺は生暖かく見守ることにしよう。

 今の俺にしてやれることは、一生懸命に枕を頑張るくらいのもんですよ。いや、意外と大変なんですよコレ!何が大変って、姿勢もキツいけど理性を保つのが早くも限界ギリギリな感じ。思春期の男の子が好きな子に抱きつかれたまま寝られて、何もするな!なんてな。この状況、御褒美なのか拷問なのか……紙一重だぜ。

 ルーはアレク成分を補充出来てるんだろうけど、俺は何かのゲージがガンガン減っている気がする。もう赤点滅していて超必殺技が打てるぞ。明日はついに帝都に着くと言うのに……ネムレナイ。











◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇









 まるで天国のような地獄のような一晩が明けた。もちろん俺はめちゃくちゃ寝不足だよ。あの状況で眠れる訳が無いでしょ。でもやましい行為をしなかった俺、偉い。聖人認定されちゃうかも。


 俺は眠い目を擦りながらだけど、我々の一団は予定通りにマイニッツを出発して馬車で進むこと、だいたい6時間と少し。やっと。ようやく。ついに、この旅の目的地であるラウルシュタイン帝国の帝都が見えてきたよ。距離的には……マイニッツから多分30km前後かなぁ?例えば東京駅から横浜市くらいだろうか。それが近いのか遠いのか……少なくとも帝都が見えてからが遠い。さっきから進んでいても全然辿り着かない。あれ蜃気楼じゃないよね?


 その理由は、この帝都が常識外れに巨大だからだった。

 流石と言うか、馬鹿げた大きさと言うか。

 

 帝都を護る城壁が目の前に聳え立つ。


 なんつーでっかい城壁だろうな。何?この国には超大型巨人でも攻めてくるの?その日人類は思い出したのか?ヤツらに支配されていた恐怖や鳥籠の中に囚われていた屈辱を。これは街そのものが巨大な……砦だな。ルシアスの王都の城郭がささやかなものに見える程に大きい。こんな大きな城壁を用意せにゃいかんとは、どんな恐ろしい相手を想定してるんだろうね。そして街自体もルシアスの王都よりも数倍は大きいんだそうですよ。

 これは…これが帝都セルトラーナ。こうやって見ただけで軍事強国という言葉を納得したよ。ルシアス王国は100年くらい前から戦争してないらしいけど、ラウルシュタイン帝国は現在もどこぞの国と交戦中らしいし。あれ、今は休戦中なんだっけ?忘れた。とにかく、この国はルシアス王国と比較にならないほどの大国なんだよ。大したもんだよねぇ。

 ルシアスの王都でもそうだったように本来なら街に入るだけでもチェックがあるらしい。商人達が列をなして審査を受けている様子が見られるけど、今回俺達は一応、国賓なのでね。ほぼノーチェックですよ!楽で良いっすねー。ありがたいね、VIP待遇。


 ラウルシュタインの騎士隊に誘導され、これは上級国民用なんだろうか、大層な作りの門から俺達もついに帝都に入った。そして中に入ったら民衆の大歓声に包まれる……なんてことはなかった。ほぼノーリアクション。街の人々にとっては、なんか騎士団が知らない誰かを護衛して帰ってきたのかな?程度のもんだろうさ。これが戦勝した将軍の凱旋、とかそんな感じならド派手に歓迎するのかもしれないけど。俺達は、ただのお見合い使節団ですからね。

 そのお見合い使節団は街の中に入って、大通りを進んでゆく。街の風景を切り取って見ると、ルシアス王国の王都と大差なく活気がある……けど範囲が広いな。行けども行けども、人と店が途切れない。賑やかな、日本なら○○銀座商店街とか呼ばれそうな感じの人通りの多い通りが続く。これが今も戦争中の国とは思えないな…!国力の差がえげつねぇですね

 ウチの第一騎士団の連中はラウルシュタイン帝国に初めてきたのか数度目なのかは知らないけど、健気に胸を張っているよ。うん、圧倒されそうな気持ちはよくわかる。別にラウルシュタイン側が我々に圧をかけている訳じゃない。単純に彼我の力の差が大きすぎる。よく、こんな大国と対等に国交できてるものだね。逆に俺の中でルシアス王国の評価が上がったわ。


 我々はそのまま街のほぼ中央、ラウルシュタインの王城の中へ入っていく。いよいよ完全に相手の手の内に入ったよ。ここまで来たら煮るなり焼くなり好きにして、という位置だ。まぁ今の俺達の身内には魔神が2人居るのでね。最悪の場合、この城を焼き尽くして脱出だ。いやいやセシルじゃあるまいし、なんでそう物騒な発想やねん。俺も気圧されてるのかな?


「はじめて来たけど、これは圧倒されるね…!」

「クリストファー殿下。心配召さるな、俺達には無敵の魔神が2人も居ます。なんなら、このまま武力制圧しますか?この国を」


 可能か不可能か、と過保護魔神達に聞いたら容易いと答えてくれるだろうさ。頼めば今日中にこの城を更地にしてくれる。実際にやったとして、その後の統治はめちゃくちゃ難しいだろうけどな。


「懐かしいね、その台詞。見合いに来たのに武力制圧しちゃったら、僕は後の歴史書になんて書かれるんだろうね」

「お見合い皇帝クリストファー、とか?」

「それはカッコ悪いな。アレク、くれぐれも武力制圧はしないように気をつけてくれたまえ」


 少し緊張していたクリスにも、ようやく笑顔が戻った。そうか……ダメか。どうせ面倒な事するくらいなら、いっそ…!と思ったけど。だってラウルシュタインの皇帝も大臣らも、みんなここに居るんだろ。ルーとクロードが居るなら制圧、いけそうなんだよな。破壊は確実にイケる。その後の交渉なり政治関係はクリスに丸投げで。そうなったら流石の完璧超人のクリス君でも激務に悩まされて10円ハゲが出来るかもな。


「武力制圧はダメなんだって」

「そうですか。それは実に残念です」


 これは冗談に乗ってくれているのか、本気なのか。

 まだクロードの表情って読めないわ。

 










 眼前に見えるラウルシュタインの王城には、巨大な尖塔が5つあった。東西南北の塔に、中央の塔。そして俺達…というかクリスは西の尖塔のある城の迎賓館へと案内された。

 その入り口には、落ち着いた雰囲気のメイド達が左右にズラッと並び優雅に礼をしていた。クリスの為ではあるけど壮観ですね。そのまま中に案内されると、これでも城の一部なのか、と思うほどに広い。室内で象でも飼えそうですね!飼わないけどね!

 そして更に驚くべきなのは広さじゃなく……目に入る壁、床、天井の全てが田舎者の俺が見ても美しい。さぞや金をかけて丁寧に作ってあるんだろうぜ。まだ廊下だけど、もうここで寝泊まりしますので良いですよと言いたくなるわ。

 他所の国からの客を迎える迎賓館だけに帝国の威信を示す為にも特に豪華に作ってあるのかもしれないけど……こんなもん庶民の俺にはスゲーとしか言いようがないね。ポカーンと口を開けてしまうわ。

 執事さんに案内されたクリス用の部屋は更に見事だった。もう俺如きでは表現出来ない。めちゃくちゃ天井が高いしシャンデリアはデケーし目に入る全ての物の作りが丁寧で、調度品はド派手ではないが素晴らしく美しい。多分、いや間違いなく全てがクッソお高いんでしょうね。

 このスィートルームに泊まるのは、もちろんクリスだけだけど俺達が泊まる護衛用や使用人用の部屋だって十分に綺麗だよ。ホテルだとしたら一泊いくらになるんだろうか。そんな事を考えてしまう俺って小市民でかわいい。

 因縁のサミュエルも大臣だけに良い部屋をあてがわれるようだ。てめぇなんざには勿体ないわ。床で寝ろ、床で。いや、お前には床も贅沢だ。庭に出ろ。犬小屋はないのか。あ、豚小屋か。それはそれで豚に申し訳ないか。














「うわぁー…ふかふか!ふかふかだよ!」


 セシル&クゥムが、クリス用のベッドにダイブしていた。まだ王子も触れてもないのに君達なぁ……その気持ちはわからないでもないけど、行儀が悪いよ。それに埃が舞うでしょうが。


「僕は構わないよ。クゥム、好きなだけピョンピョンしたら良い」


 俺も他人の事は言えないけど、それでもお前はクゥムを甘やかし過ぎだよ。あー……確かに誰も居なければ俺も少しベッドでピョンピョンしてみたい。多分、全人類がピョンピョンしたいんじゃないかな。


「ありがとっ!アタシ、クリス大好きよ♪」


 良かったね、クリス。仮にお姫さんとのお見合いが失敗したとしても精霊幼女のハートをゲットしたよ。ロリコンとしては大勝利だぞ。しかし俺も結構クゥムを甘やかしてるんだけどな……。


「クゥム、俺は?」

「アレクも好きだよ!肩車高いし」


 ………大好き、ではないのか。そして肩車に関しては俺より背の高いクロードが出現したし。弱いな…弱いぞ。クゥムのハートをゲットする為にも俺だけのストロングポイントを作らねば。俺はロリコンじゃないけどな。その後もクゥムとセシルは飽きずにベッドでピョンピョンしていたら、戻ってきたルーに怒られた。ついでに黙って見ていた俺も怒られた。3人並んで正座させられた。何故、俺も。解せぬ。

 えー!!クリスは?あいつが許可したんだぜ?そう思って振り返ったらクリスは着替えの為に既に部屋を出ていた。あいつの危機回避能力なんなの…?


 こんな感じで、のんびりしているように見えるけど実際、本日の予定はもう何も無い。少なくともクリス以下俺達には無い。この時代、何時に到着するかも正確にはわからないし旅の疲れもあるからね。まずは休養してください、ということだそうですよ。この休養はクリス用ですが。

 大臣のサミュエルはどうか知らないが、一緒にやってきた事務官連中は既にラウルシュタイン側の担当と様々な打ち合わせとかで忙しくしているみたい。その分、彼らはここまでの旅の途中ではめちゃくちゃに暇だっただろうけどね。

 そして、ここからは護衛として同行してきた第一騎士団の騎士達が休暇を貰えたりする……もちろん全員同時にとはいかないけど。特に今回は近衛騎士、つまり俺達が居るということなので、城に滞在中は騎士団の皆さんものんびり出来るようですわ。それは結構な話ですな。

 俺達だって順番に休みを取る予定ですよ。この旅の目的の一つに、この国の冒険者ギルドでグリフォン素材を処分する、というのもあるからね。ルシアス王国では基本的に出現しないはずのグリフォンを大量に狩ってしまったので、それらを少しでも穏便に処分する為に。せっかくの休みなのに仕事みたいなことせにゃいかんとは。まだまだ忙しくなりそうだ。











◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇










 翌日の朝、天候は晴れ。


 クリスの本日の予定は、昼間は特に何もなくのんびりして、夕方からは皇室主催の歓迎パーティに出席予定ですわ。いきなりだが今日のパーティは、かなり重要なパーティらしいよ。なんせ皇室主催だもの。その辺は王子が頑張れ、という話なんだけど近衛騎士にも無関係な話じゃない。ちゃんと護衛の仕事しないとね。何気に結構過酷な仕事だよ、コレ。

 だってさ!大国の皇室主催のパーティ、そんなの絶対に豪華な食事が用意されるパターンじゃん。美味そうな食事!美味そうなお酒!美味そうなデザート!それらを目の前にして食うな飲むなと言うんだから。なんというか、これは新手の拷問じゃないの?聞きたいことがあるなら言ってくれよ。俺が知ってることなら答えるよ。ベラベラ喋るっての。だから食って飲ませてくれよぅ…。


 別にこういったパーティ護衛任務を見越していた訳じゃないけど、我が近衛騎士隊には女性が多い。隊長以下女性は4名…それに一応クゥムもそうだし、更には女性にしか見えない男の娘も居ますよ。逆にちゃんと男の護衛役としては俺とクロードしか居ないという偏りっぷり。外国で王子を護衛しようというのに無茶苦茶な構成ですよね。今更だけど頭がおかしい。クレイジーとしか言いようがない。

 しかしながら、女性騎士ってのは便利な面もあるそうだ。こういうパーティでドレスを着てウロウロしても自然だし雰囲気も壊さない。なので近衛騎士隊の女性陣は、それぞれが素敵なドレスで着飾ってクリス王子の前後左右をさりげなく護衛する予定だ。

 ただし賢者、聖女、剣聖の3人はこの国の出身だし有名人らしいので普通にドレスを着ただけではバレるかもしれない。いや多分バレる。なので変装用のウィッグを付けてメイクして誤魔化すつもりですよ。

 一方で俺とクロードは、クリスが見栄えするように揃いの衣装で左右から密着マークで固めるのだ。イメージは仁王像、阿行像と吽行像だ。だから自由度ゼロ。飲食無しでひたすらクリスに合わせて動くのみ。

 それに比べると女性陣には多少の自由がある。自然にさりげなく、がテーマなので食事も不可能ではない。流石にお酒を飲むのはご法度ですけども。

 え、それは正装したら俺でもいいんじゃねーの?とも思ったけど、そうするとクリスに付く護衛が居なくなる。現世界復帰数日後のクロードだけというのも不安が残るし。本当に偏った構成だ。もっと野郎が必要じゃないか。どこへ行ったんだ、俺のおっさんパラダイス。もっとこう……あれだけ色々と濃かったじゃないか。ここにきて追い上げか。バランスをとろうとしているのか。それは刺身を一気に全部食べて最後に醤油を飲むようなもんじゃないのか。そういうとこあるぞ。いやおっさん達よ、戻って来い!とは絶対に思わないけど。


 まぁね、なんと言おうとこれも仕事だ。

 キチッとやることに異存はない。

 それより、俺が気掛かりなのはただ一つ。


「ルーがナンパされないかが心配なんだ」

「だから。これは護衛任務なんだってば」


 その護衛任務も美しいドレスを着てさりげなく護衛するんだぞ。この人が素敵なドレスを着て。そんなもん、声を掛けてくる野郎が絶対出てくるだろうが!


「それは……多少はしょうがないんじゃないの?」

「しょうがないで済ませられるか。だから対策を考えた」


 そう、俺は諦めが悪いのだよ。近衛騎士隊の隊長に護衛もせず部屋で大人しくしていろとは言えない……言いたいけど。だったら護衛をしながら、野郎共に声がかからないようにすれば良いのだ。そこで秘策を考えだした。


「君はもっと他に考えるべきことが沢山あると思うけど……それで、今度はどんなバカなことを考えついたの?」


 バカ前提、という言い方には少々カチンとくるものがある。しかし多少自覚もあるので強く否定も出来ない。そして呆れながらもちゃんと聞いてくれるルーが大好きだよ。ほら、余所見してるお前らも見習えよ!


「クゥムだ。子連れでパーティーに参加すれば、そうそう声はかけられまい!」


 冷静に見たら5歳前後に見えるクゥムのお母さんとしてはルーは見た目年齢が若過ぎるけども。姉妹と見られる可能性の方が高いかもしれないけども。その辺は大人メイクでもしてもらうとしてだな。常に子供と手を繋いでいたら、普通の男は声かけないだろう。かけないよね……?


「アタシも参加して良いの!?」

「クゥムも仲間はずれはイヤだろ?みんなと一緒にドレスを着て行きたいよなー?」

「行きたい行きたいー!アタシもドレス着たーい!」


 この作戦はほぼ決行されるだろう。そもそも1人になるクゥムをどうするか、という問題もあったんだ。それも同時に解決する奇策だ。そして、行きたい行きたいと言い出したクゥムを止められるメンバーはうちの騎士隊には居ないのだ。甘やかされ放題、クゥム。ある意味、最強。


「えー、良いのかなぁ?師匠、大丈夫?」

「そうね……もうクゥムが行く気になっちゃったし。連れて行くしかないでしょう。私、ママになるのか………」


 ルーが大きなため息と共に了承してくれた。うむ、無敵の精霊幼女を巻き込んだ時点で説得成功は決まってたのだ。俺の、パパの作戦勝ちだ。将来の予行練習とでも思ってくれよ。

 それより、セシルは良いのかなぁ?なんて言ってるけど、お前こそ良いのか?本当にお前もドレスを着て行くつもりなのか?


「ちゃんとセシルの靴もドレスも、私が用意してきました。何の問題も、ないよ」


 いや、ルー隊長。すげぇ根本的な問題があると思うんだけど……バレなきゃ良いんだろうか。バレなきゃイカサマじゃないんだぜ、とかバレなきゃ犯罪じゃないんですよぉ、とでも言いたいのか。

 バレないかのなぁ………と思ってたけど着替えたセシルを見たら、こりゃ絶対バレねぇわ。キラッキラしてるやん。雑誌の表紙飾るレベルじゃん。本当に男性ホルモンがストライキしてるとしか思えない。その胸、どうやって作ってあるの?まさか本物?触っちゃダメだよな?触ったら怒る?俺の幼馴染には、まだまだ秘密が多い。




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