糸の訓練
次の日も森に居たエリック。
糸の練習である。
ルビーに糸を出して貰い、エリックが操る。
切れる糸を斬糸。くっ付く糸を粘糸。強度のある糸を綱糸。弱い糸を軟糸と呼び分ける事にした。
斬糸を振り回すと、ゴブリンが面白いように切れた。
「使い方次第で、面白い事ができそうだな。」
ゴブリンを食べるルビーに言いながら、エリックは色々考えているようだ。
この四種類の糸、弱点があった。水には解けないが、火には燃えるのだ。
火属性攻撃には弱い。
糸で狩りをしながら、森を進むと、エリックの知覚に触れるものがあった。
走るエリック。
そこには10匹くらいのゴブリンと、それを弓矢で攻撃している木の上の人物が居た。
ゴブリン優勢であった。
弓矢はゴブリンの木の盾に防がれ、逆にゴブリンの弓矢が人に向け放たれている。
木から木に飛び移り避けてはいるが、避けながら放つ弓矢では、ゴブリンに当たらない。
「助けるか。」
エリックは呟くと、手に持った糸をゴブリンに向けて振り回す。
ゴブリンの首が次々と落ちていく。
首が落ちていないゴブリンが、攻撃目標をエリックに変更する。
飛びかかってくるゴブリンを蹴り倒し、糸で首を落としていく。
10匹の首を落とすのに、2分もかからなかった。
木の上の人物は、その光景に、
「え?何これ?」
その人物には、無手でゴブリンを倒したように見えたのだろう。実際、糸は極細で、日陰ではほとんど見えないのだ。
「もうゴブリンは居ないよ。」木の上の人物にエリックは声をかける。
木の上から降りてきた人物は、
「すまない助かった。」
「ん?エルフ?」
そこに居たのはエルフの女性であった。
ようやくヒロイン登場。
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