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一言でいえば曲者というべきか

「それで、奴隷は主人に嘘をつけるのか?」


「いいえ。ですから奴隷に対する朝の挨拶は、自分を殺す気があるか? ですよ」


 殺伐とし過ぎて嫌、そんな関係。

 だがそうまでしても奴隷制度がある。しかも奴隷にするためのアイテムが常備されている。

 つまりここまでの話が全て真実だとしても、奴隷を手にする価値があるという事だ。

 いや、ここだから価値があると言った方が良いのかもしれない。


 普通の荷物持ち(ポーター)が、こんな所に来るだろうか? 怪物と出会っても逃げないだろうか?

 答えはノー。全部投げ捨てて逃げるだろう。

 お前を守ってやるから信じて従え――何とチープな言葉か。

 お前が死んだら俺も死ぬ。だから従え括弧(カッコ)強制括弧(カッコ)閉じ。

 これなら納得も出来るな。

 しかも『逃げるな』って命令も、すぐさま命に係わるような状況でなければ強制力が働くようだし。


「それで、互いの死以外で奴隷契約を解除するには?」


「この洗浄液に互いの体液を混ぜた後、奴隷印を洗い流せば完了です」


 お手軽すぎて脱力する。しかし体液か……。


「血液ですよ。何か誤解していませんか? エロい事とか考えてません?」


「そうならそうと最初から言え!」


 殺意も毒気もしおしおと抜けていく。そういえば通訳だったか。単純に語学堪能というだけでなく、話術にも秀でていそうだ。

 いや、まてよ――、


「一つ尋ねるが、召喚者を奴隷にすることは出来るのか?」


「無理です。それが出来たら頭を下げてお願いなんてしませんよ。それにスキルなんかも簡単な説明はされるそうですが、実際にどこまで出来るかは本人しか正確には分かりませんから。わたしたち現地の人間が命令するのは、逆に足を引っ張るだけです」


「なるほど」


 実は言葉を話せるのは召喚者だからで、この脱力感もスキルによる影響――なんてオチも考えたが、そうではないらしい。


「だけど地下から掘りだされた強力な魔道具には、召喚者さえ従える事が出来る逸品があるらしいですよ。もっとも、召喚者にしか使えないそうですが」


「ふむ……そういったアイテムは――」


 聞こうとして止めた。保管場所などこいつが知っていると思えない。

 どうせどっかの宝物庫でしょと言われて終わりだ。

 他の可能性としては商人。貴族制度などがあれば貴族の屋敷って可能性もあるが、どんなアイテムが何処になんてのは神でなければ判るまい。


 しかし奴隷に関しては大体分かったな。

 順番が少しずれたが、後はこいつと契約して今までの話が嘘かどうか確認すればいい。

 嘘だったらオシオキだが、真実であれば小娘一人などどうということは無い。

 放置すれば、勝手に死んでいるだろう。

 ああ、その前にしっかりと契約は解除しておかないとな。こいつの巻き沿いで死んではたまらん。


「では早速奴隷契約とやらを結ぶとするか」


「え、誰が誰とです?」


「俺とお前だよ」


「嫌ですよ。わたしに何の得もないじゃないですか」


 頭の中で練っていた計画が、ガラガラと音を立てて消えていく

 最初の見事な土下座を見た時、こいつは逆らったり抵抗はしないと思い込んでいた。

 自分の甘さを痛感する。この世にモブキャラなどいない。皆一癖も二癖もある生きた人間なのだ。


 しかしこいつは難敵だな。

 殺すぞと脅したら素直に奴隷契約を結ぶのだろうか?

 だが結んだ途端に世を(はかな)んで自害なんてされたら俺までお陀仏だ。地上をすっ飛ばして天まで行ってしまう。

 いや、話によれば帰るだけなのだがな。


 だけど……多分それは無い。

 それを確かめるためにも、今は戻らなくては。

 俺の予想が正しければおそらくは――、


「ところで」


 わっ! と叫びそうになった。

 いきなり至近距離にセポナの顔があったのだ。


「いつまでスキルを使いっぱなしにしているんです? わたしが心配するのも変ですが、そろそろ切った方が良いんじゃないですか?」


 そう言った彼女の顔は、興味半分心配半分といった表情であった。






本日2度目の更新となります。

ご感想やブクマなど、応援ありがとうございます。

これからも頑張りますよー(*´▽`*)

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