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緊張してきました

誤字報告ありがとうございます!


 ご飯を無事に終えたボク達は、それぞれの部屋へとやってきます。提供してもらったお部屋は3つで、1つの部屋に、2人ずつが泊まる事になり、誰と泊まるかはくじで決める事になりました。

 その結果、ロガフィさんはイリスと。ディゼルトは、ユウリちゃんと。ボクは、レンさんと一緒の部屋になりました。

 余談だけど、ぎゅーちゃんは、メリファさんが引き取ると言って、連れて行きました。ぎゅーちゃんがお家として使っている、古めかしい置物も持っていって、それを手にして相変わらず変な事も言っていたけど、一晩お世話になるんだ。ぎゅーちゃんにはちょっとくらい我慢してもらう事にして、預ける事にしました。


「……んが」


 食器洗いは皆で手伝い、それが終わってそれぞれのお部屋に戻ろうかという所で、イリスは力尽きました。少し目を離した隙に、立った状態で壁に寄りかかり、首を揺らして意識が飛んでいく寸前です。

 そんなイリスを見かね、今日のルームメイトであるロガフィさんが抱きしめて、抱っこしました。


「にゃにをー……ぐぅ」


 最初、少し抵抗しかけたイリスだけど、すぐに安心したように眠ってしまい、ロガフィさんに身を預けました。


「……」


 腕の中で眠り始めたイリスに、甘えられるように抱きしめられて、ロガフィさんは心なしか、嬉しそうに笑っているように見えます。

 それは、普段はプライドの高いイリスが、絶対に見せてくれない甘えです。寝ぼけている今だけは、甘えてくるし、なんでもし放題で、隙だらけの幼女になります。

 この時ばかりは、本当に可愛いよね。抱いて、抱き着かれて喜んでいるロガフィさんとの相乗効果もあって、可愛さが倍増しているよ。


「くかぁー……」


 一方で、もう1人の幼女も眠りについてしまっています。

 エーファちゃんも、気づいたらイスに座って眠っていて、背もたれに寄りかかり、天井を仰いで大口を開いていました。


「お、お嬢様。そんな、隙だらけのお口を、私に捧げるようにして、はしたない!え?今日は私と一緒に寝たい?仕方ないですねぇ。特別に、裸で一緒に眠って差し上げます!」


 そちらは、ちょっと心配だけど、ロステムさんがおぶって連れて行きました。向かうのは、2階のエーファちゃんのお部屋です。

 なんか、ロステムさん、凄くイキイキしているなぁ。最初に出会った時の、堅そうなイメージはなくなって、今ではすっかり淫魔化した発言のオンパレードです。


「まぁ。今夜私の娘が、大人になってしまうかもしれませんね。後で様子を見に行って、隙あらば私も混ぜてもらおうかしら。淫魔の責めというのも、興味がありますし」


 でも、こっちに、それ以上に淫魔的な発言をする人がいました。メリファさんです。


「ロステム!絶対に手ぇ出すんじゃねぇぞ!行くぞ、メリファ!」


 去っていったロステムさんに、おじさんが慌ててそう声を掛けました。そして、メリファさんの手を強引に引っ張って、連れて行きます。


「あーれー」


 おじさん、苦労してそうだなぁ。メリファさんだけでも大変そうなのに、これからはロステムさんもこんな感じになってしまって、更に苦労しそうです。


「……」

「だ、大丈夫?ディゼルト」


 メリファさんとおじさんを見送って、ボクはディゼルトに声を掛けました。

 ユウリちゃんと手を繋いでいるディゼルトは、固まっています。お風呂でとんでもない辱めを受け、あんなに恥ずかしがる原因になったユウリちゃんと、ディゼルトは今日、一緒の部屋で眠らなければいけないんです。

 そんなディゼルトに、ボクは代わろうかと声をかけたけど、レンさんがとても悲しそうな顔をしたのを見て、その申し出を断りました。主想いの、良い子です。


「ゆ、ユウリちゃん。ディゼルトに、酷い事しちゃ、ダメだからね……?」

「分かっていますよ?むしろ、私が女の子に酷い事なんてする訳ないじゃないですか。この世の女の子は皆、私が可愛がるためにいるんです。だから、酷い事なんてしません。ちょっと気持ちよくなってもらうだけです」

「ぜ、ぜぜ、絶対にダメだからね!へ、変な事したら、ユウリちゃんの事を嫌いになるから……だから、ディゼルトに手を出すのは、絶対にダメ!」

「ふふ。冗談ですよ。私は、お姉さまを愛しているので、お姉さま以外の方に、手を出す事はありません。いつも通り、一緒に寝たり、身体をくっつけたり、身体を触ったりして、耳元で愛を囁くだけです」


 ユウリちゃんは、笑顔でボクの頭を撫でながら、そう言いました。冗談だと聞いて、ボクは安心します。それなら、いつも通りだからね。問題ないです。


「う、うん。それなら、安心だよ」

「ん?いや、ちょっと待ってくれ。今、何と言った?」


 そこで、固まっていたディゼルトが、我に返りました。慌てて今のユウリちゃんの発言を聞き返してくるけど、ユウリちゃんは、ボクを愛していると言って、ディゼルトに変な事をしないと約束してくれただけだ。


「だ、大丈夫だよ、ディゼルト。何でもないから、今日はゆっくり眠ってね」

「そうですよ、ディゼルトさん。安心して、何も考えず、ゆっくりと眠ってください」

「な、何かよく分からないが、ち、近いから、少し離れてくれ……!」

「嫌です。さ、ディゼルトさん。ベッドへ行きましょうねー」

「わ、分かった……!だから、引っ張らないでくれ。あと、む、胸を押し付けるのは……!」


 ディゼルトとユウリちゃんは、そうして自分たちの部屋へと向かっていきました。去っていく際に、ユウリちゃんがボクに向かい、軽く手を振ってくれて、ボクもそれに手を振って返しました。ロガフィさんも、イリスを抱いたまま、そんな2人について、自分たちの部屋へと向かいます。


「ディゼルトさん……私、貴女の作ってくれた時間を、大切にします……!」


 レンさんは、ユウリちゃんに半ば強引に連れていかれるディゼルトを、何故か目に涙を浮かべて見送りました。それじゃあまるで、これからディゼルトが、酷い目に合わされるみたいだよ。


「ぼ、ボク達も、いこっか」

「は、はい!」


 ボクが誘うと、レンさんはボクの腕に抱き着いてきました。

 レンさんも、間違いなく美人さんで、ショートカットの金髪からは良い匂いがするし、間近で見たお肌は白くてキレイです。スタイルもよくて、胸もデカく、そんなレンさんと、ボクはこれから同じ部屋で寝ます。思えば、女の子と2人きりで眠る機会なんて、この世界に来てから数えるほどしかない気がする。

 そう考えると、ちょっとだけ緊張してきました。


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