頭を洗っているだけ
突然ですが、エーファちゃんのお家のお風呂は、とても広いです。広くて、順番を待つ必要がありません。全員、一緒にお風呂に入れてしまいます。
メリファさんからもたされたその情報に、当然のように食いついたのは、ユウリちゃんです。全員で一緒にお風呂に入ろうと意気込み、レンさんもそれに追従。そして何故か、ロガフィさんと、エーファちゃんに、ロステムさんとメリファさんまでもが賛成し、圧倒的多数で、皆でお風呂に入る事になりました。
エーファちゃんのお家に帰って来て、すぐにそんな騒動に巻き込まれたボクは、否応なしに連行されて、服を脱がされました。主に、息を荒くする2人に服を奪われたボクは、もうお風呂から逃げ出す事はできません。同じく服を奪われた、ディゼルトとイリスと共に、おとなしく一緒にお風呂に入る事になりました。
そして現在、ボクは裸の女の子に囲まれた状態で、背もたれのない小さなイスに座り、自分の身体を洗っています。
お風呂は、確かに広かったです。湯船は、全員で仲良く浸かれるくらい大きいし、ちょっとした銭湯くらいの大きさがあります。
「ディゼルトさん、背中を洗ってあげますね」
「い、いや、良い……!む、むしろ、それをすべきは、従者である私の方だ!」
「遠慮しないでくださいー。えいっ」
「ひゃっ!?」
右隣から、楽し気なレンさんと、ディゼルトの声が聞こえて来ます。誘惑に負けて、横目で覗いてみると、ディゼルトの背中を、レンさんが垢すりで軽く拭いてあげていて、泡立っていました。身体の至る所に傷跡のある、ディゼルトの身体をいたわるように、レンさんは丁寧に拭いてあげています。
「れ、レンさん……!」
「どうですかー?気持ちいですかー?」
「……はい」
耳まで真っ赤にしたディゼルトは、もうレンさんのなすがままです。目を瞑り、レンさんの奉仕に、必死に耐えています。
そんなレンさんも、勿論素っ裸な訳で、その大きな胸を揺らしながら、一生懸命にディゼルトの身体を洗ってあげる姿に、ボクも恥ずかしくなってきました。細いのに、どうしてそんあに胸があるんだろう。不思議です。
また、恥ずかしがるディゼルトも、可愛くて魅力的です。胸はボクと同じで、あまり大きくはないけど、だけど膨らんだその胸は、確かに女の子を主張していて、思わず視線を持っていかれてしまいます。
それから、その下も──いやいやいや。ボクは、頭を振り、濡れた髪の毛から水しぶきを飛ばし、自分の身体を洗う事に、集中します。
「痒いところは、ございませんか?」
「へ、平気ですぅ」
今度は、左側から声がしました。
そこには、イリスの頭を洗ってあげている、ロステムさんがいます。イリスは、心地よさそうに目を細めながら、色っぽい声で答えています。余程、ロステムさんのシャンプーが気持ち良いんだね。イスに座り、足に両手を挟んで震えるその姿は、ちょっと危なく見えるけど、あくまでシャンプーでそうなっているだけです。
「こことか……ここも、どうですか?」
「んあっ。しょ、しょこぉ。しゅごく、イイですぅ。き、気持ちいいいですよぉ……」
ロステムさんの攻めに、イリスは更に色っぽい声を出して、答えます。到底、幼女が出していい声とは思えないような、色っぽい声です。
でも、もう一度言います。ただ、頭を洗っているだけです。
イリスにそんな声を出させている、ロステムさんの身体は、レンさんを凌ぐ色っぽさで、レンさんとは別の魅力を見せつけてきます。胸や、お尻など、身体のパーツの節々が、凄くデカイ。特に、胸が凄いです。ボクの見立てによると、ラメダさん級の大きさと柔らかさを秘めています。なのに、お腹は引き締まっていて、ウェストはしっかり細くなっている。それでいて、程よく肉付きもあるとか、訳が分かりません。お尻には黒い尻尾が生えていて、先端はハート型になっていて、それがいかにもサキュバスらしいです。
さすがはサキュバスで、その身体は色気たっぷりすぎて、見ていられません。これ以上見ていたら、鼻血が出る自信があります。
慌てて目を逸らそうとしたけど、ボクは、その奥の別の物に、思わず目を奪われてしまいました。
「ロガフィさん、背中キレイですね。舐めて、いいですか?」
「……ダメ」
頭にタオルを巻き、角を隠しているロガフィさんの背中を洗いながら、ユウリちゃんが、ロガフィさんに言いました。だけど、ロガフィさんはキッパリと断り、ユウリちゃんはいじけて唇を尖らせながらも、優しくロガフィさんの背中を洗ってあげています。
そんなユウリちゃんも、勿論裸で、肌色成分が多めな姿で、そこにいます。おしげもなく晒されたユウリちゃんの肌はすべすべで、本当にキレイです。更には、控えめながらもボクよりも大きく存在を主張する、柔らかな胸と、白い肌。それに、可愛く小さなお尻は、思わず触りたくなるような、そんな衝動に駆られます。
濡れたユウリちゃんの髪は、水を滴らせ、いつもより輝いて見える上に、色っぽい。元々、子供なのにどこか大人の雰囲気を漂わせるユウリちゃんは、まるで大人のお姉さんのようで、見とれてしまいます。
「じゃあ、身体で洗ってあげましょうか!」
「……普通で、イイ」
また、ロガフィさんにきっぱりと断られたユウリちゃんが、ふと、ボクの視線に気づいて、こちらを見ました。ボクもユウリちゃんを見つめていたから、視線が合う事になります。
そうなると、ユウリちゃんはニコっと笑い、笑顔を見せてくれるんだけど、自分の身体を見下ろして、困った笑顔になり、恥ずかしそうに身をよじりました。
そんな、恥じらうユウリちゃんの姿が、とても愛おしくて、可愛くて、ボクは興奮しました。生まれてから、一番興奮していると思います。心臓の鼓動が早くなり、尚も加速を続けています。これ以上見たらいけないと、分かっているのに、きめ細やかな肌を、水滴で濡らすユウリちゃんの姿から、目が離せなくなりました。まるで、魅了でもされたかのように、ユウリちゃんを見続けます。
「おい、なぁに人の裸見て、固まってんだよ」
そんなボクの視線を遮ったのは、エーファちゃんでした。ボクの目の前に、腰に手を置いて仁王立ちし、その貧相な身体を見せつけて来ます。
ボクは、そんな貧相な身体を前にして、頭からお湯を被り、泡を落としてから、エーファちゃんの身体を抱きしめました。胸に顔を押し付け、持ち上げて、立ち上がります。
「んなあああぁぁ!?」
エーファちゃんと共に、ボクは湯船に突撃しました。水しぶきがあがるくらいの勢いで突っ込んだけど、お湯はまだまだたくさんあります。肩までお湯に浸かったボクは、エーファちゃんを膝に置いて、その頭に顔を埋めました。
訳が分からない行動かもしれないけど、そうせずにはいられませんでした。こうするか、あるいは地の果てまで走り抜けるか、どちらかしか選択肢がなく、やむを得ずエーファちゃんを選んだんです。




