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戦いませんか?


「だからこそ、お前にはそんな危険な道は、進ませたくないのだ」

「狡いです!父上ばっかり、狡いです!」


 そんな事を、レンさんが聞き入れる訳もなく、逆に、レンさんの抗議は勢いを増します。

 それにしても、他の竜か……。


「も、もしかして、その竜はディレアトみたいに、オカマさんなんですか……?」


 ボクは、恐る恐る、レンさんのお父さんに尋ねました。すると、レンさんのお父さんは、再び驚愕の表情を見せてきます。


「まさか……ディレアトがオカマだと、何故知っている……?」

「え、えと……一応、色々とおしゃべりはしたので。その時は、人に姿を変えていましたけど……でも、その姿が凄く気持ち悪かったです……」


 思い出すだけで、吐き気を催してきます。ディレアトの、人になった時の姿は、アフロで、筋肉質な男の人だった。完全に男の人なんだけど、男の人が、女の人がするような化粧をしたような姿で、しかも凄く濃かったんだよね……。オマケに面積の小さな、ビキニの水着をつけていて、股間が凄かったです。


「竜が、人に化ける事も知っているのか……。それに、リノアの言う通り、ディレアトはオカマ……しかも、人に化けた時の姿が気持ち悪いと、彼女も口にしていた。どうして、彼女の言う事と、貴女の意見が一致しているのだ……?」

「そ、それは、先ほども言いました。ボクが、ディレアトを倒したからです」

「……」


 ボクが再びそう言うと、レンさんのお父さんは、ため息を吐いて、ソファに深く座り直しました。


「信じられん。が、ディレアトは、長年彼の地で眠りについていたはず。起きていなければ、それを知るには、知っている者に、話を聞くしかない……。先日の竜騒動の竜は、本当にディレアトだったのか」

「先ほど貴方は、お姉さまが竜を倒せば、レンさんの同行を許可すると言いましたよね」

「ああ、言った。しかし、君がディレアトを倒したという、証拠はない。竜は、ギルド総動員で倒した事になっている。そうだろう?」


 自分がした事を、証明するのって、難しいんだな。でも、コレが普通なのかもしれない。今までは、割と簡単に、信じてくれる人がばかりだったから、感覚が麻痺していました。

 普通は、竜を倒したとかいう話は勿論、元勇者だとか、元女神だとか、信じないよね。


「どうしましょう、お姉さま。メイヤさんなら、証人になってくれるでしょうけど、今すぐ来てもらうという訳にはいきませんよね」

「う、うーん……レンさんのお父さんは、竜の強さを、どれくらい知っているんですか?」

「全てでは、ない。私自身が、リノアと戦った訳ではないからな。それに、もしそうなっていたら、私など一撃で葬られている所だ」

「それじゃあ……ボクと、戦いませんか?」


 レンさんのお父さんは、相手の実力を測れる人だ。だったら、手っ取り早くボクの強さを見てもらえば、納得してもらえるかもしれない。


「君の強さは、もう分かっている。君は、間違いなく私よりも強いだろう。それに、私はもう、操られてはいない。娘の友人と、剣を交えるような事はできん」


 レンさんのお父さんが操られていた時、ボクは全く力を出していなかった。力を出す域にも達していなかったので、レンさんのお父さんは、ボクの本来の力には気づけなかったようだ。

 ところで、レンさんのお父さんは、操られていた時のレベルは、99を示していた。それが今では、レベル70にまで下がっている。恐らくは、女神様の加護が外れた影響だと思う。それでも、凄い高いレベルなんだけどね。


「お願いです。ボクと、戦ってください。そうすれば、全てが分かってもらえるはずなんです」

「いや、だがな……」

「父上。ネモ様は、ネモ様の力を、父上に示すつもりなのです。どうか、引き受けてください」

「分かった、分かった。それくらいなら、聞き入れよう。ただし、それで私に証明できなければ、レンは連れて行かない。君たちも、魔王討伐は諦めると、約束しなさい」

「ふぇ!?」


 そう言われると、ボクは戸惑います。絶対の自信がある訳ではないので、もし失敗したら、レンさんだけではない。ロガフィさんに、申し訳なさすぎて、泣いてしまうかもしれません。


「いいでしょう!」


 そんな、勝手な返事をしたのは、イリスだ。ロガフィさんの膝から飛び降りて、床に降り立って偉そうに胸を張り、威張っています。自分がする訳じゃないのにね……。


「その代わり、もしネモが力の証明ができたら、レンは連れていってもいいと、約束しなさい。ついでに、土下座して私に謝罪すると、約束をしてください。更についでに、お金を寄越しなさい。私が一生遊んで暮らせるだけの、財産を寄越すのです」

「約束しよう。レンを、連れて行っていい」

「いや、その後の約束は──」

「分かりました。それで、いいです」


 イリスの言葉を遮り、ボクは、レンさんのお父さんと約束をしました。

 ボクが力を証明できたら、レンさんは連れていく。できなかったら、魔王討伐は諦める……。ただ、勝つだけではだめだ。レンさんのお父さんが、竜を見て感じた時のような力を、示さなければいけない。そのためには少し、本気を出さないといけないかもしれません。


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