朝から
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魔界からディンガランに帰って来たボク達は、聖女様に凄く褒められたくらいで、他に特別な事はありません。普通に、旅に出る前の生活に戻り、冒険者として時には出かけてクエストをこなし、お金を稼いでご飯を食べて寝る。そんな日常となっています。
ロガフィさんは、てっきり魔界に残るつもりかと思っていたんだけど、頑なにボク達と暮らすと言い張って、一緒に帰ってくる事になりました。ジェノスさんは泣いて、魔王も嫌そうな顔をしていたけど、本人が希望するので仕方ありません。
だから、ボクを睨まないでほしかったです。
「新しいベッド、良い感じですね。皆で一緒に眠れて、ネモ様と離れずに済んで私は嬉しいですっ!」
美味しそうな朝食が机に並べられ、ボクの隣に座っているレンさんがそう言ってくれました。
全員起きて1階のリビングへとやってくると、ボク達の朝の始まりです。朝食はいつもユウリちゃんとレンさんが中心となって作ってくれて、他の人たちはそれを補助する役割です。ボクはお皿を用意して、そこに2人が焼いてくれたベーコンや、野菜を盛りつけました。
「う、うん。そうだね……」
ボクも朝からレンさんの柔らかな感触を味わえて、凄く幸せな気分です。そう言ったら調子に乗りかねないので口には出さないけど、皆で眠るのはボクとしても凄く良いと思います。
「ええ、本当に奮発して買ってよかったですね。私、もう毎日皆さんを襲わないようにするのに必死で……あ、いえ、やりませんよ?だから引かないでください。私だけ仲間外れなんて、そんなの絶対に嫌ですからね!?」
ユウリちゃんの気持ちは、ボクも分かるよ。大好きな女の子に囲まれて眠って、劣情を抱くのは普通の事だとボクも思います。だけどそれを口にされると、本当に身の危険を感じて一緒に眠りたくなってしまいます。
いや、ユウリちゃんの事は大好きだし、いつかはと思うボクもいるんだけど……でもそういうのって、雰囲気とかが大切だよね。だから劣情を抱いて突発的にとか、そういうのはあってはいけないと思うんです。
ちなみにベッドは、帰って来てから新調しました。大きなキングサイズのベッドで、ボク達全員が一緒に眠れて尚もスペースが余るくらいの大きさです。扉よりも大きいので、一旦ボクのアイテムストレージに突っ込んでから家の中へと運び込みました。
「私の身体はネモ様だけの物なので、本当にそういうのは勘弁してください。ちなみに私は、ネモ様にだったらいつ襲われてもいいです。身はなるべく常に清めているので、いつでも来てください。あ、ネモ様は清めなくてもいいですよ。私ネモ様の素の匂いが大好物なので、むしろネモ様の体臭を落とすのはもったいないと思っています」
そんな事を言われても、ボクは毎日ちゃんとお風呂に入って、ちゃんと身体を洗います。当たり前の事だけど、ボクは今改めてそう思いました。
「そ、その時は私も……できれば混ぜてもらいたいですが、見ているだけでもいいので絶対に呼んでください!それなら許可するので、思う存分見せつけてくださいね!」
「見てるだけ!?私とネモ様の行為を!?……そ、それはなんというか……目覚めていけない物に目覚めてしまいそうです」
恥ずかしそうに言うレンさんは、想像して興奮した様子です。
想像するのは勝手だけど、ボクは絶対に嫌だよ。レンさんの事は勿論好きだけど、ボクにとっての一番はやっぱりユウリちゃんで、そのユウリちゃんに見られながらレンさんとえっちな事をするとか……あれ、ちょっと良いかも……。
「何をするか分からないけど、私も一緒」
「ふぇ!?」
ボクの隣で話を聞いていたロガフィさんが、パンを口に運びながらボクの腕に抱き着いてきました。
ロガフィさんは、全く意味が分かっていないはずです。そういう知識が決定的に欠けているので、えっちな事をえっちな事と認識してくれないんです。
あと、イリスがよく言う下品でストレートな言葉の意味を、ボクに尋ねて来るので答えに困ります。
「にゅー……」
そのイリスは、相変わらずの寝起きの悪さで、寝ぼけながらイスに座らされています。隣に座るユウリちゃんとディゼにサポートされながら、フォークで刺したベーコンを自分で口に運んでいるけど、ほとんど眠っている状態です。
この状態のイリスを、映像に残して後で本人に見せてあげたいよ。
「ろ、ロガフィさん。たくさん食べてね。ほら、このパンも美味しいよ」
「ん……」
話をそらすため、ボクが差し出したパンにロガフィさんが食いつきました。美味しそうに咀嚼して、よく噛んでから飲み込んでボクの腕に頬ずりをしてきます。
それに対抗するかのように、レンさんもボクとくっついてきました。こちらはボクの腕にさりげなく胸を当てて、その存在をボクにアピールしてきます。
ちょっと食べにくいけど、こんな事をされて嫌な訳ではありません。なのでボクは無言でパンを口に運びます。
「ん。ディゼ、どうしたの?」
気づくと、ディゼが顔を赤くして恥ずかし気に顔を伏せていたので、気になって尋ねました。
「い、いや、その……朝から少し過激な話を聞いて、少し……」
「あ、あー……」
確かに恥ずかしがり屋のディゼにとって、朝から刺激が強すぎたね。こちらは意味は分かっている分ロガフィさんとは違うけど、守ってあげたくなるような純粋な乙女です。
そんなディゼを見て、ニヤついているのがユウリちゃんです。とてもやらしい笑顔をしています。それを見て、もしかしたらディゼの恥ずかしがる顔が見たくて、わざと過激な事を言ったんじゃないかと疑いたくなってしまいました。
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