表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

443/685

双子恐るべしだな

 もうしばらくしたら、ここに雑魚の群れが来る。

 というか、それぞれが立てる音は小さくとも、向こうはかなりの集団だ。

 歩く音、這いずる音などが合わさって、まるで不気味なうめき声が質量を持って流れてくるように響き砂を震わせる。

 まだ距離があるが、それでこれか。千は超えていそうだな。

 もっとも、眷族がいなければ――





 □     ●     □





「そろそろ目的のポイント?」


「今まであたしらがいないから無人だったんでしょ? 大丈夫なの?」


 え……もう倒したの?


 今はラーセットを出て持ち場へ向かっている最中だ。

 本来なら1か月以上かかる道だが、俺が穴を開けてショートカットしているので4日あれば到着する。

 まあそれだけではなく、この二人の身体能力も、もう人間の範疇を越えているのが大きいな。

 もう百メートルくらいの穴なら、全員普通に飛び降りるし、登る時も小さな足場を利用してマウンテンゴートをよりも早く跳ねるように進む。

 まあ風見(かざみ)はちょっと大変そうだが。

 今はそうやって移動中。そろそろ持ち場に到着する予定だったのだが――、


「全員ストップだ」


「何かあったの?」


「過去に戻った。どうやら未来で奴を倒したらしい」


 今の位置から考えて……戻ったのは大体4時間くらいか。


「全く実感がわかないわね」


「そりゃそうだろうな……平八(へいはち)、聞こえるか?」


「問題無い。まさかとは思うが、今更中止とか言わないだろうな?」


 通信機から聞こえてくる龍平(りゅうへい)の声に怒りがにじむ。

 確かにこのタイミングで世間話は無いけどな。


「そんなわけがないだろう。たった今、過去に戻った。未来で成功したようだ」


「そいつは朗報だな。じゃあ作戦取り行くぞ」


「ああ、やってくれ」


 これで龍平(りゅうへい)が指示し再び双子が奴を倒す。

 さっきは各ルートでの戦闘は無かった。だが今は違う。

 奴は既に逃げ始め、同時に全ルートに眷族と雑魚の集団が動き始めている。さっきよりも4時間早くだ。


「すぐに磯野(いその)に連絡してくれ。それと本体の位置情報も送るように」


「もう連絡は来ているわよ。一斉に動き出したって。本体の位置は平八(へいはち)さんに送ればいいのね?」


 こちらから連絡するよりも早く動き出したか。さすがに向こうも命懸けだな。

 ちなみに今更だが、各所への連絡は風見(かざみ)に一任してある。

 身長の関係でここからでは見えないが、あの魔女帽子の裏には各チームリーダーや地上への直通の通信機がバッジの様に取り付けてある。

 通信は混雑すると指示の邪魔になるから風見(かざみ)にしか聞こえていないが、一応スピーカーに切り替える事も可能だ。

 本当に何でも発掘されるな、迷宮(ここ)は。


「それで頼む。こちらは手前で迎撃するぞ」


「バリケードまではいかないの? あそこには予備の武器を積んであるんだけど」


「今からじゃ間に合わないな」


 あの状態で音が聞こえる距離だった。

 まあまだ10分以上はあったと思うが、さすがに4時間も猶予はない。

 そんな訳で、児玉(こだま)の武器は背中に背負った巨大リュックの中身だけだ。

 戦闘となったら、それで頑張ってもらうしか無いな。


「まああたしは戦えればいいだけどね。でも失敗は出来ないんでしょ? ちゃんとサポートよろしくね」


 児玉(こだま)はやる気満々だが、これではどちらがメインか分からないな。

 そんな訳で迎撃の支度をしていると、もう各バリケードでは戦闘が始まっていた。

 辿り着けなかった俺たちと違って、向こうは1年前から待機中。その間は大丈夫だ。

 幸い、まだ俺の元に召喚者の死体――いや正確には死んではいないが――は流れてこない。誰も死んでいないという事だ。

 安心と嬉しさで気が緩みそうになるが、こちらにも再び奴らの音が聞こえて来た。

 さて、時間的にそろそろのはずだが、今度はどちらが早いか――、





 ●     □     ●





「持ち場まではあと3日くらいだっけ?」


「二人とももう少し速度を落とせない? 私はこれでも頭脳派なんだけど。というより、各地との連絡も一緒にやっているのよ」


 すまない児玉(こだま)、君の出番はなかったよ。


「いや、ここでストップだ」


「ん? トイレ?」


「すぐに磯野(いその)から連絡が来ると思う。それぞれの持ち場に緊急連絡。すぐに来るぞ」


「時間が戻った――で、いいわけね、了解」


「聞こえるか、平八(へいはち)


「問題無いが、まだ開始の号令から1日だぞ。もう不安になったのか?」


「いや、そうじゃない。もう作戦が始まっていてな。どんどん過去へと戻っている。順調ではあるが、これからかなりきつくなってくるぞ。そっちも用意してくれ」


「そういう事か。じゃあ始めるとするか。またな」


「ああ、またな」


 とは言っても、俺たちはここでストップだけどな。

 それにしても、今頃もう1人の俺は祝杯を挙げているのか、それとも大量の事後処理に頭を悩ませているのか……。

 どっちにしても大変だな。


「こちらは予定のポイントには間に合わないけど」


「それが作戦で良いのよね?」


「確認するまでもないさ。その為にここまで準備したんだ」






いつもお読みいただきありがとうございます。

ご意見ご感想やブクマに評価など、何でも頂けるとかなりわかりやすく喜びます。

餌を与えてください(*´▽`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ