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一体何が起こっているんだ

 それから帰還してきた召喚者には、事の顛末(てんまつ)を全て伝えた。

 その上でこのまま留まるか日本に帰るかを決めてもらった所、13人が日本へ帰る事を希望した。

 やっぱり、同じ仲間の反乱と鎮圧は彼らにも相当にショックだったようだ。しかも教官組が二人も裏切った……つまりは、彼らを捨てたのだから。


 これで残ったのは20人。また一からの再出発に近い。かなりの後退だ。

 だけどひたすら前に進めるほど楽な道ではないって事くらい知っていたよ。

 今はこうして、とにかく少しずつでもやるしかないんだ。

 ただ知っていたとはいえ、俺は外から見ていた立場だ。実際に先代の(クロノス)はどんな運営をしていたのか……もっとひたちさんや咲江(さきえ)ちゃん達から聞いておくべきだったな。





 そして3か月後、15人を召喚する事になった。

 これまでの同じ20人にしなかったのは、もっと目が届くようにするためだ。


 因みにだが、残った20人の内、一人は俺だな。

 そして3人の教官組。一人は風見絵里奈(かざみえりな)。俺を1期生とすると、3期生になるな。そしてその世代最後の生き残りである。


 2期生は人間との戦いで全滅。4期生の中学生は3期生が巻き込まれた大変動で一人が亡くなってしまい、残り二人は日本へと帰した。

 考えてみれば、意識して日本に帰したのはあれが初めてか。


 次の5期生は同士討ちにより全員死んでしまい、教官組の一人、磯野輝澄(いそのてるずみ)が6期生だ。

 ただまだ磯野(いその)は何処か納得していない感じがあるな。問題にならないと良いのだが。


 そして最期の教官組が7期生の千鳥ゆう(ちどりゆう)

 人望が厚く、7期生を纏めるだけでなく教官組の仕事も的確にこなしている。

 だけどそれだけ目に見えない負担もあるだろうし、これからはどんな細かい事でもしっかりと話し合っていこう。


 残った一般の召喚者16人のうち、6期生からは2人が残った。(みや)に近かった2人は帰ってしまったが、2人は磯野(いその)と仲が良かった。そのせいだろう。

 ベテランが残ってくれたのは良い事だ。


 そして千鳥(ちどり)を中心とした中学生7期組の残りは現在9人。

 2人は裏切ってしまったが、他の多くは生き残って地上に帰還している。元々、死者は凄く少ないグループだったんだよ。

 そして今回の事件での離脱者はなんとゼロ。元々団結力の高いチームだったし、それだけ千鳥(ちどり)が信頼されているという事だろうな。


 逆にごっそり寝返った前田咲(まえださき)のいた8期は現在この世界にはゼロとなった。

 ある意味逆に凄い。

 4人残っていたが、なにせ前田(まえだ)があんな事になってしまったかな。いたたまれなかったのだろう。全員が帰還を申請し、俺も承諾した。

 きちんと送り返したから、今頃は日本にいる頃だろう。まあこちらから見たら日本の時間は動いていないので、何とも面倒くさいわけだが。


 そして9期生は5人残っていたわけだが、なんと5人全員が残った。

 帰っていいんだぞと伝えたが、まだまだこの世界で楽しみたいそうだ。何とも心強い。

 いずれ彼らの中から、新たな教官組が誕生する事になるだろう。


 そして残った1人は意外というか何と言うか……。


「なあ、木谷(きたに)。もし不安だったら帰っても良いんだぞ」


「い、いえ。こっちの世界の方が……なんか色々と自由なんで」


 そういって、サングラスをくいっと上げる。

 自信に(あふ)れていた当時と違ってまだおどおどとしているが、この辺りの仕草は変わらないな。

 因みに10期生は11人だったが、荒木幸次郎(あらきこうじろう)とそれについて行った2人があんな結果になってしまったからな。

 ここにきて日も浅い彼らは、木谷(きたに)を除いた7人が帰還した。


 ここまでを纏めると、最初であり、まあ第1期というのが(クロノス)

 第3期の生き残りは風見絵里奈(かざみえりな)だけになってしまった。

 そして第6期は磯野輝澄(いそのてるずみ)とその友人2人の計3人。

 第7期は千鳥ゆう(ちどりゆう)を中心とした9人。

 残りは第9期が5人、第10期が木谷(きたに)一人。これで20人だ。


 人間との戦い……というより一方的に殺されてしまった第2期の3人。

 大変動の事故で以前の教官組だった三浦凪(みうらなぎ)らを失ってしまった第3期。

 そして(なぎ)たちと共に仲間を失ってしまい、残りも帰ってしまった第4期。

 俺の迂闊さから、アイテムの奪い合いで全滅してしまった第5期。


 そして今回の時間で、第8期と第10期も全員がいなくなってしまった。

 色々と寂しくもあり後悔もある。だが立ちどまっちゃだめだ。

 どれ程に血と嘘と汚辱に(まみ)れようとも、進むしかない。

 なあ、アルバトロスさん。アンタ何処まで知っていたんだ?

 ラーセットの発展の為とか言っていたが、正直あの時点でそれが必要だったとは思わない。

 地球の事まで知っていたのか?

 それとも、いつかまた襲ってくる”奴”に対抗する為に武具を集めていたのか?

 少なくとも、より多くの人たちを救うために汚泥を飲みんでいたんだな。

 今や俺も同じさ……。


 そんな事を考えている間に儀式は始まっていた。

 シェマンが呪文のような言葉を唱え、塔と設置された時計が光る。3つの針がぐるぐると回り始める。

 今この階下では、正に多くの人がその命を捧げている最中だ。

 そして時計の輝きが収まった時、ここには召喚者が眠っている状態で召喚されてくるという訳だ。


 だが今回は違う。

 まるで安置された時計が暴れるかのように、塔全体がガタガタと揺れる。針の回転も無茶苦茶高速だ。

 一体何が起こったんだ!?






今回から新章です。

果たして来訪者とは!?

是非とも続きをお楽しみにです(*´▽`*)

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