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悪魔の笑み


 大きく揺れた馬車の床に、ボク達は皆で倒れこんでいます。さすがにぎゅーちゃんも、あまりに大きく揺られたものだから、平衡感覚がなくなっちゃったみたい。そのせいで、まずはディゼが降って来て、その後ぎゅーちゃんに頼っていたボク達は、全員床に倒れこみました。


「うぅ……」


 ボクの上に覆いかぶさり、呻いているのはディゼです。ボクの胸に顔を埋め、耳がボクの顔にのっていて、ちょっとくすぐったい。でも、ふかふかで温かく、心地良い。


「い、痛いです……」

「レン。パンツ、丸見え」

「ひゃあ!?」


 そう感想を述べるロガフィさんの声に、ボクはすぐにそちらを向きました。すると、ボクと足を絡ませ、床に仰向けに倒れているロガフィさんの上に、レンさんが馬乗りになっていました。馬乗りになり、後ろに倒れたレンさんは、まるでロガフィさんに見せつけるかのように、惜しげもなくスカートの中身を公開しています。


「わぁ……」


 そのレンさんとロガフィさんの体勢の事もあり、その光景は、とても凄い物でした。ほとんど面積のない、透けたその下着はとてもえっちで、それを見せつけるような体勢のレンさんは、本当に痴女のようです。

 普段は、清楚で、おしとやかで、お嬢様なレンさんが、あられもない格好でロガフィさんに下着を見せつけると言う光景に、興奮せざるを得ません。


「ど、どいてください、イリスさん!あと、ディゼさんも!」


 ロガフィさんの上に、パンツ丸出しで仰向けになっているレンさんの上には、ディゼの下半身が乗っています。更にその上には、イリスがうつ伏せで倒れていて、レンさんは身動きができません。そんなえっちな光景を、自分一人でどうにかする事のできない状況に陥っています。

 ちなみに、ボクとロガフィさんは、レンさんとディゼが下着を隠してくれているので、見る事はできません。こんな状況下で、レンさんだけが下着を晒し、恥ずかしい目に合っています。


「……」

「ゆ、ユウリさん!?す、すみませんが、助けてくださ……!?」


 そんなボク達の中で、唯一ユウリちゃんだけが、皆の上に落ちず、既に立ち上がっていました。でも、その様子がちょっと変です。レンさんを見下ろしたユウリちゃんは、口角を吊り上げて、一見可愛らしい天使のようで、悪魔の笑みを浮かべています。


「ちょ、ちょっと待ってください。そんな所を凝視して、一体何を考えているんですか?お、落ちついて、話し合いましょう?そうだ、イリスさん。イリスさんを、早く抱きしめてあげてください。少し怪我もしていますし、悪化していたら、たいへ──きゃああぁぁぁぁぁ!」


 レンさんの説得に、全く耳を貸さないユウリちゃんは、まるでレンさんのパンツに引っ張られるかのように、そこへ向かってダイブしました。しかも、顔からです。叫ぶレンさんに、構う様子もありません。

 ボクは、見ていられなくなり、それから目を逸らします。この光景は、あまりにも刺激的過ぎる。年齢制限が設けられるレベルかもしれないので、これ以上ボクが語る事もありません。


「ん……」


 代わりに目に入ったのは、ボクの胸の上にある、ディゼの寝顔です。こちらは、年齢制限なんて何もない、とても純粋で、可愛い女の子がいるだけです。相変わらずディゼの耳が顔に当たっていて、ちょっとくすぐったい。ボクはそんな耳に手を添えて、頬ずりしてみると、やっぱりもふもふで気持ちが良いです。

 ただ、こうしている間にも、泣き叫ぶレンさんの声が聞こえて騒がしいけど、そんな声が不思議と遠くの方で小さく聞こえ、ボクの耳には入って来ません。


「あっ……んぅ?」


 敏感だと言っていたから、ボクが触れた事により、違和感を感じてしまったのかもしれない。身体を少し震わせたディゼが、ゆっくりと目を開き、そしてボクの顔を見上げて来ました。


「ネモ、さん……?」

「おはよう、ディゼ。痛い所は、ない?」

「痛い所……大丈夫だ。それより、私は何故、ネモさんの胸の上に……はっ!す、すす、すまない!」


 少しして、状況を理解したディゼは、勢いよく起き上がりました。


「ひぅ!」


 起き上がったディゼは、顔を真っ赤にして、とても動揺している様子です。ボクの胸に顔を埋めて寝ていたのが、余程恥ずかしかったみたいだ。その反応は可愛いんだけど、でもあまりにも動揺しすぎて、起き上がる際にボクの胸を鷲掴みにし、そこを起点として上半身を起こしました。

 あまりに突然胸を触られ、しかもけっこう強めに掴まれたので、ボクは思わず上ずった声を出してしまいました。


「あ、ああぁぁぁ……ご、ごめ……!決してわざとではなく、私はただ起き上がろうとしただけで──!」

「う、うん。分かってるよ。ちょっと驚いただけで、平気だから……」


 ボクのお腹の上に馬乗りになり、顔を真っ赤にして、ボクの胸を掴んだ掌をぎゅっと握るディゼの反応は、初々しくて、もっと見ていたくなってしまいます。


「でぃ、ディゼさん……たす……けて……」

「レンさんの、声……?」


 上半身を起こしたディゼさんに助けを求めたのは、レンさんです。声のした方に振り向いたディゼは、衝撃の光景を目にすることになります。


「れ、レンさん!?ユウリさん、な、なな、なに、何をしているんだ!?」


 ディゼが、目を覆い隠すような光景が、そこにはあります。


「ちょっと、皆呑気にしてる場合じゃないよ!沈んでる!水、入って来てる!早く陸に上がらないと、全部びしょ濡れだよ!」


 アンリちゃんが指摘した通り、馬車に水が入ってきています。魔法が解けて、馬車を守っていたセレンの魔力が消えてしまったようです。それもこれも、術者であるイリスが、レンさんの上で目を回して伸びているせいです。


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