表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
286/492

何かいますよ


 ロガフィさんと、ディゼルトはその場に残り、ボクとイリスとユウリちゃんの3人で、家の中を見させてもらう事になりました。あまり、大勢でうろついても迷惑だからね。レンさんとぎゅーちゃんも、ロガフィさん達と一緒に、お留守番です。


「ふん……やっぱり、臭いますね。この家には、何かいますよ。こっちです」

「イリス!」


 先導するイリスは、迷うことなく廊下を進んでいき、ボク達もそれに続きます。勝手に進んでいって、入っちゃダメだと言われている部屋も、勢いで開いてしまいそうな勢いに、ちょっと心配になってしまいます。


「す、すみません、ロステムさん……」

「いえ。本当に、魔族がいるのなら、それは由々しき事ですので」


 一緒に付いてきているロステムさんが、そんなイリスに怒らないか、ボクは心配です。でも、意外と話の分かる、良い人だな。最初は、いじわるでお節介で熱血で勉強ばかりを迫る、悪いお世話係を想像してしまったけど、そんな事はなさそうだ。

 迷いなく進んでいくイリスは、石畳の床を走り、行きついた階段を上っていきました。


「イリス!あまり、離れないようにしてください!」


 そんなイリスを、急いで追いかけるユウリちゃん。ボク達と差が出始めたのを危惧して、止めに入ってくれました。


「もう、すぐそこですよ!」

「あ、開けちゃダメですよ!ロステムさんを待って、開けていいのかを聞いてからです!」


 先に階段を上った先で、2人がそんな会話をしています。ボクとロステムさんが、自分たちのペースで追いかけてその場に辿り着くと、ユウリちゃんがイリスを押さえて、階段を上った先にある、扉の前に立っていました。


「このお部屋は、見させていただいても、平気でしょうか」

「そちらは……エーファお嬢様のお部屋になりますね」

「エーファちゃんの……」


 年頃の女の子のお部屋を、無許可で覗く訳にはいかない。本人はどこかに行ってしまったし、許可を得られない。どうしよう。


「構いません。入りましょう」

「そうですね。エーファちゃんは、いったいどんな下着を着けているのでしょう」


 ボクの戸惑いを、無視するかのように、2人は入る気満々です。特に、ユウリちゃんの目的が危ないです。下手をしたら、下着泥棒を働くんじゃないか、そういう懸念ある。だから、余計に入っちゃダメだよ。

 というか、そもそもロステムさんが、許可してくれる訳がないよ。


「どうぞ、お入りください」

「ええ!?」


 あっけなくそう言い放ったロステムさんに、ボクは驚きました。今のユウリちゃんの発言を、聞いていましたか?この人は、エーファちゃんの下着を見る気満々ですよ。


「やったー。失礼しまーす」


 喜ぶユウリちゃんが、許可を得て、遠慮なくその扉に手をかけました。そして、扉を開いて、エーファちゃんの部屋の中へと入っていきます。イリスもそれに続いて、入っていきました。


「い、いいんですか……?」

「はい。お嬢様のお部屋から、魔族の気配がするだなんて、凄く不気味な事ですから。入って、原因を探っていただきたいと思います」


 そりゃそうかもしれないけど、でもエーファちゃんの許可もなしに、いいのかなぁ。


「うひょー、女の子の良い匂いが充満してます!エーファちゃん、しゅごく良い匂い!青い果実のような、成長盛りの女の子特有の匂い……最高です!下着は、どんなのをつけてるのかなー」


 うん。絶対にダメだよ、コレ。部屋の中から漏れてくる声に、ボクは慌てて部屋に突撃しました。

 確かに、ユウリちゃんの言う通り、部屋の中は女の子の良い匂いがしていました。凄く、良い匂いだと思います。予想外にも、そんな部屋の飾りは、女の子らしい物でした。ピンクを基調とした、レースや、ベッドの布団。更には、ぬいぐるみや、ふりふりのピンクのドレスなどが飾られていて、この部屋の主は、可愛い女の子なんだろうなと、連想させられます。

 実際は、あの男らしい口調の、エーファちゃんが主なんだけどね。エーファちゃんは、こういうのが好きなんだ……ちょっとだけ、意外です。でも、女の子らしくて、良いなと思います。


「ぐへへへ」


 そんな、可愛らしいエーファちゃんの部屋に、変態が1人、侵入しています。その変態は、タンスの取っ手に手をかけて、引き出しを開こうとしている所です。


「あいたっ」


 ボクは、その変態の頭を、引き出しが開かれる前に、軽くチョップして止めました。更に、おかしな事をしないように、抱きしめて拘束しておきます。この子は、何をしでかすか分かったもんじゃないからね。それに、こうしておけば、おとなしくなるので可愛いものです。


「イリス。どう?何か、見つかった?」

「……」


 ボクは、部屋の中を見渡していたイリスに、そう話しかけます。

 ユウリちゃんを抱きしめたまま近づいて、その視線を追ってみるけど、その視線が、ベッドボードの上に置かれた、キレイな石を見て止まりました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ