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 エーファちゃんの案内で、エーファちゃんのお家のキッチンへとやってきました。最初に、ボク達が通されて、ロステムさんがお茶を淹れてくれた部屋だね。石畳になっている場所で、机は大きく、全員席に座って尚、スペースが余ります。

 そこでボク達は、ある人と再会する事になりました。


「おめぇら、この間うちの店に来た連中だな。忘れやしねぇぞ。特に、その生意気なガキはな」


 白髪交じりで、シワだらけの顔に、鋭い眼光の、おじさん。それは、昨日ボク達がご飯を食べたお店の、店主でした。

 部屋に訪れたボク達の中でも、おじさんはイリスを鋭く睨みつけ、イリスはボクの背中に隠れました。ボクを盾にされると、ボクが睨まれるから嫌なんだよね……。


「あなたのお店でご飯を食べるなんて、珍しい方々ですね」

「ほっとけっ!」


 さりげなく言ったメリファさんに、おじさんが吠えます。

 あなた、という事は、メリファさんの夫が、このおじさんという事になる。同時に、エクスさんと、エーファちゃんのお父さんという事にもなります。

 ……なるほど。メリファさんの年齢は不明だけど、とても若い。一方でおじさんは、そんなメリファさんよりも、結構な年上だ。少なくとも、エクスさんとメリウスさんくらいの年の差を感じさせる。そんな年の差夫婦で思い出した2人と同じく、その親も年の差夫婦なんだね。そう考えると、何故か納得できしてしまう所があります。


「お前ら、親父の店で飯を食ったのか……。こいつ、気難しくて騒ぎも許さねぇし、この村じゃけっこうな権力者っていうのもあって、村の人間は店に近寄らねぇんだよ」

「そうなんだ……」


 そう言われると、バカ騒ぎのレストランと比べて、おじさんのお店に誰もいなくて寂れていた理由が、よく分かります。まさか、村の権利者のお店でバカ騒ぎをする訳にもいかないし、しかもあの距離感じゃ、食べ辛いよ。


「政界を引退して、趣味でレストランなんて始めたのはいいけど、食材が満足に入荷できねぇ。村で入荷した肉はほとんど、大きなレストランと割高な市場に取られちまうし、野菜だってろくなのが入らねぇんだ。だから家の庭で畑を作って収穫して、野菜がメインのレストランになってるけど、肉がなきゃ流行るわけねぇよな!」


 エーファちゃんは、嬉しそうに、おじさんのお店の悪口を言いました。よく、本人の前で言えるなぁと、感心してしまいます。


「エーファも、余計な事を言うんじゃねぇ」

「……」


 エーファちゃんは、おじさんに言われて肩をすくめ、食卓の席につきました。机の上には、既にご飯が並べられていて、野菜や、イリスが大好きなお肉があって、豪華な食事風景となっています。


「お肉!」


 それに気づいたイリスは、ボクの背後から隠れるのをやめて、エーファちゃんの隣の席に座りました。

 お肉は、昨日ボクが提供した物の、余りかもしれない。いっぱい渡したので、これくらいの量があっても不思議ではないし、匂いや肉の見た目も、同じように見えます。


「まぁ、良い。座んな。オレが腕をふるった料理だ。オレの子供たちが世話になってたみたいだし……腹いっぱい食ってくれ」


 おじさんに促されて、一応は席に座るボク達だけど、ボクの隣に座ったユウリちゃんが、凄く嫌そうな顔をしています。


「おとこが──もがっ」


 そして、何か言いかけたユウリちゃんの口を、ボクとレンさんが慌てて塞ぎました。

 どうせまた、男が作った料理は食べないとか、そんな事を言おうとしたんだと思う。それを察知した、ボクとレンさんの連係プレイによって、ユウリちゃんは何も言えなくなりました。


「私もお手伝いして作ったので、お腹一杯食べてくださいね」


 ロステムさんがそう言いながら、皆に飲み物を配ってくれます。

 その姿は、若いロステムさんの姿で、尻尾の生えた、胸の大きなサキュバスの姿です。着ているメイド服は、サイズが合う物に変更されている。ただし、おばさんだった姿の時とは、デザインが変更されています。スカートが異様に短く、胸元は大きくはだけて、谷間を惜しげもなく見せつけている。一言で言うと、エロいです。

 ただコップを机に置くと言う仕草でさえ、後ろから覗けば下着が覗けそうだし、前かがみになった胸元は、その柔らかい谷間を強調してくる。

 そんなエロメイドなロステムさんが、皆の隣にまでやってきて、コップを1つずつ置いていき、全員の顔の横に、大きな胸がやってくるというサービスをふるまっています。


「っ……!」


 ディゼルトは、もうロステムさんに釘付けです。顔を真っ赤にして、その谷間や、仕草の一つ一つに、見とれています。一応、必死に見ないようにしているけど、欲望に負けて、どうしても目が向いてしまうようだ。

 真横にその胸が来た時なんて、必死になって胸から目を逸らそうとして、でも横目で見たり、直視してしまったりと、挙動不審な動きを見せます。


「ロステムさん。その姿と言う事は、この人にもお話は通したんですね」

「は、はい。ご主人様にもお話して、認めてもらう事ができました」


 ユウリちゃんの目の前にコップを置いた時、ユウリちゃんにそう言われ、そう答えたロステムさんの身体が、一瞬ビクッっと震えて、机にコップを置く手も、それに準じて揺れました。零れる事はなかったけど、でも、ちょっと危なかったね。どうしたんだろう。


「そうですか。良かったですね!」

「あ、ありがとうございます。でも、お、お尻を触るのはやめてもらえませんか?食器を落とすと、危ないので……」


 ユウリちゃんは、ロステムさんと会話をしながら、さりげなくロステムさんのお尻を触っていました。その、短いスカートの上からではなく、中に手を入れて、下着の上から揉みしだいでいるようです。

 ボクは問題のユウリちゃんの腕を掴み取り、やめさせました。おかしな事をしないように、ボクはその手を掴んでおく事にします。


「えへへ」


 すると、ユウリちゃんが嬉しそうに笑ってくれるので、ボクも釣られて笑って返してしまいました。


「オレも、元々知ってはいた。ロステムが、本当の姿を隠している事をな。だが、エーファの命を繋いでいてくれたなんて、知りもしなかった。ロステムには、感謝しても、したりねぇよ……」

「いいから、飯にしようぜ!腹減った」

「もう、食べてもいいですか!?」

「まだ、ダメですよイリスさん。メリファさんも、ロステムさんも座っていないんですから、もう少しだけ、我慢してください」

「構いませんよ。お腹が減っているのなら、先に食べてしまってください。私たちも、すぐに席に座りますので」

「……美味しい」

「ロガフィさんが、もう食べてます!」

「私も、いただきます!」

「オレもだ!」

「……」


 おじさんの話なんて、誰も聞いていませんでした。そもそも、聞いてもいない話を勝手に始めたので、聞いてもらえなくても、仕方ないのかもしれない。だけど、ちょっと怒っているようで、眉毛をピクピクと動かして、怒りを我慢しているようです。

 ボクも、そんなおじさんの怒り放っておいて、ご飯を食べ始めます。お腹が減っていたので、もう我慢できません。


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