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迷宮内にも町なんてあるんだな

 翌日。新たな木箱が柱の外に置かれていた。

 そういや、セーフゾーンには送れないって言っていたな。

 しかし今更だが場所が正確だ。


 地図もないし互いの位置も見て判断しているとは思えない。

 GPSのようなスキルかアイテムか……聞いたら多分答えてくれるだろう。

 まあ拒否されても傷つきはしないけどな。それに、聞く気もない。無用な事を知ってはいけない。

 俺が上に行くと言う事は、それだけのリスクをも考えてすべき事なのだから。


 木箱の中に入っていたのは、俺がリクエストした通りの代物だった。

 動きやすい革っぽい材質の鎧。胸元と腰、それに手と足を覆う分だけ。丈夫さは大切だが、出来る限り薄くて軽いものにした。

 色合いも普通。セーフ!


 平八(へいはち)さん……じゃなかった。ブラッディ以下略さんの見立てだと、絶対に投げ捨てていく羽目になっただろうからな。

 それに現地人のシャツ。それにフード付きのマント。ベルトにポーチ、いつでも外せる肩掛けの袋。水筒その他、これから上に行くための必須品だ。


 早速着替えるが、まだまだ自分に馴染んでいないのを実感する。これはコスプレだな。

 だけどまあ、次第に慣れるだろう。だけどこんな格好をした龍平(りゅうへい)に出会ったら、お互いに噴き出す自信があるぞ


「あの晩も思いましたが、高校生とは思えないほどに鍛えられていますね。それも何かのスポーツとも言えませんし、ジムで作った体とも見受けられませんが……」


 そういや、女性陣が居るのに構わず着替えてしまったな。

 そういった感覚が鈍くなっているのだろう。


「自己流だよ。何かのスポーツに打ち込む余裕もなかったし魅力も感じなかったんでね。ジムに通う金もなかったから、家で勉強の合間に鍛えていたんだ」


「それででしたか。ですがそれにしては、かなりしっかりとしていますね」


「ただやっても仕方ないからな。一応は調べたからな」


「納得です」


 そういってほほ笑んだひたちさんは、どこか満足そうだった。


「それと、わたくしの知る限りかなり大きいと思いました。もっと自信をもって、積極的になってもよろしいかと存じます」


「存じないでください」


 言いたい事はわかったが、俺は奈々(なな)一筋なんだよ。

 当然、童貞を捧げる相手も以下同文なんだ。





 軽く食事を採りながら、今後の事を話し合った。

 とはいっても、もう最初から決まっている。ただひたすらにセーフゾーンを求めて彷徨(さまよ)うしか手段がない。

 その間に水と食料も現地調達だ。

 俺はダンゴムシを食べればいいが、この二人はそうはいかない。

 食えるモンスターを見つけて食わなきゃならない訳だ。どっちがモンスターなのか分からないな。


「それで地上まではどの位かかるんだ? いや、距離や時間なんかは分からないだろうから概算で良い。コース的なものだな」


「そうですね。こういった明確な名前の無い小型のセーフゾーンを越えながら、当面は近場で最大のセーフゾーン『レルメデス』を目指すことになります」


「あ、あたしも行きたい! 久々にベッドで寝たい! 食料も補充しなくちゃ!」


 セポナが勢いよく食いついた。

 大きくて名前付き……当然、こんな閑散な場所では無いのだろうが……。


「どんな場所なんだ?」


「一つの町と言ってもいいでしょう。広く、また大変動による地震の影響も少ない場所に作られます。地上に比べて治安は悪いですが、召喚者に仕掛けてくるような人間はそうはいませんので、安全性は高いと思います」


「ふむふむ」


 地下街の治安が悪いのはどんな世界も共通か。

 そりゃ犯罪者も流れてくるし、重要性を考えれば衛兵なんかも少ないだろう。


「人口は1000人を超えていると思います。多くは加工屋、運び屋、売春婦、魔女などですね。それに少数の憲兵が配備されています」


「職業名を聞いただけで怪しい街に思えてきたな」


「召喚者も常に一攫千金とはいきませんので、迷宮のモンスター退治やそこそこ希少な鉱石の収集も行っています。それを食料や素材に加工して販売し、また上へ運んだりする人間が必要なんです。売春婦は言葉通り。魔女というのは薬剤師の事ですが、占いなども行っているのでそう呼ばれています。後は格好ですね」


 少しおかしそうなひたちさんの様子から、大体の服装は予想できた。


「それで憲兵って言葉を使ったって事は……」


「はい。迷宮内の治安管理は軍隊です」


 だろうな。普通の治安組織でどうにか出来るような甘い世界じゃないだろう。

 その点は他国の迷宮(ダンジョン)と繋がる事があると聞いた時点で分かっていた事だ。






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[一言] 頑張ってくださいね( ´∀`) 応援してます。いつも読んでます。楽しみにしてます。期待もしてます。ntrは、あー、って感じですけど、大丈夫です。
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