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新記録です


 ジェノスさんが去っていき、静かになった所で、朝ご飯を再開。もう割と食べ終わっていたので、すぐに食べ終わりました。

 そんなボク達の様子を見ていたロガフィさんは、あまり喋らない上に、イリスと一緒に座っているので、人が増えた気がしない。


「……」


 今は、ご飯を食べ終わり、レンさんとユウリちゃんが洗い物をしてくれている。ボクとイリスとロガフィさんはその場に残り、ボーっとした時間を過ごしている所だ。

 それにしても、ロガフィさんは本当におとなしい。おとなしすぎて、人が増えたんじゃなくて、置物が増えたような感覚です。


「んがっ。朝ですか」


 突然、イリスが寝ぼけから覚めて、目を開いた。いつもより、だいぶ早い寝ぼけからの目覚めに、ボクは驚いた。


「ふわぁ……少し、寝足りませんね。もう少し、ベッドで横になっていてもいいですか」

「せ、せっかく起きたんだから、我慢しようよ」

「えー。というか、私を抱いてるのは誰ですか」


 イリスがそう言って、顎を上げ、後ろの人物を見上げた。

 イリスの目に入ったのは、当然ロガフィさんだ。ロガフィさんはそんなイリスをじーっと見下ろし、黙っている。


「ひっ、ひぃ!魔族が、どうしてここに!?」


 暴れるイリスだけど、ロガフィさんにしっかりと抱きしめられて、逃れられないようだ。

 イリスにとって、ロガフィさんは目の敵にしている、魔族の元王だからね。イリスはロガフィさんを、嫌っている。でも、ロガフィさんはイリスに事あるごとにくっついて、あまつさえ、仲良しのちゅーまでしたりして、かなり気に入っているみたい。

 やがて、抵抗は無駄だと悟ったイリスがおとなしくなり、ボクを睨みつけてきた。


「どういう事なのか、説明してください」

「し、しばらく、預かる事になったんだ。ジェノスさんに頼まれて……」

「預かるって……一時間……?」

「三日……」


 ボクの答えを聞いたイリスが、青ざめた表情になり、机に突っ伏した。


「イリスさんは、ロガフィさん苦手なの?」


 宙に浮いてボケっとしていたアンリちゃんが、イリスに尋ねた。


「苦手という訳では、ありません……。ですが、この子変なんです」


 その言い方の振り、どこかで聞いたことあるけど、思い出せない。確か、変な人がそう言われてたような……まぁいいか。

 苦手ではなかったんだね。それじゃあ、きっかけさえあれば、仲良くなれたりするのかな。


「変?イリスさんの方が変だから、平気だよー」


 アンリちゃんが、けらけらと笑いながら、ちょっと酷いことを言った。イリスはすぐに顔をあげて、アンリちゃんを睨みつける。


「アンリ。貴方は私のおかげで、この世に留まっているんですよ?私の手にかかれば、魂を浄化する事など容易いんですからね……?」

「あははははは、はい、すみません」

「……」


 すぐに謝罪をして、敬礼のポーズをとるアンリちゃんだけど、どこかイリスをバカにしているように見えてしまうのは、ボクだけだろうか。イリスも何かパッとしない様子だけど、謝罪している以上、それ以上は何も言えなくなってしまう。


「あれ。イリス、もう目が覚めたんですか?」

「珍しいですね、こんなに朝早く。新記録です」


 そこへ、洗い物から戻ったユウリちゃんとレンさんが、口々に物珍しそうにそう言った。


「私だって、たまには朝早く起きることくらいあります」


 朝早いと言っても、普通の人はもう起きてる時間だけどね。自慢するほど、早くはないです。そう言ったら怒っていじけちゃうので、黙っておくけどね。


「朝早いって、もう普通の人は起きてる時間だよー」


 なのに、アンリちゃんはハッキリとそう言って、笑った。


「いっちいち五月蠅い幽霊ですねぇ~?本当に浄化してしまいましょうかー」


 イリスは、キレ気味です。顔が怖い。

 そんなイリスの顔を、ロガフィさんが後ろから摘まみ上げ、イリスの口角を上げさせた。笑顔にしようとしてるのかな。でも逆に、怖いよ。


「なにほ、ふるんでふかっ!」

「笑わせようとしてるんじゃないですか?イリスの顔が、怖いから」

「うがー、鬱陶しい!やめなさい!あと、解放しなさい、暑苦しいです!」


 イリスの頬をひっぱる力は、あまりなかったためか、イリスが手で払いのけると、簡単に解放された。変な顔でちょっと怖かったけど、一周回って可愛かったのにな。でも、解放するつもりはないみたいで、ロガフィさんはイリスを抱いて離さそうとはしない。

 よっぽど、気に入られたみたいだね。でも、メイヤさんみたいに手を出してこようとする訳じゃないから、良かったね。


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