表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/37

001 出会い 2003年 冬/関東

そう、出会いは突然だった。


『私』は仕事が忙しく、女性との付き合いに時間が取れなかった。

家に帰ると留守電に、20件以上のメッセージが残っていてうんざりした。

夜中、寝る間際の女性への電話も精神を削っていった。


「めんどくさい」

「休ませてくれ」


積極的な好意に疲れていた。

気持ちは伝わるのか、女性とは疎遠になっていった。



そんな頃、ネットでアダルトサイトを徘徊していた。

偶然アダルトチャットを発見した。


「こういうのがあるんだ。面白そう」


すぐに入会した。

数ヵ月、チャットして遊んでいた。

適度な距離感、そこが良かった。


そこに『彼女』が現れた。


童顔で、可愛い感じ。

気になってチャットを始めた。

知的で、気が強く、話好き。

好みのタイプだった。

それから何回もチャットしてるうちに、仲良くなっていった。


「私さん、すごく話しやすいね。他の人とはたまに気まずくなったりするの」

「気が強い人が好みなんだ。正直な感じでいいと思うけど」

「そんなこと言われたの初めて。もっと色々話したいな」


『彼女』以外とは、話さなくなっていた。

次回のチャットする時間も決めて話し続けた。


「わたしは関東に住んでるの。私さんは?」

「関東に住んでるよ」

「そうなんだ。すごく近いね」

「そうだね。近いね」


『彼女』に会ってみたい。

だけど普通に会ってくれるのかな?

冗談で聞いた。


「……3万円で会ってエッチしない?」


お金と引き換えなんて本当に酷い事を言ったものだ。


「……どうしようかな。お金に困ってるし」


「えっ?」


驚きながら返事を待っていた。


「私さんだったらいいかな。優しそうだし。メルアド教えるね」


『彼女』とメールの遣り取りをしながら逢う日を決めた。

『私』の写真を彼女へ送ったりもした。


それから『彼女』と逢えると思うと楽しかった。

だけど、騙されるかもしれないと思うのも楽しかった。

新鮮な日々だった。



そして逢う日がやって来た。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ