ごちそうさまでした
イリスが独り言を言っているのは、先ほど自らの身体に取り込んだ、セレンと会話しているからです。先程もあったばかりなので、それを見ていたボク達には、すぐに分かりました。でも、見ていなかったレンさんは、目を丸くしています。
「イリスは、力を貸してくれる事になった精霊と、会話している所です。頭がおかしくなった訳ではないので、安心してください」
心配するレンさんに、ユウリちゃんが簡素に説明しました。
「そ、そうでしたか。……それで、精霊さんは、なんと?」
「いえ……それが──」
精霊が言ったのは、自分が川を利用して、皆を運べるという事でした。川は、今議論にあった山に通じていて、その山の向こう側まで伸びているようです。マップでそれを確認し、ボク達は、精霊のその提案に、乗る事にしました。
イリスは力が弱すぎるので、ボクがイリスに力を貸して、その力を発揮します。そして、ボク達は濁流の中へと飛び込みました。
馬車に乗り込んだボク達は、馬車を包む光の渦に包まれ、おかしな流れ方をする川を、物凄いスピードで駆けあがっていきます。その川の流れが強力すぎて、馬車の中はめちゃくちゃです。詰まれた荷物は崩れ、中身は散乱し、当然そんな馬車の中にいるボク達も、馬車の中で散乱します。
「い、イリス!早すぎます!もう少し、スピードを緩めてください!」
「そんな事、できるならもうとっくにやっていますよ!」
力の制御ができていない様子のイリスは、ユウリちゃんに抱かれ、その身を保持して力を発揮しています。その身体は薄い青色に光っていて、どこか幻想的です。でも、本人はあまりに激しく動く馬車に、涙目です。必死にユウリちゃんに掴まり、力をコントロールするどころか、自分の身を守るのに手いっぱいのようです。
ユウリちゃんに、必死に掴まるイリス、可愛いな……。あと、そんなイリスを大切そうに抱きしめるユウリちゃんが、カッコイイです。
「きゃあ!?」
「レンさん!もっと、強く掴まってくれていい!とにかく、私から離れない事を意識してくれ!」
「は、はい!」
レンさんは、ディゼがその身を守ってあげています。ディゼに強く抱き着き、ディゼもレンさんを抱いて、離さないようにしています。
密着し、胸とか押し付けられているディゼだけど、そこにディゼが恥ずかしがる余裕はありません。それだけ、激しく揺れる馬車は、危険です。
ただ、こちらもディゼに必死に掴まるレンさんが可愛くて、そんなレンさんを守るディゼが、カッコイイです。
「ぎゅー!」
小さくなり、ボク達と一緒に馬車に乗り込んでいるぎゅーちゃんが、そこで動きました。触手を長く伸ばすと、それを利用して、馬車の中で暴れる荷物をまとめ、固定してくれました。それにより、馬車は揺れるけど、荷物に襲われる心配はなくなります。
「ありがとう、ぎゅーちゃん」
「ぎゅ!」
ボクがお礼を言うと、ぎゅーちゃんは触手で力こぶを作り、返事をしてくれました。
「……ネモ」
そしてボクは、ロガフィさんに抱きしめられ、守られています。ボクは別に、守ってもらう必要はないんだけど、ロガフィさんがそうしたいみたい。いつもなら、イリスに抱き着いているロガフィさんだけど、今はユウリちゃんに取られちゃってるからね。
ボクも、そんなロガフィさんを受け入れて、抱きしめ返して守ります。
その時、一際激しく馬車が揺れ、ふと見た先で、レンさんのスカートの中が覗けてしまいました。それは、清楚な白の、レースのパンツで、全体的に透けて、お尻の部分は布地の全くない物でした。大切な部分は、申し訳程度に隠されているけど、それでも小さすぎて、意味があるようには思えません。
ボクがそれに見とれていると、レンさんも、こちらを見ている事に気が付きました。どうやら、揺れた衝撃でボクのスカートもめくれてしまったみたいです。お互いにスカートの中身を覗いてしまい、目が合うと、レンさんの顔が赤く染まりました。ボクも、自分の下着を見られた事が恥ずかしくて、顔が赤くなるのを感じます。
「お姉さま!レンさん!ロガフィさん!ディゼさん!下着、凄く似合ってます!ごちそうさまでした!」
そんな中で、ユウリちゃんがそう叫びました。どさくさに紛れて、全員のスカートの中身を覗くことに成功したみたいです。でもディゼは、丈が長めのスカートなのに、どうやって覗いたんだろう。気になってよく見てみると、ディゼのスカートは普段は見えないところにスリットが入っていて、激しく動くと腿全体が露になり、下着の紐が見え隠れしています。凄く、セクシーです。
こうしてボク達は、激しい動きをすると下着が見えてしまう形になるけど、ユウリちゃんばっかりズボンで、狡いよ。ボクだって、ユウリちゃんの下着を覗きたかったのに。
「あ。ちなみに私は、何も履いてませんし、つけていません」
「ぶっ!」
いきなりのユウリちゃんの暴露に、ボクは噴き出しました。
「ネモ。汚い」
その際に、唾がロガフィさんの顔についてしまい、ロガフィさんがそう訴えて来ました。
「ご、ごめんね」
謝りつつも、ユウリちゃんを凝視してしまいます。今つけている、ズボンとシャツの下に、何もつけていない?つまり、今のユウリちゃんは非常に無防備で、服の上から触っただけで、その中身を感じる事ができる訳で、それは凄い事です。
「や、ヤバイよネモさん!外みて、外!」
アンリちゃんが天井から顔を覗かせ、指をさしたのは、馬車の前の部分につけられた、小窓です。その先には、崖がそびえたっています。川は、その崖の上から落ちて来ていて、つまりそれは、滝となっている。
ボク達は、その滝に向かい、勢いよく突っ込んでいこうとしています。




