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絵本


 起床して、着替えを済ませたボク達が部屋を出ると、廊下にはディゼルトと、ロガフィさんと、イリスが待っていました。待っていたと言っても、イリスは当然のように眠りについていて、ロガフィさんにおんぶされています。ただ、着替えは済まされていて、魔法少女風の可愛いふりふりがたくさんついた服に、なっています。

 そんなイリスはいつも通りとして、ディゼルトは顔を覆って、廊下に座り込んでいます。ディゼルトが、昨夜部屋を共にしたのは、ユウリちゃんだ。そのユウリちゃんに何かされたのだと、よく分かります。


「ゆ、ユウリちゃーん?」


 一緒に寝室を出たユウリちゃんに、ボクは疑いの眼差しを向けました。手を出さないと約束をしたのに、ディゼルトに対してしてはいけない事をしてしまったのではないかと、思ったんです。


「な、何もしてないですよ!?ただ、一緒に眠りはしましたけど、本当に手は出していません!」


 慌てて弁明するユウリちゃんが、嘘を言っているようには見えない。ちょっと危なくて変態なユウリちゃんだけど、ボクに対して、こういう嘘だけはつかないからね。

 じゃあ、ディゼルトのこの様子は、一体なんなのさ。


「ま、待ってくれ、ネモさん。ユウリさんは、本当に何もしていない。ちょっと無理矢理一緒に眠って抱きついてきたりしたが、合意の上だ。それが、貴女達のルールなんだろう?」


 ユウリちゃんを庇ったのは、手を離して真っ赤に染まった顔をした、ディゼルトでした。


「ルール……」


 それが、ルールなのかどうかは、ハッキリとしません。だけど、ボク達は一緒に眠ると言ったら、基本的に抱き合って眠るようになっていて、それが自然な事になっています。だから、明確にそれを否定する事はできず、かと言って肯定するのも違う気がして、返答に困ります。


「その通りです!」

「うんうん」


 代わりに、レンさんがそう答えました。それに、ユウリちゃんも頷いています。一緒に眠ると言ったら、抱き合って眠るのが、ボク達のルールらしいです。


「……じゃあどうして、ディゼルトはそんなに恥ずかしがっているの?ユウリちゃんに、変な事をされたから、恥ずかしがっていたんじゃないの?」

「ち、違う。変な事は、されていない……。ただ、色々話をして、ユウリさんのネモさんに対する想いや、それから……女の子同士の恋愛について、聞かされた。とても興味深い話ばかりで、その語りは私の想像できないような事ばかりだった。ユウリさんのお話は、私に新たな境地を開かせてくれて、パワーアップしたような感覚すらある。ただ、少し、というか、かなり……わ、私には刺激が強すぎたようだっ……!」


 元々、女の子が好きだと公言していたディゼルトだけど、恥ずかしがり屋なのが災いして、女の子に対して積極的にはできない。ボク達に対しても例外はなく、いつもボク達との距離を保とうとするので、レンさんや、ユウリちゃんが積極的に、その距離を縮めて来ました。

 知識にも乏しいので、ちょっとえっちな話を聞いただけでも、顔を真っ赤にして照れてしまいます。本当に、純粋で汚れのない、キレイな心の持ち主なんです。


「ユウリさん、まさかディゼルトさんに、えっちな話を……!」

「ん?んふふ。親が子供に、絵本を読んであげるような感覚で、お話をしただけですよ。ね。ディゼさん」

「そ、そうだな……興味深い、話だった……!」


 興味深いと言って、再び顔を真っ赤にして顔を手で覆い、ごまかすディゼルトだけど、コレ絶対に、えっちな話を聞かされてるよ。凄く、分かりやすいです。

 それから今、ユウリちゃんがディゼルトの事を、さりげなくディゼと呼んだけど、それに関しての説明もしてほしいです。


「あまり、強い刺激を与えないであげてください。ディゼルトさんは、ピュアな心の持ち主なんですから、えっちな話を聞かせるのは、教育上よくありません」

「分かってはいますが、こういう事は、正しく知っておく事が、大切なんです。でないと、いつまでもディゼさんは前に進むことができず、立ち止まったままになってしまいます。私の教育方針は、どんな事でも、正しく知識をつける。です」

「度合いの問題です。ディゼルトさんの心が、汚れない程度にとどめてください」

「当然、とどめています。女の子のどこが魅力的なのか、とか。さりげなくお尻を触る方法や、胸を触る方法。それから、どこを触られたら気持ちよくなるかとか──」

「全くとどめられていません!」


 まるで、子供の教育方針でもめる、両親のような言い合いを、レンさんとユウリちゃんが始めました。

 けど、これは全面的に、ユウリちゃんが悪いです。度合いが、全く分かっていない。ユウリちゃんにとっては、本当に入門的な知識だとしても、それはディゼルトにとって、超上級者向きな講義に、他なりません。


「いや、私はこの中では、恐らく一番年上だと思うのだが……」


 確かに、イリスとアンリちゃんを除けば、そうかもしれない。ロガフィさんは……分からないや。

 だけど、年上だから可愛いと言うか、守りたくなると言うか、そのままでいてほしいと言うか……たぶん年上のロガフィさんもだけど、年上のお姉さんが無知だと、そんな使命感に駆られるんだよね。


「そ、それより、今ユウリちゃん、ディゼルトの事を、ディゼって呼んだよね」


 ボクは、教育方針で揉める2人の話を変えようと、そう尋ねました。


「はい。昨日お話をして、流れでそうお呼びする事になったんです。ディゼさん。どうですか?」

「い、いいな。ボクも、そう呼んでもいい?」

「私も!ディゼルトさんの事を、そうお呼びしたいです!」

「……私も」

「ぐぅ……」


 ボクに続いて、レンさんと、ロガフィさんも、そう呼びたいと、ディゼルトに迫りました。イリスは、気持ちよさそうに、ロガフィさんの背中で眠っています。


「も、勿論だ。そう呼んでくれると……私も嬉しい」


 恥ずかし気に、でも嬉しそうにそう言うディゼルト……改め、ディゼは、やっぱり可愛くて、年上だけど守ってあげたくなる。純粋で、キレイな心の持ち主です。


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