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だいしゅき


 レンさんは、ロガフィさんにまとわりつき、ロガフィさんはそんなレンさんが勝手な行動を取らないよう、片手で抱きしめています。というか、足がおぼつかないので、見ていてとても危ないので、転ばないようにしてあげているみたいです。


「レンさん、本当にどうしたの……?」

「んふふー。どうもしませんよー」


 顔を真っ赤にして、ロガフィさんの抱擁を受けるレンさんは、ロガフィさんの頬に頬ずりをしたり、いつもの行動とはかけ離れています。レンさんがそう言う事をする対象は、基本的にボクだけだから、他の人に、自分からこういう事をする人ではないのだ。

 それが、どうだろう。今は、顔を真っ赤にして、焦点の合わない目で、どこかご機嫌な様子で、ロガフィさんにくっついています。

 もしかして、ボクに飽きちゃったのかな。だとしたら、ボクはとても悲しいです。ユウリちゃんはユウリちゃんで、今はイリスにべったりだし、他の女の子にはたくさん手を出すし、最後にはボクは、見捨てられてしまうんじゃないだろうか。そんな不安に、駆られます。


「ネモさん。そんなに悲しそうな顔をして、どうしたんだ?」

「でぃ、ディゼ?」


 不安に駆られたボクに話しかけてきたのは、ディゼでした。ボクを心配して、話しかけてくれたみたいです。


「う、ううん。なんでもないよ。そ、それより、レンさんの様子がなんかちょっと、変で──」

「何でもない訳、ないだろう?正直に、言ってみるがいい。私が、しっかりと聞いてやる」

「っ!?」


 ディゼは、ボクの顎を片手で掴み、ディゼの方を見上げて固定されてしまいました。更に、余った方の手はボクの腰……いや、もうほとんどお尻に触れられて、力強く抱き寄せられます。

 そして、目の前にあるディゼの顔は、いつもよりキリッとしていて、とてもたくましく見えます。軽く笑いかけてくるその表情は、とてもカッコ良くて、ボクは自分の胸がときめくのを感じました。


「でぃ、ディゼ、何を──」

「いや、何も言わなくていい。ネモさんは、確かにとても強く、私など足元にもおよばない。だが、その心はとても弱く、純粋な乙女だ。力でこそおよばなくとも、その純粋な乙女の心を支える、そんな存在でありたいと思う」


 やっぱり、ディゼもおかしいです。顔が赤くなっているし、もしかしたらレンさんと同じ症状かもしれない。足がふらつく様子はないけど、確実に、確信をもって、変だと言えます。


「ふふ。可愛い唇だな」


 ディゼは、ボクの目を真っすぐに見つめ、舌なめずりをしました。そして、ディゼの顔が迫ってきます。ボクは、顎を掴まれ、抱き寄せられている状態にあり、それから逃れる術がありません。ただただ、迫りくるディゼの目を見て、ボクの唇に触れようとするディゼの唇を待ちわびて、自らも唇を差し出してしまいます。


「ぐえっ」


 そんなディゼの襟首を掴んで、ボクから引き離したのは、またしてもロガフィさんです。

 片手でレンさんを掴み、更にそのレンさんにまとわりつかれながら、ディゼを止めてくれました。


「何をするのだ、ロガフィさん。もしかして、私がネモさんとちゅーをしようとしたから、嫉妬してるのか?可愛いな、ロガフィさんは。可愛いから、ちゅっちゅしてあげよう」

「ディゼ……」


 ディゼは、キャラにない事を言いながら、ロガフィさんの頬を啄むように、自らの唇で何度もちゅーをします。ロガフィさんは、そんな頬へのちゅーを、無表情で抵抗せずに受け入れている。

 片やレンさんにまとわりつかれながら、片やディゼに抱き着かれた上に、頬にちゅーの嵐を受けるロガフィさんが、そこにいます。


「な、なんですか、コレ。レンさんと、ディゼさん、一体どうしてしまったんですか?」


 そこへやってきたユウリちゃんが、そんな光景を見て、驚きながらも、口元に指を当て、羨まし気にしています。


「わ、分からないんだ。突然、二人がおかしくなっちゃって、何がどうなってるのか、さっぱりで……」

「……匂い」


 ロガフィさんが、そう呟きました。


「匂い?」


 言われて、ボクは鼻をならして周囲の匂いを嗅いでみると、何やら甘ったるい匂いがする事に気が付きました。どこかで嗅いだことのあるような、とてもいい匂いです。

 どこで、嗅いだんだったかな……頭を捻って考えるけど、思い出せそうで、思い出せません。


「わっ」


 そこへ、ボクの背中に抱き着いてくる、小さな影がありました。それは、金髪の魔法少女エルフの姿な、イリスでした。


「い、イリス?」

「……えへへー。ネモ、だいしゅきぃ」

「!?」


 振り返ると、抱き着いてふにゃふにゃに蕩けた笑顔で、ボクを上目遣いに見つめたイリスが、そう言ってきました。

 いつもはキツイ目つきの幼女が、こんなに蕩けた笑顔を見せてくるなんて……。その顔は、赤く染まっていて、レンさんやディゼと、同じ状態に陥っている事が分かります。だけど、イリスのこの様変わりは、とても破壊力があり、ボクの心を一瞬にして打ち抜いてきました。


「い、イリスが、笑顔でお姉さまに抱き着いて……!た、たまりません!何ですかこの可愛らしい天使は!」

「う、うん……!」

「えへへ」


 ユウリちゃんの意見に、ボクは完全に同意です。この可愛いイリスは、今までのイリスではありません。まさに、女神。いや、天使です。

 ボクは、思わずイリスを抱きしめ返し、興奮します。こんなイリスに抱き着かれたら、興奮しない訳がありません。ユウリちゃんも、ボクの腕に抱き着いて、身を乗り出すように、そんなイリスを間近に見つめます。その鼻息は、とても荒いです。


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