011 キス 2005年 夏/中部
釈然とはしないが、週末に『彼女』と逢うことになった。
『彼女』のマンション近くの新しいホテルだ。
土曜日の午前中にホテルの近くで待ち合わせた。
不倫みたいでテンションが下がる。
いきなり手を繋がれた。
「ぼーっとして、どうしたの?」
「なんでもないよ」
「じゃあ入ろうよ」
3万円を渡す。
「ありがとう」
抱き着いてきた。
とりあえずキスしておく。
『彼女』は積極的になっていた。
シャワーを浴びてベッドに座った。
『彼女』が背中へ抱き着いてきた。
「なぜ、うしろ?」
「前だとキスするでしょ」
「そうだね」
「やーめーてー、他の娘とエッチ出来なくなるでしょ」
「…………」
「ああっ、本気はやめて。離れて」
「わたしとしか、したらダメなの。でも、すごくはっきりついちゃった。うふっ」
キスマーク付けるのは勘弁してほしかった。
「ああっ、遊ぶのはやめて。もう今年泳ぎにいけないや」
「え? ごめんなさい。2つもつけちゃった」
見えない所へつけるのは反則だ。
「関東に帰る前に消えたかどうか見てよ」
「ふ~~ん。消えてるか見てあげるよ。だけど会うたびにつけるもん」
「Sだな。ああっ、ホントやめて。面白がってるよね」
「あなたは、わたしのものなの」
「扱いひどいよね。待遇の改善を要求する」
すごく楽しかった。
『彼女』が行きたいレストランへ昼食を食べに行く。
手を引かれて歩いた。
「これからどうするの?」
「アルバイト中々見つからないし、図書館で資格試験の勉強するの」
「資格試験は何受けるの?」
「それを図書館で調べようと思って」
「一緒に行く?」
「本気で取組みたいから、ごめんなさい」
「そうだね。邪魔しそうだね」
「あなたと毎週会いたいな」
「毎週は無理だよ。関東にも帰ってるしさ」
「じゃあ、2週間後の同じ時間で同じホテルでいい?」
「……なにか、男女逆転していませんかね?」
「いいじゃない。今日はすっごく気持ちよかったの。
こんなに気持ちよかったのは初めて」
「昼ごはん食べながら話すことじゃないよ。もう変わりすぎ」
「泣いたらスッキリしたの。あなたしかいないって分かったの」
『彼女』もすごく楽しそうだった。