表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
194/492

キレイな手


「お姉さま?」


 ユウリちゃんには、おだやかに、笑って過ごしてもらいたいと思う。この、キレイな手を汚したりする必要は、ない。


「ユウリちゃんには、この、キレイな手のままで、いて欲しいと思う……。だから、その……怖い顔は、しないで……」

「え。私、そんな怖い顔してましたか?」

「ええ、少し」

「してましたね」

「……」


 ユウリちゃんの問いに、レンさんが頷いて答え、ボクが腕に抱いているイリスも同意して、ロガフィさんも黙って頷いて答えた。


「ええー……」


 ユウリちゃんは、納得いかない様子で、自分の顔を挟んでもみもみするけど、自覚がなかった事に驚きだ。あんな怖い顔を無意識でするとか、凄いよ。


「おい、お前ら。中で暴れてる大男の、連れだな?」


 骨董屋さんの前に集まっていたボク達を、周囲にいたゴロツキ達が、囲んできた。彼らは懐からナイフや、中には剣を取り出した者もいる。やっぱり、普通のゴロツキではない。彼らは、ゲットル奴隷商会の入り口を見張る、警備員的な存在だったようだ。

 その割には、Gランクマスターをあっさりと中に通しちゃったけどね。


「へへ。どいつもこいつも、美人揃いじゃねぇか」

「ああ、たまんねぇな」


 お決まりのような台詞を吐かれるけど、褒められるのは悪い気分じゃない。みんな、凄い美人さんなのは事実だからね。でも、その視線は気持ち悪い。まとわりつくように全身を見られるのは、やっぱり落ち着きません。


「私たちは、この中にいる、ゲットル奴隷商会に用があって来たんです。貴方たちのような三下を相手にしている暇はないので、どうぞ、失せてくださいませんか」

「生意気な娘だが、その目が苦痛に染まった時の顔が、たまらねぇんだよな」


 ユウリちゃんに対して、げらげらと笑う、ゴロツキたち。

 その数秒後には、彼らは地面に転がり、鼻血を出し、顔を腫らし、気絶していました。全滅です。

 それをしたのは、ボクとユウリちゃんと、ロガフィさんの3人だ。一斉に動き、一瞬で、制圧をした。

 やっぱり、ロガフィさんの実力は、相当なものだ。その動きの隙の無さは、ユウリちゃんよりも遥かに熟練の動きを見せ、そして素早い。レベルが???表記の人は、やっぱり規格外の強さという事で、間違いはなさそう。さすがは、元魔王です。


「早く、Gランクマスターを追いかけたい所なんですが、その前に、もし隙を突かれて逃げられたら、厄介です。外に、見張りをたてておきましょう」


 ユウリちゃんはそう提案して、ロガフィさんに目を向ける。ロガフィさんなら、実力も申し分ない。外は、安心して任せられそうだ。今の動きを見て、そう判断したんだと思う。


「ロガフィさんと、イリスは、外で待機をお願いできますか?」

「何故私も!?」

「どう考えても、一緒に中に入ってきても足手まといです。残っても、ロガフィさんの足手まといだとは思いますが、もしかしたら暇になるかもしれません。その時は、ロガフィさんに弄ばれてあげてください」

「お断りですよ!どうして私が魔王と二人きりで待たなければいけないんですか!」

「……」


 イリスが頑なに拒否をして、ロガフィさんが、なんだか元気なく項垂れてしまった。大好きなイリスに、そこまで拒否されたら、ショックも受けるよね。可哀そうに。


「イリスさん!」

「……」


 レンさんが、そんなロガフィさんの頭を撫でながら、非難するような目を向ける。特に、ユウリちゃんの目が怖い。


「わ、私が悪いんですか、これ?ち、違うと思うんですが……わ、分かった。一緒に、待ってればいいんでしょう……?」


 レンさんと、ユウリちゃんの視線に耐え切れなくなったのか、それとも、ショックを受けた様子のロガフィさんを見て心が痛んだのか、イリスがそう言いました。それを聞いたロガフィさんは顔をあげ、いつもの様子に戻る。といっても、無表情だけど。


「では、外はよろしくお願いします」

「……」


 ロガフィさんは、ユウリちゃんに力強く頷きました。

 ボクは、そんなロガフィさんに、手に持っているイリスを差し出します。ロガフィさんは、それを大切そうに抱きしめて、受け取りました。そして、挨拶代わりに、イリスに頬ずりをして、気持ちよさそうに目を細める。

 イリスはされるがままで、無抵抗。下手に抵抗して、またロガフィさんを傷つけたら、ユウリちゃんが黙っていないだろうからね。


「早く、済ましてきなさいよ……」


 イリスは、ボクを忌々し気に睨みつけながら、そう言ってきました。ボクが悪い訳じゃないんだけどなぁ。


「う、うん。なるべく早く、戻るね」


 余計な事は言わず、ボクはイリスに、頷いて答えました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ