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新庄琢磨と須恵町碧

 これでスキルが発動したとかいうアナウンスは3度目か? 変な追加の言葉は初めてだが。

 そしてスキルの効果なのだろうか、発動と同時に10メートル程移動している。

 突き刺さった矢は? そいつは元の位置に落ちていた。

 だけど体には――いや、服にさえ傷一つない。一体どういう事だ? 刺さったはずだろう?

 いや、それは考えるまでもない。スキルの効果だ。


 ハズレ……それは間違いなく日本語に間違いは無い。だけどあの痴女神官は、言い(よど)んで悩んだ挙句(あげく)そう言った。

 本来なら違う意味。だけど教わった言葉に無かったのか?

 だから、ニュアンスが似た言葉からハズレと言う言葉を選んだのだろうか。

 様子からも、決して良い意味ではなかったはずだ。だけど、本当にそうなのか?


 考えながらも、後ろから襲ってきた兵士の首を飛ばす。

 さっきよりも頭が冴えている。動きも反応も早くなっている事が実感できる。

 というか、もう見なくても周囲の動きが手に取るように分かる。これが極限の緊張というものか?


 だがまあ、とにかく気を失わなかったのは幸いだ。意識を失ったら、その場で終わってしまうのだから。

 再び襲ってくる兵士達を見ながら……そして血を噴き呪詛(じゅそ)の言葉を吐いて倒れるその死骸を見ながら、そんな事を考えていた。





 “石槍使い”のスキル保有者、新庄琢磨(しんじょうたくま)は、成瀬敬一(なるせけいいち)のスキルを瞬間移動(テレポート)と予測した。

 なるほど、確かにそれなら不自然な点がいろいろと納得できる。大方(おおかた)、スキルが面白くてテレポートしまくった挙句にこんな所まで来てしまったのだろう。

 それも迷宮の説明を聞く前に。


 隠そうとしたのは、スキルの強力さ故か。それは目を見ればわかる。瞳の紋章が放つ輝きが強すぎる。

 あれほど強力なスキル使いなど、そうそういるものではない。もしかしたら、地上の10人にも匹敵するかもしれない。

 しかも便利さで考えたら一級品。だからこそ、もし敵対する事になったら最優先攻撃目標となるだろう。

 それも、始める前には始末しておかないといけない(たぐい)の能力者。自由にさせたら、その時点でこちらの負けなのだから。

 スキルを隠そうとしたことも頷ける。


(みどり)


「ええ。▽▽○▲◎■ 〇※〇■◆◆!」


 指示を受けた兵士達が密集し、まるでドーナッツの様に成瀬敬一(なるせけいいち)を囲む。

 そして弓兵はその外周に配置された。


 テレポーターは確かに厄介だろう。だがスキルは無制限に使えるわけでは無い。

 それはあいつが、未だにこの場に留まっている事からも明らかだ。

 もし予想よりも強力なスキルであれば、戦う必要がない。とっくに上へと帰っているだろう。

 後はテレポートの隙を与えず、外に出たら矢で攻撃。

 同時に俺と(みどり)のスキルで牽制しつつ、再び囲む。これで詰んでいるだろう。


 それよりもと、新庄琢磨(しんじょうたくま)は考えていた。成瀬敬一(なるせけいいち)が最初の兵士を斬った時の事だ。


 普通なら、剣を構えてフルフル震えながら「やめてくださあぁい」なんて言っている内に斬り伏せて終わりだっただろう。

 召喚者が相手な以上、そう簡単ではないかもしれない。しかしどちらにしろ、回避を優先させるのが常識だ。

 しかもあいつはこの世界に来たばかりだという。


 なのに、僅かの躊躇(ちゅうちょ)もなく抵抗し、兵士を斬った。

 それどころか、自分から踏み込んだのだ。そうでなければ、襲って来た人間の胴を両断など出来はしない。

 本当に高校生か? サイコパス? それとも特別な訓練を受けてきた訳ありの人間?

 何にせよ、普通の子供とは思わない方が良いという事か。





いつもお読みいただきありがとうございます。

この先も頑張りますよー(*´▽`*)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです!まだ最初のところしか読んでいませんが、ダークかつサイコパスな展開…この感じは貴志祐介先生を思わせます! ここからプロローグで描かれた場面にどう繋がるのか…本当の敵は誰になるのか…
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