表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
192/492

空気を読んで


 ラメダさんの部屋を後にしたボク達は、急いでお店を出て、外で待っているイリス達と合流します。


「お待たせしました。ゲットル奴隷商会の居場所、分かりましたよ」

「わぁ……」


 お店の前のベンチに座り、3人はそこにいた。ボクは、そんな3人のベンチの座り方を見て、声を漏らしました。

 だって、3人で重なってるんだもん。1番下は、1番体の大きなレンさんで、その膝の上に、ロガフィさん。そのロガフィさんの上に、イリスが乗っている。その光景を見て、道行く人たちが微笑んで通り過ぎていっています。


「遅いですよ、まったく……」


 1番上のイリスが、やってきたボクとユウリちゃんを見て、文句を言ってきました。その手には、何かが刺さっていたと思われる串が握られていて、イリスの口がもごもごと動いて何かを噛んでいる。

 辺りを見渡すと、屋台があって、そこでお肉の串焼きが売っていて、良い匂いがしてきます。

 イリスには、お金を持たせていないので、レンさんにたかったんだね。


「イリス?レンさんに、お金を払わせましたね?」


 そんなイリスを見て、ユウリちゃんが睨みつけます。

 ヤバイと思ったのか、今更になって串を隠すイリスだけど、遅すぎます。それから、急いで口の中の物を飲み込んでから、言い訳を開始した。


「ち、違くて……こ、コレは、ね。皆で食べたいと話して、食べることになったんです。ね」

「……イリスが、言った」

「しかも、一人で全部食べちゃいましたね」

「空気を読んで、合わせなさい!」


 正直な、ロガフィさんとレンさんに怒る、不正直なイリス。


「貴女はもう少し我慢というものを覚えるのと、二人を見習って正直になりなさい」

「ま、まぁまぁユウリちゃん。待ってもらってたんだし、今はいいよ。それよりも、早く行こう」

「……お姉さま」

「ほ、ほら。ネモがそう言ってるし、良いじゃないですか、て──いははは!」


 イリスが余計な事を言った物だから、ユウリちゃんがイリスの頬を摘まみ、横に引っ張った。強めに引っ張ってるので、イリスの顔が平たくなって、変な顔になります。


「お姉さまが言うなら、見逃してあげます。という訳で、早く立ってください。キャリーちゃんの身に何かされる前に行かないといけないんですから、のんびりしていられませんよ」

「みにょがすにゃら、はにゃせぇ……!」

「ぷっ」


 ユウリちゃんにそのまま頬を引っ張られ、強制的に立ち上がらされたイリスが抗議するのを見て、ボクは思わず笑ってしまった。

 膝にイリスを乗せていたロガフィさんは、名残惜しそうだけど、引っ張り合いになったら、イリスの頬が取れちゃうからね。あっけなく解放して、続いてロガフィさんも、レンさんの膝から立ち上がりました。


「と、ところで、どうして三人で重なってたの……?」

「ロガフィさんが、イリスを抱いて座るのを見て……仲間はずれが嫌だったので、冗談交じりで上に乗るようにロガフィさんに言ったら、こうなりました」


 答えたのは、最後に立ち上がった、レンさんでした。


「と、ところで、Gランクマスターさんは、どうしたんですか?」

「あ」


 そういえば、忘れていました。確か、奴隷の女の子たちに囲まれて、どこかへ連れられて行ったきりだったね。お楽しみがどうのいってたけど、何をしてるのかな……。


「ぬおぅらぁ!」

「ひゃう!?」


 噂をすれば、お店の中から、勢いよく飛び出してきた、Gランクマスター。上半身裸になっていて、マスクもめくれて、顔が少し見えてしまいそう。


「随分と、楽しんでいたようですね?」

「オレは何もしていない!それより、何か分かったか!?」


 からかうように言ったユウリちゃんに対して、Gランクマスターは必死な様子で答えて、迫る。

 それに対して、ユウリちゃんは素早い動きでボクの背後に隠れました。上半身裸のおじさんに迫られれれば、そうなるよね。ボクは元男だし、別に見慣れてはいるけど……いや、男だった時、ボクはもっと小さくて、筋肉もついてなかったから、全く見慣れてない身体なんだけどね……。だから、正直言うと、ボクもちょっと直視していられない。

 ところで、一人称がGランクマスターじゃなくて、野菜屋のおじさんに、戻っちゃってるよ。Gランクマスターは、オレじゃなくて、私だからね。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ