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止まりました


 イリスの頭の上には、大きなたんこぶが出来ています。それを作ったのは、ユウリちゃんで、イリスを膝に抱いているロガフィさんが、優しくさすってあげています。

 こればっかりは、イリスが悪いので、庇いようがありません。少しは良くなってると思ったけど、相変わらず人を見下す姿勢のイリスは、怒られて当然です。


「そ、それにしても、ユウリちゃんは、どんどん強くなっていくよね」

「そうですね。自分でもよく分かりませんが、力が強くなっていくのを感じています。この世界に転生したての頃は、奴隷商の男に簡単に捕まって、酷い目に合わされそうだったのが嘘みたいですよ」


 出会った時、ユウリちゃんは奴隷商のおじさんに、奴隷として扱われていた。あの頃は、レベルも凄く低くて、本当にただの、か弱い女の子だった。それが今では、レベルが先日よりも更に上がり、40を示している。この世界でレベル40といえば、相当高い方であり、聖女様を護衛している騎士や、キャロットファミリーの、Cランク冒険者をも凌ぐレベルだ。

 もしかして、ゲームと同じように、敵を倒したりしていると、レベルがどんどん上がっていくシステムなのかな。ボク達にとっては、現実と同じような世界だけど、そこだけはユウリちゃんも、ゲームの中の世界にいるのかもしれない。

 ただ、メイヤさんなど、一部の人たちとは、文字通りレベルが違う。でも、メイヤさんは転生者だから、もしかしたらユウリちゃんと同じように、レベル上げを頑張って、あんなに高レベルに達したという可能性もある。

 確認しようにも、もう町を出てしまったから、わざわざそんな事を聞きに、町に戻るつもりはないけどね。今度、町に帰った時にでも、情報交換しておこう。


「す、凄いよね。最初はレベル1だったのに、今、ユウリちゃんのレベルは40だよ。ゲームでいえば、旅立ちの町から出かけて、物語も中盤くらいのレベルなんじゃないかな」

「レベル?」

「あ……」


 そういえば、ボクは誰にも、レベル表記の話をした事はなかった。それをいきなり、お前のレベルは40だ、なんて言ったら、首を傾げられて当然だね。


「えと……ボクの目には、その人の強さを示す、レベルを見る事ができるんだ。ゲームみたいに」

「へー!凄いですね!アイテムストレージの他にも、そんな機能まで……ちょっと、羨ましいです」

「げーむ、というのはよく分かりませんが、そのレベルの数字が高ければ高いほど、相手が強いという事で、いいのでしょうか」

「う、うん。レンさんは、レベル28だよ」


 ちなみに、前回レンさんのステータスを見た時は、確か職業が学生と書かれていたけど、今の職業は、旅人になっている。こうやって、レベル以外もちゃんと更新されていく。


「ゆ、ユウリさんより、だいぶ低いですね……」

「これだけレベル差があれば、レンさんに襲い掛かれば、レンさんは抵抗できないという事ですか。なるほど」

「何が、なるほどですか。私は、ネモ様一筋です。ユウリさんに、この体の純潔はあげません!」


 レンさんは、そう言ってボクの腕に抱き着いてきます。さらりと、純潔がどうの聞こえたけど、凄く嬉しいんだけど、大きな声で言わないでください。


「二人ともでも、私は全然構いませんよ?ただし、抜け駆けはなしです」


 ユウリちゃんが、舌なめずりをして、ボクとレンさんを見てきます。その目は、僅かながらに本気に見えて、身の危険を感じます。

 ただ、安心してほしい。ユウリちゃんは、ボクの奴隷だから。奴隷紋がある限り、ボクがそんな事をさせません。


「あの、一応聞いておきますけど、私のレベルは?」


 イリスが、遠慮がちに手をあげて、そう尋ねてきました。見るまでもないけど、一応見ておこう。


 名前:イリス

 Lv :2

 職業:奴隷

 種族:エルフ


「す、凄い!」

「えっ!?何が!?もしかして、凄く高レベルでした!?」

「レベルが、2だよ!」


 てっきり、1だと思っていたので、ボクにとっては、本気で驚いた数字でした。


「もしかして、私の事をバカにしてます!?」

「えぇ!?」


 ボクは、そんなつもりなかった。だけど、イリスは怒って、ボクを怒鳴りつけてきます。

 怖いので、ユウリちゃんに抱き着いて、身を隠します。


「では、ディゼルトさんは?」

「ディゼルトは、レベル70だよ。メイヤさんも、確かそれくらい」

「わ、私は、凄い方を雇ってしまったんですね……」


 確かに、レベル70のボディガードとか、頼もしいよね。ディゼルトには、ボクも期待している。


「それじゃあ、お姉さまと、ロガフィさんは、レベルいくつなんですか?」

「ロガフィさんは、レベルが分からないんだ。前に竜を見た時も、レベルが分からなくて、でも明らかに、レベルで表記できるような強さを超えていたから、それと同じなんだと思う」

「……」


 ロガフィさんは、ボクがそう言って皆の注目を浴びると、片手で力こぶを作って、強さをアピールしてきました。


「さ、さすがは、元魔王さんですね……」

「だね。ロガフィさんの力は、竜と同じくらいだと思って良いと思うよ」

「それで?ネモのレベルは?どうせ、ロガフィと同じなんでしょう?」

「ボク?ボクは──」


 若干イライラしている様子のイリスの問いに、答えようとした時だった。

 突然、馬車が止まりました。


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