ペロペロ
今日の天気は、晴れ。雲一つなく、出かけるにはもってこいの天候だ。ボク達は、5人仲良く出掛けて、お馴染みのお店が立ち並ぶ、大通りへとやって来ました。目的は、ロガフィさんの服の購入。だぼだぼのズボンとシャツ姿は、見るに忍びないからね。早急に対応すべき案件です。
という訳で、ユウリちゃんの行きつけであるという、服屋さんに向かっている所です。
ちなみに、ぎゅーちゃんとアンリちゃんは、お留守番だ。ぎゅーちゃんはお家が気に入ったみたいで、しばらくそこで過ごしたいみたいだった。アンリちゃんは、やる事があるとか……深くは聞かなかったので、それが何かは知りません。
「あのお店です」
ユウリちゃんが指さしたのは、派手なピンク色の看板が掲げられた、服屋さん。あまり大きな服屋さんじゃないけど、店内と、外にまで飾りだされた服の多さは、凄い。
「ちなみに、皆の服も、あそこで買いました。品ぞろえがよくて、しかも安くて良いお店なんですよ。特に、店員さんが可愛くて、しかもサイズを測ってくれて、その際にちょっとしたお触りをされたり──」
「ユウリさん、落ち着いて」
思い出して興奮した様子のユウリちゃんを止めてくれたのは、レンさんだった。レンさんもユウリちゃんの相手はもう馴れたもので、ユウリちゃんがおかしな事を言い出しても、今更気にしたりはしない。
あと、絶対に、前半じゃなくて後半が目的だよね。服屋さんの店員さんにまで、おかしな事はしないでよ。
「……いいから、早く行きましょう。さすがに、暑っ苦しくて疲れました」
イリスは、未だにロガフィさんに抱きしめられている。歩くのに、凄く苦労しそうな体勢で、大変そう。
そんなイリスの苦労を察したのか、ロガフィさんが突然、イリスを手放した。
「へ」
「……」
解放されたイリスは、すぐにロガフィさんの傍を離れると、定位置であるボクの横に並んでくる。その反対側では、これまた定位置であるユウリちゃんが、ボクと手を繋いでいます。というより、腕に絡みついているというのかな。胸を押し当てられて、その感触が凄く気持ち良い。
そんな状態がいつも通りの配置で、ちょっと落ち着く。
「良いんですか?ロガフィさん。ロガフィさんさえよければ、ずっとくっ付いていてもいいんですよ?」
「勝手な事は言わないでください、ユウリ!」
ユウリちゃんの提案に慌てたのは、イリスだ。
ボクも、それはちょっと困る。ずっとはさすがに、ね。ボクも、イリスをなでなでつんつんしたいです。
「……」
ロガフィさんの視線は、ボクとユウリちゃんが繋いでいる、手に注がれている。無表情で、何を考えているかわからないけど、ただじっと見つめて、観察されているようだ。
そして、何かを思い立ったようにレンさんの方を見ると、そのレンさんの手を掴んで握った。
「どうしました?」
「……」
レンさんは、さして慌てる様子もなく、その手を握り返し、ニコやかに尋ねた。
「歩いたりする時は、この方が身軽に歩けて、良いかもしれませんね。それに、こうして手を繋いでおけば、はぐれることもありません」
「……」
何も喋らないロガフィさんに、レンさんはそう説明をした。すると、ロガフィさんが小さく頷き、そのまま手を繋いで落ち着く。落ち着きはしたものの、その視線はイリスの方を見ていた。どうやら、イリスに負担をかけるような歩き方をさせてしまった事を、気にしているようだ。きっと、次にイリスと一緒に歩く時は、こうしようと思っているに違いない。
今は、その時のために、予行演習をしてるんだね。
「あああぁぁ……ロガフィさん、可愛い。レンさんと手を繋いじゃったりして、二人のその手をペロペロしたいぃ」
自分も手を繋ぎたいとは言わず、舐めたいとか言い出すあたりが、さすがはユウリちゃんだ。ボクは今、そんなユウリちゃんと手を繋いでいます。
「き、汚い事を言わないでください、ユウリさん。ね、ネモ様ならともかく、ユウリさんは、ダメです」
レンさんは、未だにボクと目を合わせようとはしてくれない。でも、そういう事は言ってくるんだね。ちなみにボクは、舐めません。
「変態たちの相手は程々にして、早くお店に入りましょう。疲れたので、座りたいです」
イリスが、ボクの服の裾を引っ張って、そう訴えかけてきた。
「う、うん。そうだね」
ボク達は、イリスに促されて、足早にお店に向かいました。道端でこんな会話してるのも、恥ずかしくて嫌だからね。




