子供
「ぐー……」
ご飯を食べ終わり、イリスは眠ってしまいました。そんなイリスを、ボクはおんぶして運び、宿へと戻ってきます。
みんなも、なんやかんやと言ってたくさん食べて、満足した様子です。お肉も野菜も、本当に美味しかったから、ボクも大満足だ。
旅の中で、あんなに美味しい物が食べれるなんて、想像もしてなかったよ。もっと、ずっと野宿続きで、お風呂にも入れず、自分で森で狩りをしての、サバイバル生活を想像していたけど、それとはかけ離れすぎている。
「よいしょ……」
それに加えて、こんなにふかふかのベッドで眠れるなんて、凄いよね。ボクは、イリスをベッドに寝かせ、布団をかけながら思いました。
いや、ボクも勇者の時は、人見知りじゃなかったら、こういう旅もできたんだろうけどね。人目を避けて、レストランに入る勇気はなく、宿に泊まるなんてもってのほか。食べ物をお店で買うのも恥ずかしいので避けて、そりゃあ自分で完結するしかなくなってしまう。つまり、自分でそういう旅にしていただけだ。
「んぅ……」
イリスが、寝ぼけてボクの腕を、掴んできました。
「ネモ……」
そして、ボクの名前を甘えるように呼んできます。
その仕草がとても可愛くて、ボクはイリスの傍に残り、そっと頭を撫でます。
安らかに眠るイリスは、間違いなく美幼女です。今は幼いけど、将来絶対に美人さんになる。完璧な、お人形さんのようなイリスを前にして、こみあげてくる欲望を我慢できる人が、この世に何人いるだろうか。
ボクは、我慢できません。欲望のままに、イリスの頬を突っつきます。
「えへへ」
この頬の感触は、本当にたまらない。何時間でも触っていられるよ。
「困りましたね。お風呂、まだなのに寝ちゃって……」
ユウリちゃんが、そんな眠ってしまったイリスを見て、嘆いています。
イリスは、一度深い眠りについたら、簡単には起きない。最近は、それでも頑張って起きるようになってきたけど、この様子では起きる事はなさそうだ。
「明日、朝入らせよう。寝ぼけてても、誰かが一緒に入れば、大丈夫だよ」
1日くらい入らなくても、いいとは思う。だけど、ユウリちゃんはけっこう、キレイ好きだ。お風呂にはできるだけ、毎日入る派で、それは許さないと思う。とかいっているボクも、割とお風呂は好きで、毎日身体はキレイにしています。決して、自分の女の子の身体に興奮している訳ではなく、単純にキレイさを保ちたいからです。
女の子の身体も、なってみると段々と慣れてきて、見ても何も感じなくなるんだよ。でもそれは、自分の身体に限った話で、他の女の子の身体には、興奮します。
「そうですね。それでは、私が責任をもって、いれさせます」
「それはイリスが可愛そうだから、レンさんにお願いしようかな」
「お姉さまの、私に対する信頼が全く感じられません……」
そう言って落ち込むユウリちゃんだけど、ユウリちゃんの何を信用しろと言うのだろう。もし、そんな事になったら、イリスは汚されて帰ってくる事になるよ。絶対に。
「い、いいから。おとなしくしてて」
「はーい」
ユウリちゃんは、やる気のない返事をして、ボクの背中に抱き着いてきました。ユウリちゃんの体温と、胸の感触が、背中に伝わってきます。
「ゆ、ユウリちゃん?」
「ふふ。イリス、可愛いですね。普段は生意気なのに、安心しきった顔で眠って、寝ぼけてお姉さまに甘えて……私、こんな子供が欲しいです」
ボクの肩越しに、イリスの顔を覗くユウリちゃんが、そんな事を言います。確かに、イリスがもし、ボク達の子供だったら、それは夢のように、幸せな事だと思う。でも、ボクとユウリちゃんは女の子同士で、子供はできません。本当に、夢みたいな事で、それが叶う事はない。
でも、イリスが今のユウリちゃんの台詞をきいたら、怒るだろうな。私は、子供じゃないってね。
「せ、性欲を我慢できなくなったお姉さまに、私が襲われて……はぁはぁ。す、凄い……獣のような目をしたお姉さまが、私を拘束して襲い掛かってきました!そして、私はなすすべなく、お姉さまに妊娠させられてしまうのです」
「……」
ユウリちゃんが、ボクの耳元で妄想ストーリを呟いています。興奮しているようで、その息はとても荒く、ボクの耳にかかってくすぐったい。
でも、それ以上に、言っている事が気持ち悪くて、鳥肌がたってしまいます。
確かに、ユウリちゃんは可愛いし、ついついそういう目で見てしまう時もある。でも、襲ったりなんかは、しません。そんなの、犯罪です。例えユウリちゃんが望んでいるとしても、そんな事は絶対にない。そもそも、ボクは女の子であり、ユウリちゃんを妊娠させる事はできません。
ゲームの中だったら、何でもありだけどね。この世界は、そのゲームの中だけど、でもボク達がこの世界に入った以上は、現実です。現実なので、上手くいかない事もいっぱいあるし、思い通りに進むことも少ない。
「ユウリは、ネモが好き」
「ぎゅー……」
そんなボク達の様子を見ていたロガフィさんが、そう呟きました。
レンさんとディゼルトは、2人で部屋に備え付けのお風呂に入っていて、ロガフィさんは残っていたんでした。そんなロガフィさんは、腕にぎゅーちゃんを抱いて、部屋の扉の前にいました。
「はい。大好きですよ」
ユウリちゃんは、ロガフィさんに言われて、ボクに強く抱き着いてきます。ユウリちゃんと、1つになれるんじゃないかと言うくらい、強くです。
ボクは、自分の顔が赤くなるのを感じます。嬉しいし、ユウリちゃんの胸の感触が強くて、気絶してしまいそうだ。
「ただいまーっと……ありゃ、仲いいね。でも、部屋の外に、暴漢がいるよ。今にも、この部屋に突入してきそう」
壁をすり抜けて、帰って来たアンリちゃんが、姿を見せるなり、そう警告してきました。




