密着!おねショタ警察25時過ぎくらい!!
この日、真に無価値なる者を自称するパンクな青年:本庄 八男は自転車に乗りながら、町を徘徊していた。
彼はぶらつきながら、自身の欲求を埋め合わせるようなモノが何かないか探索する。
「くぅ〜!てっとり早く炎上行為で売名して、俺っちの名前をお手軽に全国に知らしめたりしたいずぇ〜!!」
しかし、目ぼしいモノが見当たらず、この日は大人しく家に帰って芸能人にSNS上で粘着したり、人々の対立を煽るような差別的発言を書き込もうか、と選り取りみどりな未来に想いを馳せていた--そのときである!!
「あぶぶっ……」
声がした方へ振り返ると、生まれて数ヶ月と思わしき男の子が、姉と思われる4才くらいの女の子に寄りかかろうとしていたところだった。
母親に見守られながらの姉弟仲睦まじい場面だったが、真に無価値なる者を自称する八男の目にはそうは映らなかったらしい。
彼は猛然とした勢いで自転車を捨て去り、親子に詰め寄る--!!
「過度なおねショタ要素は卑猥!性描写の権化そのもの!ソースは俺の脳内!さっさとう◯こをさせろ!……"覚悟"もない奴が違法行為なんて、するんじゃねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「な、何ですか、貴方は一体……!?」
盛大に泣き始める子供達と、子供達を抱えて警戒心を露にする母親。
そうこうしているうちに、騒ぎを聞きつけて駆けつけたママ友や通行人、テンプレ山賊小説を書いているなろう作家やネコ耳を生やした中卒無職の少年が集まり始め、八男の動きを抑えていた。
誰が呼んだのか警察までやってきていたが、正気を失った今の八男は「迷惑行為をする奴は全員逮捕しろ!」「俺は真に無価値なる者を冠する魔王的存在だから、何をやっても無罪!」などと支離滅裂な言動を口走っていたが、現実はそんなわけがないので「詳しい話は署で聞くから……」とお巡りさんに宥められながら、パトカーへと乗せられる事となった。
その光景を眺めながら、集まった人々が「何だったんだ、アイツは……」などと口にする。
「アイツの辞書の中に"有言実行"っていう言葉が僅かでも記載されていたら、あんな滅茶苦茶な事をせずに済んだのかもな……」
「全くだ。……要するに、大事な事を何一つ教えなかった義務教育が全部悪い!!」
「君は中卒無職だけど、今みたいに人の為に動けたんだから、卑屈にならずに自信を持ちなよ」
「うるせー!!優しさとかいらないから、俺をちやほやして金だけ寄越せ!」
ネコ耳を生やした中卒無職の少年の発言を受けて、ドッ!と沸き立つ人々。
結局、この少年は周りの人達からオヤツや干物、あと少なくない資金を恵んでもらい、ホクホク笑顔で帰路に着く事となる。
なお、おっちゃん連中から「仕事ないなら、うちの現場作業に来ないか?」や「漁業どや、漁業!」などと仕事の勧誘も受けていたのだが、少年は「面倒くさそう……」と思ったので、それらは全て断った。
〜〜おしまい。〜〜