030 友人という名の人達 2006年 秋/関東
昨日は疲れたなと思いながら掃除洗濯をする。
電話、かかってくるんだろうな。
溜息が出る。
グーグル先生で告訴を少し調べた。
不毛だ。
アマゾンで何か買おう。
本を検索する。
新刊出てないかな~。
『彼女』から電話が。
「もしもし」
「あなた。聞いて、聞いて。ひどいんだよ。みんな」
今日は元気そうだ。
良かった。
「会えなかったのかな?」
「そうなの。自転車をあげた派遣の人の最寄駅まで行ったのに、
電話で、「会えません。迷惑です」って、言われたの」
そりゃそうだ。
会社に喧嘩売ってる人と仲良く出来ないよね。
生活有るんだし。
「会社関係の人から証言取るのは無理だよ。給料貰ってるしね」
「他の人にも電話したけど、全員だめだった。
ひどい事されてるのみんな見てるのに、なぜ証言してくれないの?」
「黙って見てるのは同罪だからだよ。自分にも降りかかって来るから」
「証言、諦めるしかないのかな?」
「そう思う。裁判はお金と時間の無駄になりそうだから、
新しい就職先探した方が良くないかな?」
「そうかな? だけど、もうちょっと頑張ってみる。
それで、お願いがあるんだけど?」
もう疲れた。
好きにして。
「……ごはん食べに行きたいの?」
「ごはん口癖だね。明日会社休めない? また、一緒に行ってほしいの」
なぜ『私』に、ここまで頼れるんだろう?
他にいるはずなのに。
「仕事があるから無理だよ。私が会社休んで遊ぼうって言ったら、遊んでくれる?」
「そうだよね。やっぱり無理だよね」
「午後に電話して進展するのを祈ってるよ」
「分かった。また電話するね」
またですか?
『彼女』の行動力は凄いな。
正しい方向に向けば化けるかもしれない。
だけど、倫理観がないからな。
協調性が求められる会社勤めは無理だろう。
独身で周りに敵を作りまくって、不安にならないのかな。
泣いていたけど強いな。
『私』には真似できない。




