試射会
ティスティアの宿に行き、呼び出して森に行く。
説明がてら、1発撃ってみる。
「なにこれ!!凄い!」
「じゃあやってみて。」
ティスティアの後ろに回って手を取って教えていく。
髪の毛から、良い匂いがした。
「ここを握って、魔力を込める。込めたら、こっちをガチャンと引いて元に戻す。
右目でこの中を覗いて、光る点があるだろう?そう、それそれ。それを狙う対象に合わせて。合わせたら引き金を引く。」
シュバッ!
そんな音がして、先端から見えない何かが飛び出す。
木の幹がスパンッと切れた。
ウインドカッターだ。
「やった!当たった!」
「よし!成功!これなら魔法当たるだろ?もう一度やってみて!」
エリックは、ティスティアから離れてそう言う。
「込める、引く、戻す、狙う、引く!」
シュバッ!
次も問題なく当たる。
「スゴイ!これなら私もオークとか倒せる!」
ティスティアは喜んだ。
「次はこっちね。」
エリックはハンドガンを見せて説明する。
こちらも、
シュパッ!シュパッ!
小気味好い音がして、2発の風の魔弾が飛び出した。
木の幹に穴が開く。
「予備の弾倉も作ったから、弾切れしたら、こちらに入れ替えて、空になった弾倉に魔力を込めるといいよ。」
「ありがとう!これなら稼げる!」
ハンドガンを持ったまま、エリックに抱き付いてきるティスティア。
「ティスティア!危ないから、ハンドガン置いて!撃たれたらさすがに俺でも痛いから!」慌ててエリックが声を出す。
「あ、ゴメンゴメン。でもいいの?こんな武器、見たことも聞いたこともないけど、貴重なものじゃないの?私なんかに渡して。」
「俺の創作だし、原価も鉄とかだし、安いもんさ。ただし、誰にもあけないでよ。君用に作ったんだしさ。」
「もちろん誰にも渡さないよ!でも会ったばかりで、何故こんなに親切にしてくれるの?私、お金ないよ?はっ!まさか私の身体目当て!?」
「こらこら、人を鬼畜みたいに言うなよ。まあ、可哀想だし、可愛いからって事で。」
さりげなく後半口説いている風なのは、若さ故か。
「え?可愛い?」
ティスティアの小さな呟きは、エリックの耳には入らなかった。
「これで無茶させしなければ、生活できるだろ?壊れたら俺が修理してやるよ。」
「壊れるのこれ?」
「初めて作ったから、どのくらい使えば故障するとか分からないからな〜」
「じゃあさ、エリック、私とペア組んでよ。壊れたらすぐ直して。」
「え?ペア?パーティ組むってこと?」
「そう!故障して魔物に倒されたとか嫌だし、はい!決定!」
子供と可愛い女性には勝てない。
この決定は、覆らないのであった。




