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後はもう地上へ行くだけだ

 そこからの行動は早かった。もうここに来た目的は達成し、後は地上に行くだけなのだから。


「さて、また普通に歩いて行けば良いんだよな」


 俺のスキルによって、目的地まで一直線。正確に言えば危険物は避けながらだが。


「いえ、まず最初のセーフゾーンまではこれを使います」


 そう言って目の前に出したのはダウジング棒のようなものだった。


「随分とまたアナログなものを持ち出したな」


「あ、違うんです。これは一度通った道を辿る為の物で、次の大変動まではこれで来た道を戻れるのですよ」


 へえ、便利なアイテムだな。

 ああ、そうだ。そう言えば、そういった魔法のアイテムみたいのを集めるんだったな。

 確か半年に一度だったか、上に提出するとか言っていた。だけど当然、探索に役立つものは自分で使う訳か。

 ――ん?


「隠れ住んでいる人とかは、半年に一度の成果提出なんかはどうなっているんだ?」


 無意味だと思うけど一応聞いてみる。ちょっとした確認だ。


「当然ですが、戻る事はございません。それに半年ルールは有名無実です。成果さえ持ち帰れば、1年後でも2年後でも良いのですよ。ただそれだけの迷宮(ダンジョン)生活に耐えられればの話でございますが」


 やはりな。上の連中に、俺達を遠隔操作で殺す手段は無い。まあ爆弾付きの首輪とかは無かったし。

 ただ目覚めるまでに、体内に何かを埋め込まれていたという危険はずっと考えていた。

 最初は連中の技術力を舐めていたが、やはりスキルと言う名の魔法や魔法道具(マジックアイテム)の存在は侮れないからな。


「あと、これをお二人に」


 そう言って取り出したのはスパイク付きの靴だ。これはありがたい。

 俺のスキルはオフに出来ない以上、出来る限り平穏な状況を保ちたかったんだ。

 さすがひたちさん、気が利くなーって、今どっから出した。

 考えるまでもない。昨日までなかった目の前の木箱からだ。と言うかいつからあった?


「その箱は?」


「わたくし達の仲間のスキルによるものです。いくつか条件が必要ですが、こうして仲間の元へ荷物を送る事が出来るのです」


「それはまた便利だな」


 ついでに中身を確認するとロープや昨日セポナが使っていた固形燃料、他にいくつかの袋なんかが入っている。結構な量を送れるようだ。


「便利ですが制限もきつくて、最初は即帰還候補だったのですよ」


「これだけ便利なスキルがか? 結構厳しいんだな」


「便利ではありますが、動植物などの生き物は送れません。たとえ死体であってでもです。それに液体も送れません」


「送ろうとするとどうする? 例えば袋や瓶に入れて」


「袋や瓶は送られますが、中身はその場に残ります」


「なるほどね、他には?」


「セーフゾーンや地上へは送れません。迷宮(ダンジョン)限定となります」


 寝ずの番をしていたつもりは無いが、あの後ひたちさんは布一枚を体に巻いただけの姿で、俺に寄りそうように寝た。つまり俺はお目目ぱっちり。とても眠れたもので無かった。


「つまりは水や食料は送れない。そしてひたちさんの仲間は、今も俺達の位置を特定しているって事か。それに連絡も出来ると。それにしても、ここがセーフゾーンじゃないとはね。見た限り、初めて来た時と何も変わらない。入り口さえもな。だからここはセーフゾーンじゃないかと予想していたんだが……」


「今の話だけでそこまで理解なさったのですか? さすがですね。平八(へいはち)様が気にかけるだけの事はあります」


 あの人かー……俺はちょっと苦手だな。

 表情が見えない人間は、ソレだけで怖い。それにあの双子……うーん。


「この場所がセーフゾーンではない事は、もしかしたら帰還の糸口になるかもしれません」


「そうなのか?」


「正確な話ではございません。ですが、新しい情報には全てその可能性があるかと」


 確かにその通りだ。

 これもまた、万里の道を進むための一歩なんだな。




ここより新章スタートです。

果たして無事にたどり着けるでしょうか。

ご感想やブクマに評価など、続きを読んでみたいなーと思っていただけましたら、是非よろしくお願いいたします。

頑張ります(*´▽`*)

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