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まだまだ強敵は山ほどいるか

 大穴自体は緩やかに蛇行しながらも直線だが、周りには幾つもの大小様々な穴が開いている。

 通常の怪物(モンスター)たちはあそこからでも出てくるな――そう思って、立ち止まってしまう。

 あの双子なら、あの程度のサイズからでも容易に出入りできるじゃないか!


 だけど今は、先に片付けなければいけないやつが目の前にいる

 ダニと花が組み合わさったような奇怪な怪物(モンスター)

 だけど単なる雑魚ではない。これでもセーフゾーンの主だ。

 既に花からは猛毒が撒かれており、かつて俺の主食だった大型ダンゴムシが大量に死んでいる。

 本当にこいつらは何処にでもいるな。


 相手はよほど気が立っていたのだろう。

 そんな俺の感慨などお構いなしに突進してくる。

 本来ある頭からキラリと見えたアレは……毒針か。


「分かりやすくて結構だ」


 ほんの数メートルまで近づいた瞬間、花の中から管のように繋がったド太い針が撃ち出される。

 だが当たらない。というか、あんな分かりやすい攻撃に当たってたまるか。

 イチイチ注視する手間も惜しい。本体に集中しながら、毒針はかわしてから管に触れ、外す。

 それはまるで千切られたかのように派手にもがきながら、地面に落ちた。

 外に出た後なら、触れる必要も無かったのにな。

 そう思った瞬間だった。左足のふくらはぎに激痛が走る。

 見ると、奴から伸びた毒針には僅かも傷もなく、切断もされず、俺の足に突き刺さっていた。


 ――どう言う事だ!?


 こいつも時間を戻す能力持ち?

 だとしたら最悪だ。時を戻す敵が複数いるだなんていったら、状況の複雑さが天文学的に増える。もはや人間の扱いきれる範疇を越えているぞ。

 いやまあ1体でも超えているってツッコミは無しだ。


 幸い毒は外し、万が一を考えて身体全体を外す。

 アナウンスが無かったところを見ると、即効性の致死毒ではなかった様だ。

 もっとも、スキルが無かったら、遅効性でも同じ運命だけどね。だが考える時間がある以上、俺もそう簡単には死なない。その点だけはラッキーだったな。


 とは言っても目の前に強敵がピンピンしているのだからあまりラッキーとは言えないか。

 だが取り敢えず攻撃は単調だ。再び毒針を一直線に伸ばしてくる。

 ただ今回は見落とさない。避けると同時に、きちんと確認しながら触れて外す。

 同時にバチンとゴムチューブが千切れたような鋭くも鈍い音が走るが、次の瞬間にはそれは繋がっていた。

 同時に背後に回り込んで襲い来る毒針。


 ――試すか。


 背後から肩に突き刺さると同時に、刺さった部分を外す。

 いや、確かに外したのだが、まだ刺さっている。これはまた……。

 今度は根元から外すが、何事も無かったかのように毒針は奴の体内へと戻っていった。

 そして肩に空いた確かな穴。毒も注入されていたが、こちらは即外す。


 だけどこれで大体分かった。幸いな事に、こいつに時を戻す能力は無い。

 ただ事象の改変とでも言うか、あった事を無かった事にはできるようだ。但し自分だけに対してだな。

 千切れた毒針はその瞬間、直ちにそのような事実は無かった事になる。

 一方で、俺の傷や注入された毒はそのままだ。そしてちゃんと外す事が出来る。

 予想を一言で現わすのは簡単だが、じゃあこいつをどうするよとなると話は別だ。

 ある意味時間を戻す級に厄介だぞ。


 今は、まるで野生の獣の様にゆっくりと俺の周囲を回っている。

 隙を窺っているというか、向こうが攻撃態勢を整えているって感じか。こいつもセーフゾーンの主なら、確実に知能を持つ。

 そう言えばその辺は黒竜に聞いていたが、知恵の程度は聞いていなかったな。

 今度また聞きに行くべきかだが……今はこっちだな。

 どうせ相手によって違うと言われて終わりだろうし。


「おい、お前に言葉は通じるのか? だったら聞きたい事があるんだがな」


 しかしその瞬間を隙だと捕らえたのだろう。行くりとした横移動から一転。目にも止まらぬ速度で突進してきた。


 ――くそ、猪みたいなやつだな!


 だが触れた以上はこちらのものだ。毒針と同じように……などと考えたのが甘かった。

 考えてみれば、その丈に見合わぬ地響きを立ててきたことからちゃんと考えておけばよかった。

 その体の密度、質量――とても生物のそれじゃない。

 鋼だってここまで硬くは感じないぞ。それに何より重い。黒竜の尾の勢いすら外せたスキルでも、まるで止まらない。

 当たった瞬間にガードした腕もアバラも背骨すら砕けた感覚はあったが、それを認識する前に壁に叩きつけられる。

 埋められたと言った方がいいか。俺の体は、完全に潰れて壁にめり込んでいた。もう人間の形をしていないのが分かる。


 もう満足したのか、奴はめり込んだ体を外に出すとそのまま周囲を確認し始めた。

 いや頭が無いので判別が難しいが、とにかく何かを探しているような感じだけは分かる。

 しかし参ったな。触れた時に奴の体を黒竜の時のようにバラバラに外そうとしたのだが、硬すぎて無理だった。何とか対策を練りたいところだが、のんびりしていたら他の連中の所へ行きかねない。


 ひょいと潰れた体を外して俺も外に出る。

 さすがに驚いたか? 奴の注意が再びこちらに向いたのが分かる。

 しかし厄介な相手だ。こうして戦ってみると、結構黒竜は弱い方だったんだな……なんて言っちゃあいけないか。

 実際には、人間に倒されたセーフゾーンの主は結構いるわけだしな。

 中の下くらいかな……と言う事にしておこう。






今日もお読みいただき感謝です。

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