オーク肉
カンッ!カンッ!っと、木と木がぶつかる音がする。
「受け止めるのではなく、受け流すんだ!ティスティアの体力では、受け止めるのは下策だ。」
エリックの声が、森に木霊する。
「あんたの攻撃が速すぎんのよ!止めるだけで、受け流すん余裕無いわっ!」
「慣れろ!」
「無茶言わないで〜」
短剣の長さに合わせて切られた木の剣を使い、特訓の真っ最中。
ここ数日ティスティアの腕は、みるみる上がっている。
最初は、止める事も出来なかったのだ。
それが今は手加減しているとはいえ、なんとか受け止める事が出来るようになっている。
エリックは、成長するティスティアを、喜んでシゴいていた。
いざという時、1本の剣で、身を守る事が出来るというだけで、生存確率は跳ね上がる。エリックは、ティスティアに生き延びて欲しいと思っているから、多少キツめの訓練をしている。
それを分かっているのだろう。文句は言うが、訓練をちゃんと消化しているティスティア。
「よし!午後から、ゴブリン狩るぞ!」
「また無茶言い出した。」
溜め息を吐くティスティア。
手にはエリックから貰った短剣。
目の前には、棍棒を持ったオーク。
「ちょっと!ゴブリンじゃなく、オークじゃないっ!話違うんだけどっ!」
「仕方ないじゃないか、ゴブリン居なかったんだから。文句言ってる暇あるなら、サッサと倒せよ!」
ゴブリンとオークでは、体格もスピードも力も、全く違う。
棍棒を振り抜くスピードは、当たれば気を失うであろう威力である。
ギリギリ避けるティスティア。
避ける際に、オークの腕に斬りつけた。
ブフォォ!
オークの叫び声が辺りに響く。
「斬ったからと油断するな、そのまま畳み込め!」
「だから無理だって!」
「突進してくるぞ!」
「ヒイッィィィ!」
悲鳴をあげながらも、ティスティアは、突進してくるオークを最小限の動きで避け、オークの腹を斬り裂いた。
「よし!トドメだ!」
「えーい!」
オークの首が、地面に転がる。
「死ぬかと思った〜!」
「バカ!死なせる訳ないだろうがっ!」
オークの肉を焚き火で炙りながら、
「なかなか良かったぞ!なんとか形になった。」
「マジ死ぬかと思ったわ」
「俺がティスティアを死なせはしないさ、危なかったらすぐ助けるつもりだったしな。さ、食おうぜ!」
ティスティアは、自分が剣で倒したオークを食べる日がくるとは、思いもしなかった。
「「美味いっ!」」
2人の声が揃った。




