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眷属

宿に戻ったエリックの肩には、タラテクトがしっかり居た。

ローブを脱いで椅子にかけると、タラテクトは、そのままローブの肩の部分にしがみついていた。

エリックは、ある事を思いついた。

指に剣を当てて、少し血を出して、タラテクトの前に出す。

タラテクトは、血を前にして固まっている。

「飲め。」

エリックが言うと、タラテクトは飲み出した。

途端、タラテクトとエリックが少し光る。

「何した?」

「いや、面白そうだから、眷属にしてみた。お前と意思疎通できるかと思って。」

「私に害は無いだろうな?」

「もちろん!てか、良い事あるぞ。俺が死ぬまで、お前は寿命では死なない。」

「マジで?じゃあいっか。」

「軽いなお前は。」

「迂闊に飲んだ私が悪い。」

「お前の糸って、俺には使えないのか?俺が触ったら俺が切れたら、くっついたりするのか?」

そう、話している相手はタラテクトである。

吸血鬼は、自分の血を分け与えると、与えた相手を眷属にすることができる。

これは、この世界では人族相手には、相手の了解を得ないですると、犯罪なのだが、獣や魔物相手にする事は、禁止されていない。それどころか、人族にも相手の了承が有れば、眷属にして良いのだ。女性は、眷属される事を望む。なぜなら、永遠の若さのようなものが手に入るからだ。眷属化されると、その種族が力を最大限に振るえる若さで、年齢が固定される。人族なら、20歳前後で固定されるのだ。喜ばない女性は居ないだろう。男は若さだけで女を選ばないのだが、多くの女性は、若さを求める。

話が逸れた。

つまりエリックが死ぬまで、20歳ぐらいで、エリックが死んだ後、そこから年をとりだす。エリックは吸血鬼なので寿命は長い。寝ていれば数千年でも生きるかもしれない吸血鬼。

理解頂けたであろうか。

だからこそ、吸血鬼は、人種を眷属化する事はあまり無い。下手すれば不老不死のような存在を作り出すからだ。婚姻関係の相手に眷属化する事が有るくらいである。

エリックは人種の眷属は、この時点では居ない。

「使えるかどうかは、私には分からない、試してみろ。」

タラテクトは言った。

「名前あるか?」

「そんなもの有るわけ無いだろう。」

「じゃあつけてやる、てか、お前はメスか?オスか?」

「私はメスだぞ。エレガントな名前をつけろよ!」

「また、エレガントって。ん〜長いと呼び難いし、お前は種族何になるの?」

「知らん!」

「知らないのかよっ!紅くて綺麗だし、ルビーってどう?宝石の名前だけど。」

「それで良い。」

案外適当な名付けであった。

糸は使えた。



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