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そわそわしたいです


「いいかい。ゲットル奴隷商会は、ヘイベスト旅団のあった場所のすぐ傍に、拠点を構えているんだ。ヤツらとゲットル奴隷商会は、深く繋がってたからね。ヘイベスト旅団が、人攫いに薬物売買と、好き放題する奴隷商会を擁護して、自らもそれを手伝う。代わりにゲットル奴隷商会は、ギルドに女を提供する。そんな関係だったのさ」

「そこに、キャリーちゃんも……」


 前に、ヘイベスト旅団のギルドマスターを、ボクが倒して逮捕されたので、その事が原因でヘイベスト旅団は解散した。元々、悪い事をしていて逮捕しようとしていたらしいけど、ギルドマスターが強すぎて、手が出せない状況だったのを、ボクが打破したような感じだ。

 そんなヘイベスト旅団のギルドマスターだけど、ボクの目の前で、攫って奴隷にした女の子を侍らせていたのも、ゲットル奴隷商会との繋がりがあったからなのかな。


「恐らくは、攫ったらそこでまず、奴隷紋を刻まれるだろうね。ただ、奴隷紋を新しく刻むには、本人の精神的な抵抗を、なくす必要がある。もしその子が抵抗しようものなら、ちょっとした調教を受ける事になるかもしれないね。それが、激しい物になるか、簡単な物になるかは分からないけど……」

「……」


 それにしても、ボクはいつまで、3人の美少女に囲まれていなければいけないのだろうか。いや、凄く嬉しいんだけど……でも、とてもじゃないけど、こんな大切な話をするような体勢じゃない気がするんだ。

 キャリーちゃんの事も心配だし、のんびりとしてないで、もっとそわそわしたいです。


「そうなる前に、早く助けてあげた方が良さそうですねー」

「はい。お姉さま。場所は、分かりますか?」

「う、うん。えっと……ヘイベスト旅団の、近くの骨董屋さん、だね。……大丈夫」


 ボクは、自分にしか見えないマップ画面を開き、ヘイベスト旅団周辺の、骨董屋さんを探しながら、ユウリちゃんに答えた。それは、すぐに見つかりました。地図上には骨董屋、と映っていて、しかも周辺に骨董屋さんはこれしかないので、間違いない。


「それから、もう一つ。ゲットル奴隷商会には、ヘイベスト旅団とは別に、お抱えの傭兵集団がついてるんだ。名前は、人狼。帽子をかぶった、不気味な連中でね……」

「あ、それなら見たことがあります」


 先日、レイラさんを狙ってきた、帽子の男の人たちの事だ。彼らは、ゲットル奴隷商会の人たちだったんだね。


「奴らは、人攫いと、人殺しに長けた、プロだ。どいつもこいつも、機械みたいに冷酷で、冷淡。暗殺も得意で、とにかく人目を盗んで殺すわ攫うわで、厄介な連中だ」


 とはいえ、あんな特徴的な格好をしてたら、何かするぞと思って警戒されちゃうよ。まぁ当然、秘密で何かの行動を起こすときは脱ぐだろうけどね。


「人数は、正確には分からないけど、相当な数がいるはずだ。そして、そんな人狼のリーダーである、赤狼と呼ばれる人物が、一番の要注意人物だ。あまりの動きの速さに、その姿を見た者はいない。ただ、その姿を見た時に目に映るのは、自分の体から噴き出した血と、自分を殺した獣の姿だけだという噂から、その名前がついた」

「その、赤狼という人物も、いるんですか?」

「いるだろうねぇ。今この町に来てるのは、ゲットル奴隷商会のトップ。スナイリー・ゲットルだ。それから、幹部の連中も、数人……。ヘイベスト旅団の支援がない今、赤狼が護衛に駆り出されない訳がない」

「……分かりました。お姉さま」

「うん」


 ボクは、おもむろに立ち上がったけど、一緒にラメダさんも立ち上がって、ボクに抱き着いてくる。ナレリアさんとユウリちゃんは離してくれたけど、ラメダさんはまだ、離れたくないようだ。まぁ、隅っこでまだアンリちゃんが膝を抱えて泣いてるから、怖いのかな。


「ら、ラメダさん。話してくれて、ありがとうございます」

「……半分、脅されて仕方なくな気がしないでもないけど、どういたしまして」

「わ……」


 嫌味っぽく言いながら、ラメダさんはボクの頬に、頬ずりをしてきました。


「ごめんなさい。でも、絶対に助けてあげたいんです」

「分かった。でも、アレだけは、絶対に持ち帰って」


 ラメダさんが、目も向けずにそう言ったのは、アンリちゃんの事だ。


「はい。もう、ラメダさんを怖がらせないように、言い聞かせておきます。もし続けるようなら、消滅させるのでご安心を」

「消滅!?」


 笑顔で言うユウリちゃんに、アンリちゃんが反応した。イリスに頼んで、そうするつもりだね。


「わ、分かったよう。もうしないよう。気を付けるから、それだけは、勘弁」


 アンリちゃんは、そう言いながら、その姿を消しました。気配もないので、どこかへ去っていったみたい。


「それから、ナレリア。今日は、一緒に寝る事」

「えー。明日もお仕事だから、ゆっくり眠りたいんですけどー」

「これは、命令。拒否権はないわよ」


 ラメダさんは、そう言うとボクから離れて、ナレリアさんの胸へとダイブしていきました。アンリちゃんはもういないので、締めあげられる事もないかな。


「ありがとう、ネモちゃん。また、抱き合いましょうね。次は、生気も吸わせてもらえると、嬉しいんだけど」

「だ、ダメです」


 ウィンクをしながら言ってくるラメダさんに、ボクは首を振ってこたえました。


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