1話・泣きたくても泣けないのは弱いから
【「貧相な」と解雇された最強冒険者、鍬や鎌で無双する】の改訂版?です。
今回は文章を修正することが困難になってしまったためにこのような対策を取らせていただきました。ブックマークしてくれた方、ごめんなさい。勿論、原作は削除しませんのでご安心ください。原作の方が良かった!などのコメントでも歓迎します。あ、感想がやっぱりほしいです…。
距離などの単位を日本語に戻します。ですが、時々この世界特有の言葉も出ますので、ご注意ください。
魔族との戦争。世界各国が魔王への対策を執っている時、多くの命が失われていた。刻一刻と迫る死への恐怖。すでに亡くなってしまった人への思い、恋人に会いたいがために後追い自殺をする若い女、家と家族を失い世界と自分の無力さを恨む男…。
すでに廃村となった焼け野原に、一人の少年が佇んでいた。その少年の名をギルスという。
ギルスはジェイル村という村の住民だった。幼いころに両親を亡くし、妹のミラと共に生きてきた。10歳になると訪れる『祝福の儀』。そんな重要な日も、彼は本気で生きていた。
『祝福の儀』とは、10歳になった者が受ける儀式で、神々が1人1人に加護を与える。それは人々の間で『祝福』またの名を『ジョブ』として知られている。
また、その中でも数百年単位に一人、『勇者』となる。勿論、ギルスはそんなものではない。彼の祝福は『ジョブ自由変更』、すべてのジョブを好きな時に変えることができるという反則級のものだった。当時、周りの目が酷かったものの、妹や唯一の友人のアレフのおかげでそれを乗り越えた。
今はそんなことはどうでもいい。ギルスは首を振ってその考え全てを表面上から消し去る。そして、改めてその惨状を目の当たりにした。
首を切り落とされた男、辱めを受けて殺された女、体のあちこちに穴が開いて死んでいる男女(恐らく、この二人はカップルと言うやつなのだろう)など、既に全滅している。『廃村』とは、そう言う意味だ。
実は、この村の状況を知った直後、とある大きな豚のような顔をし、角や翼を生やした謎の生物と交戦状態になった。敵対生物の名は『グレーターデーモン』。村どころか、街を滅ぼすほどの強敵だった。しかし、我を忘れたギルスは祝福によって得た力をフル活用して拘束、杭打ち、雨のように降り注ぐ業火、大地を粉砕するような強烈な拳の一撃によって瞬殺したのだ。すでに村は壊れていた、そのため容赦などなかった。
この時、ひょっとしたら彼は冷酷な殺戮兵器になることなどなかったかもしれない。しかし、とあるものを見てしまった。
妹のミラが、目の前で喰われて、首だけになって死んでしまったことを。
この瞬間、ギルスの感情が壊れた。悲しくて、悔しくて、泣きたかった。でも泣けない。
その理由を確かに自分は知っている。
「僕が………弱いせいだ…。」
自分が弱いせいでみんなが死んだ、だから全部僕のせいだ。だが、嗚咽を漏らすことはない。涙が流れることはない。時が止まっているように心が動かない。体だけが動いて、息をして、そしてすべてを拒んでいる。
「………っ!ゲホッ!ゲホッ!…スーッハー、スーッハー…。」
知らぬ間に息を止めてしまったらしい。ギルスは咳き込む。そして足りなくなった空気をもう一度大きく吸い込み、呼吸を安定させる。
「【魔力創造・鎌】【魔力創造・服】」
黒い服(ローブにも見える)と鎌(刃がかなり広い)を作る。魔法を使うなら間違いなくこれくらいは作れるようになるらしい。ギルスはこれが得意だった。
ギルスは鎌を引っ掴み道端で群れていたヴァイパードッグを切り刻み、血を抜きながら街を目指した。邪魔だった肉を引き裂いて魔法で焼いて喰らい腹を満たし、木の上に登って夜を過ごした。
疲れた、なんて言葉はない。寧ろ疲れてほしいと体が願っているほどだ。かれこれ3日間ほど、ギルスは寝ていない。だがクマは出来ていないし、痩せ細ったり、飢えに苦しんでいたりなどといったこともない。妹を殺し、村を滅ぼした悪魔を絶滅させるまでは、彼の怒りは収まらない。
しかし、とうとう体が限界を迎えた。道端で体が急に動かなくなり、そして急に強い睡魔に襲われた。
(っち、流石に来やがったか。僕もまだまだ未熟だ。街までかなり距離があるじゃないか。)
そう思ったギルスは少なくとも、このまま進んで倒れれば本末転倒だ、休んでから出発しようと判断し、木によじ登り、己の睡眠欲に身を任せて夢の世界へ旅立った。
読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに。
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