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説教


 ボクが目を覚ますと、イリスの顔が、目の前にありました。


「気づいたようですね」

「う、うん」


 どうやらボクは、イリスに膝枕をされていたみたいだ。ベッドの端の方に寝かされたボクは、淵に座って足を下ろした、イリスの膝の上に乗っている。後頭部にあたる、イリスの腿は、柔らかくて気持ちが良いです。イリスは、いつものワンピース姿に着替えているので、その太ももの感触を、強く感じる事ができます。

 ボク達が寝間着で使用しているワンピースは、生地が薄いからね。湯上りという事もあってか、余計にその体温を感じる事ができて、少し恥ずかしくなってきた。


「ゆ、ユウリちゃんは?」

「貴女より先に目覚めて、向こうでレンに怒られています」


 そう言ってイリスが目を向けた方から、壁を挟んで声が聞こえて来ます。


「ユウリさんは、もう少し自制と言う物を持ってください!せっかくの、ネモ様とのお風呂が台無しじゃないですか!」

「はい。本当に、申し訳なく思っています。でも、皆さんの身体が、あまりにも魅力的過ぎて……。女の子とのお風呂は、私にとって、目の前に吊るされたニンジンのような物ですから。それを目の前にして、我慢なんてできる訳ないんですよ。加えて、ネモお姉さまの裸があまりにも魅力的過ぎて、あれを目の前にしたら、もうっ……無理ですっ!」

「それは、私も分かります。私だって、ネモ様に抱き着いて、無理矢理にでもそのお胸を揉みしだき、隙あらば吸い付きたいと思っていたのを、我慢してたんですから。我慢して、普通にお風呂に入ろうと言ったのは、ユウリさんではないですか!しかも、私やディゼルトさんに、ロステムさんの胸まで、あんなに乱暴に揉みしだいて……コレは、ネモ様の物なんですからね!」

「あ。なんでしたら、責任をとって、最後までいたできましょうか?」

「反省してください!」


 そんな、レンさんとユウリちゃんの会話が聞こえてきて、ユウリちゃんが反省してないという事が伺えます。

 こうなる事が分かっていたから、ボクもイリスも、反対してたんだ。でも、コレでレンさんも、分かったと思う。ユウリちゃんと一緒にお風呂に入る事が、どれだけ危険な事なのか。


「平気……?」


 イリスに膝枕をされるボクを、ロガフィさんがうちわであおいでいてくれました。窓も全開になっていて、入り込む風と、ロガフィさんがおこしてくれている風が、とても心地いい。

 そのおかげか、だいぶ熱も大分引いて、少し火照ってはいるけど、ほとんど普段通りだ。


「う、うん。平気だよ。ありがとう、ロガフィさん」


 ボクはそう言って起き上がり、ロガフィさんに笑顔を向けました。

 ロガフィさんもワンピース姿で、ボクの服も、白のワンピースに着替えさせられていて、誰かが着せてくれたみたいです。


「でぃ、ディゼルト……」


 起き上がって気づいたけど、ディゼルトが部屋の隅っこで、顔を両手で覆って床に座り込んでいました。


「ずっと、あんな調子なんですよ。ユウリに胸を揉まれたのが、恥ずかしくてたまらないみたいです」

「そうなんだ……だ、大丈夫?」

「何を言っている。私は、普段通り。全く平気だぞ」

「そ、そう……」


 でも、ディゼルトは顔から手を、離しません。ずっと隠したままで、僅かに覗いている顔は、真っ赤です。なんだったら、頭についてる赤毛の耳も、赤く染まっているように見えます。

 よほど、恥ずかしかったのだろう。普段から、女の子との距離が近づくだけで恥ずかしがるディゼルトが、お風呂で可愛い女の子に、その胸をあんなに強く揉まれてしまったんだ。しかも、直だからね。服の上から触られるのとは、また違う。


「ゆ、ユウリちゃんには、ボクからも言っておくから……だから、元気を出して。ディゼルトが顔を隠したままだと、ディゼルトのカッコよくて、可愛い顔が見れなくて、嫌だな」

「……」


 ディゼルトに近寄って、ディゼルトに語り掛けるように言うと、ディゼルトは顔から手を、離してくれました。そして、やっぱり真っ赤に染まったままの顔で、上目遣いにボクを見て来ます。その瞳はうるうるとしていて、まるで捨てられて、段ボールから道行く人を伺う、犬のようです。


「立てる?」

「あ、ああ」


 ボクが差し出した手を、ディゼルトが掴み、そして立ち上がります。いつまでも、部屋の隅の床に座ってるのも、よくないからね。それに、何よりボクは、お腹がすきました。早く、ご飯にしたいです。


「邪魔するぜぇ!」

「ひゃ!?」


 そこへ、部屋の扉を勢いよく開いたエーファちゃんに驚き、ボクは驚いて声を上げてしまいました。そんなボクを、ディゼルトが庇って警戒してくれるけど、エーファちゃんだから、大丈夫だよ。

 でも、やっぱりディゼルトは頼りになって、カッコイイな。


「おう。ネモも、起きたみたいだな。親父が、飯にすっから全員連れてこい、だってよ!」


 エーファちゃんは元気よくそう言い残し、隣の部屋へ行きました。また、同じように勢いよく扉を開く音が聞こえて、ユウリちゃん達にも声を掛けています。

 それから、すぐに部屋を出て来たユウリちゃんが、ボク達のいる部屋の前で止まり、様子を伺ってきました。


「お、お姉さま。ご迷惑をおかけして、すみません。反省しているので、どうか許してください」

「いいよ!」


 覗いてくるユウリちゃんが可愛いので、ボクは即答しました。


「やったぁ!」


 返事を聞いて、ユウリちゃんが部屋に入ってきます。そして、ボクと手を取り合って、喜び合いました。

 ディゼルトはまだちょっと踏ん切りがつかないようで、ユウリちゃんを前にして警戒し、ボク達から離れてしまったけど、謝ってくれたし、もう大丈夫だよ。

 何よりも、ユウリちゃんは可愛いので、問題ありません。


「ネモ様、甘すぎです。でも、そんなネモ様が好きです。愛しています」


 ユウリちゃんに続いて部屋を訪れたレンさんに、また告白をされてしまいました。


「さ、早くご飯にしましょう。私、お腹減りました」

「……私も、減った」


 そんなボク達を無視して、イリスとロガフィさんが、部屋を出ていきます。ディゼルトも、逃げるようにそれに続いて、出ていきました。残されたボク達も、イリス達に続いて、慌てて部屋を出ます。

 ボクも、お腹が減ってるからね。ご飯が、楽しみです。


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