008 帰りたい 2005年 春/中部
創作料理のお店?
「このお店入ってみたかったの。
色々食べてみたいけど、私さん、そんなに食べないよね」
「好きなの食べていいよ。お任せで」
あれがいいとか、これがいいとか言いながら楽しそうに選んでいた。
『私』は生ビールを飲む。
「最近チャット来てくれなかったよね。なにかあったのかなって思ってたの」
「急に中部へ応援に行くことになったから、部屋の契約とか大変だったんだ。
おまけに仕事うまくいってなくてね。疲れてたしごめんね」
「会えたからもういいの。中部に転勤になったの?」
「まだ決まっていないけど、しばらくいるよ。
一緒にいたいって言ってくれたら、転勤願い出てもいいけど」
「そうなんだ。考えとくね」
「まだ時間あるから考えといて。それと、知ってる人『彼女』しかいないんだ。
暇なときでいいからデートしようよ」
「長時間は無理だけど、近場だったら良いよ。行きたいお店いっぱいあるの」
そんな事を話していた。
急に逢うことにしたので駅の近くでホテルを探した。
そして立派なホテルへ入った。
「ここもすごく綺麗でいいね」
3万円を渡した。
「ありがとう」
シャワーから出ると、彼女はなぜか焦っているように見えた。
「何かあるの?」
「時間遅くなったからちょっと急ぎたいの」
「そうだね。そうしようか」
疲れているのか、いつもより時間がかかる。
『彼女』は突然『私』を押しのけた。
そして大きな声で言いはじめた。
「帰りたい!帰りたい!」
そのまま体も拭かないで急いで服を着はじめる。
何が起きたのか理解できない。
「どうしたの?」
「帰りたい!帰りたいの!」
顔つきが変わっている。
あわてて『私』も服を着はじめる。
「ちょっと落ち着こう。嫌なことがあったなら話してほしい」
服を着た『彼女』は、荷物を持ってドアへ駆け出した。