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大変な変態


 お掃除は割りと、嫌いじゃない。引きこもり時代は、しっかりと定期的に掃除して、部屋は割りとキレイにしていたくらい。


「よしっ」


 床磨きが終わり、ボクは汗を拭う。ホコリっぽかった木の床は、ピカピカ。空気の入れ替えも終わり、みちがえった。


「お姉さま!」


 ユウリちゃんの声に振り返ると、ユウリちゃんもみちがえっていた。というのも、ユウリちゃんの服装だ。その服は、肩の大きく露出した、白の長袖のふりふりな服。その上から、小さめのジャケットを羽織り、下半身はショートパンツ。露出したふとももが眩しい。そして、可愛い。凄く。


「はわああぁぁぁ~、か、かわ、可愛い、ユウリちゃん!」


 それはもう、鼻血が出そうなくらい、可愛い。元々可愛かったけど、更にだよ。ヤバイよ。


「ど、どうしたの、その服?」

「2階の箪笥に、入ってたんです。ちょっとごわごわしていますが、全然着られます。お姉さまの分も用意したので、着替えましょう!」


 そういうユウリちゃんの手には、ボクの分と見られる、服。そういえば……ボクも、ボロボロの格好だった。洞窟で目が覚めたときから、一度も着替えていない。


「う、うん。それじゃあ、着替えてみるね」

「はい」


 ボクがその服を受け取ろうと、手を伸ばした時だった。笑顔のユウリちゃんが服を投げ捨てると、ボクの服をめくり上げてきた。ボクは、一瞬にして、素っ裸。


「ひゃああぁぁ!?な、何するの、ユウリちゃん!?」

「私が、着替えを手伝ってあげます」

「ひ、一人でできるよ!?」


 ボクは、片手で胸を隠し、もう片方の手で股を隠した状態で、座り込んで抵抗する。


「だーいじょうぶですよー。痛くしないので、天井の染みを見ながら、リラックスしていてください」


 ボクを見るユウリちゃんの目は、ハンターの目だった。その目に映るボクは、獲物のうさぎさん。


「ひいぃぃぃぃぃ!……あんっ」


 日が傾き、赤く染まる空に、ボクの叫び声と嬌声が、響き渡りました。




 着替える際に、何をされたかはさておき、ユウリちゃんがボクに着させてくれた服は、可愛かった。

 ただ、凄く落ち着かない。原因は、ボクの人生初の、スカートである。足がスースーする。コレ、下から見たら、見えちゃうよね。まぁスカートとはそういう物だけど。そして、更にはボクのふとももに食い込む、ニーハイ。脚全体が締め付けられるような感覚に、戸惑いを隠せずにもじもじとしっ放し。一方で上半身は、おへそ丸出しの、白のシャツ。その上から長袖の袖の太い服を羽織り、肩で紐を縛る形でガッチリ固定されている。この羽織っている服には、フードがついている。それが素晴らしくて、これを被ると顔をすっぽりと覆い、顔を隠せるのだ。

 おへそとか、脚とか気にはなるけど、鏡に映るボクは、我ながら、本当にキレイ。

 そして、鏡に一緒に並ぶユウリちゃんとボクは、本当の姉妹のよう。昼間に出会った、チンピラの小太りの男の人にも言われたけど、その意味がよく分かったきがする。


「お、お姉さま、素敵すぎて、ユウリは感激ですっ!と、とくにこの、太ももの領域がぐへへ」

「ひゃあぁ!?」


 ユウリちゃんが、ボクの太ももにしがみついて、頬ずりをしてきた。そうしたくなる気持ちは、よく分かる。正直言って、ボクも絶対領域は好きだ。アニメや漫画とかで、よく見て好きになりました。


「凄い、すべすべのお肌。それに、柔らかくて気持ち良い。細いのに、どうしてこんなに柔らかいんでしょう。不思議です。ぺろ」

「ひんっ!」


 絶対領域を、ユウリちゃんに舐められました。その瞬間、感じたことのない感覚が、全身をかけめくった。


「えへへ。お姉さま、可愛い。もっと、その声を聞かせてください」

「ゆ、ユウリちゃん、離れて!もうおしまい!」


 ボクは、奴隷紋に命令しながら、叫んだ。すると、ユウリちゃんの身体が浮かび上がり、下に顔を向ける形で天井に貼り付けになる。その顔はやっぱり潰れて、美少女台無しの顔。


「ぐ、ぐへへへ。お姉さまの太もも、おいちぃ」


 だけど、何故か嬉しそうに笑っている。更には、ボクの太ももの味の感想まで述べている。さすがに、気持ち悪いよ、ユウリちゃん……。

 ボクは、若干引きながら、命令を解いてあげると、ユウリちゃんは床に顔面から着地。


「へぶっ」


 おかしな声と、ちょっと凄い音がしたけど、多分大丈夫。だって、その顔は笑っているから。


「えへへ。ちょっと、イタズラが過ぎましたね。反省です」


 ちょ、ちょっと?あの行動は、見ず知らずの人にやっていたら──いや、知り合いにやったとしても、訴えられたら逮捕される案件じゃないだろうか。

 そして、ユウリちゃんは鼻血を垂らしながらも、満ち足りた表情。

 ボクは、血を見て、慌てて手近な布を手に取り、ユウリちゃんの鼻に当ててあげた。


「ありがとうござ──おえぇぇ、くさっ!」

「あ、ごめんね。雑巾だった……」


 ユウリちゃんの顔に当てたのは、先ほど家中を拭いた雑巾だった。本当に、素で間違えてしまった。


「良いんですよ、お姉さま。もっと……もっと苛めてください!」


 何故か、先ほどよりも更に嬉しそうな表情のユウリちゃん。ボクは、今度はちゃんとした布を宛がってあげて、その血を拭いてあげる。すると、何故か残念そうな顔。

 その時ボクは、改めて思った。ユウリちゃんは、本当に、けっこう大変な変態なんだな、と。


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